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中位以降は混戦のJ2 ジェフは鹿児島とユナイテッドダービー

 前節栃木戦では、スコアレスドローに終わったジェフ。
 4勝7分6敗の勝点19となり、順位を1つ下げて16位になっています。

 一方、前々節終了時に21位と降格圏内だった鹿児島は東京Vに勝利し、5勝2分10敗で勝点17となり一気に18位に浮上。
 これによって、降格圏内の21位には福岡が落ちました。
 ジェフは前々節終了時点では21位の鹿児島と勝点4差でしたが、現在は21位の福岡と勝点3まで縮まったことになります。


 現時点での勝点をグラフにして、可視化するとこのような状況に。

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 J2全体で見ると、首位の水戸から5位の京都までが第1グループで、6位の長崎から10位の琉球までが第2グループと言えるでしょうか。
 ただ、水戸から京都までは勝点4差、長崎から琉球までは勝点5差と、今年もJ2は例年通りの混戦となっています。

 第3グループを11位の横浜FCから17位の愛媛までと判断するのか、11位の横浜FCから21位の福岡までと判断するかが悩むところですね。
 11位から21位までだと範囲が広いようにも思えますが、横浜FCから愛媛は勝点4差で、横浜FCから福岡まででも勝点6差と僅差になっています。
 それだけ、J2中位以降は接戦状態になっていると言えるでしょう。


 今年のJ2の特徴として、最下位の岐阜こそ少し21位と差が開いてしまいましたが、21位のチームは上と大きく離れておらず、ここ数戦は毎週のようにチームが入れ替わっていることがいえるでしょう。
 実際、昨年までの第17節終了時点での21位チームの勝点を振り返ると、2015年は水戸の勝点13、2016年は金沢の勝点10、2017年は讃岐の勝点10、2018年は愛媛の勝点11。
 今年の福岡は現在勝点16で20位の山口との勝点差もない状況ですから、チームとしても大きく崩れているわけではないと思います。

 逆に言えば現在16位のジェフも1つ間違えれば残留争いに絡む可能性があると言えるのでしょうし、少なくとも上位争いよりも下位争いに近い位置にいることになります。
 ただ、興味深いのは過去4年間で言うと、2017年の讃岐こそ21位のままリーグ戦を終えて入れ替え戦に参入していますが、それ以外の21位クラブは最終的にここから順位を上げていること。
 そのため、今年も福岡などがここから巻き返す可能性は、十分に考えられると言えるのでしょう。


 先週の段階ではその21位にいた鹿児島が、明日フクアリでジェフと対戦します。
 今年からJ2で戦っている鹿児島ですが、昨年末に監督を交代。
 同じく昨年J2昇格を決めた琉球を率いたキム・ジョンソン監督が、鹿児島の指揮を取っています。

 琉球と同じように、今年の鹿児島は後方からボールをつなぐパスサッカーを展開。
 特に後方の選手がボールを持ったら前方の選手が受けに下がってきて、そこからワンタッチで展開する流れは琉球にもつながるところがあります。
 これがキム・ジョンソン監督のパスサッカーと言えるのでしょう。


 ただ、鹿児島は琉球ほどスピードがあって、鋭く仕掛けられる選手がいない印象です。
 ベテランが多く、攻守にどこか重さを感じるところがあります。
 そこが苦戦している1つの要因なのかもしれません。

 それでも徐々にパスサッカーが浸透してきている印象もあり、前節東京V戦では3-1の勝利。
 しかし、東京Vは前々節ジェフと対戦し引き分けに終わった試合でも内容があまり良くなく、そこからの2試合は大敗を喫しているだけに目安にはしにくい状況なのかもしれません。
 鹿児島も試合内容は開幕時より向上している印象があるものの、東京V戦までは3連敗ということで、勝ち切る強さまでは会得できていないようにも思います。

 なお、鹿児島には讃岐などでもプレーしたジェフアカデミー出身の砂森が今年から加入しており、ここまで左SBで全試合スタメン出場を果たしています。
 東京V戦でもゴールに絡む活躍を見せており、鹿児島の中心選手の1人と言えるでしょう。
 ジェフでのトップチーム昇格は果たせませんでしたが、ジェフアカデミー出身の選手が活躍しているというのは嬉しいことですね。


 鹿児島はパスサッカーのチームということで、ジェフがハイプレスが実施できれば戦いやすい相手なのかもしれません。
 ただ、岐阜戦はハイプレスも実施できず、中途半端なサッカーになってしまいました。
 エスナイデル監督時代もアウェイなどではハイプレスをかけられなかったことから考えると、相手の戦い方や環境によってそうなってしまったということなのでしょうか。

 現状ではチームとしてその他の強みを打ち出せていない状況ですし、ハイプレスを軸に戦っていくのであればどんな状況でも実行できるようにならなければいけないのではないでしょうか。
 あるいは、その他の軸を作っていくというのであれば、チームとしてもっと集中して取り組んでいかなければいけないと思います。
 前節の試合後には江尻監督から「ボールを動かす」という話も出ていましたが、実際の試合ではまったくそういった内容にならなかったし、工夫も感じられなかったと思います。


 サッカーにおいてチームがうまくいかないケースを考えると、やりたいサッカーはあるけれどもそれを実施できるノウハウやリソースがないパターンと、そもそもやりたいサッカーが不明瞭なまま迷走して終わるパターンがあると思います。
 エスナイデル監督の場合は明らかに前者でしたが、江尻監督の場合は後者になりかねない恐れもあるのかもしれません。
 そうなってしまう不安があるのも他人のビジョンを継続しようとしているからではないかと思いますし、やはり江尻監督自身のサッカーを実行して確立すべきではないかと思います。

 なお、土曜日の千葉は天候があれる可能性もあるということなので、それが試合にどう影響するのかも気になるところです。
 また、観戦に行く際も気を付けなければいけないと思います。
 相手チームの戦い方はもちろん、天候も含めてその状況に応じた対応が求められるのがスポーツだと思いますし、その中でもぶれない軸というものを見せてほしいところではないでしょうか。

新井に代わって鳥海が右CBでスタメン

 栃木戦では新井に代わって、鳥海が右CBとして出場しました。
 新井はエスナイデル監督最後の試合となった水戸戦で、4バックのCBとしてジェフ加入後初出場初スタメン。
 その後、江尻監督が就任してからは、3バックの右CBとして長崎戦まで全試合に出場していました。

 ここまで主力としてプレーしていた新井は、186cmの身長も活かして高さの面でのプレーが際立っているように思います。
 特にセットプレーにおいて、ニアでも競り勝って折り返せるというのは、チームとしても1つの強みになっていた印象です。
 それだけ垂直飛びでも相手に勝てる跳躍力があって、前に飛び込む動作がなくてもハイボールを触れる選手なのではないかと思います。


 守備においても、大きく崩れることなく安定したプレーを見せているのではないでしょうか。
 ジェフ加入前までの新井は、怪我もあってリーグ戦での過去最多出場は、前年の名古屋での11試合のみ。
 経験が豊富とまでは言えないと思いますが、25歳と中堅に入っている年齢もあってか、もともとの性格もあるのか、落ち着いているように思います。

 DFにとってミスが少なく、冷静にプレーできることは非常に重要な能力だと思います。
 ちなみに、今年の新井はすでに13試合でているわけで、プロ入り後のリーグ戦で最多出場となっています。
 ただし、プロ入り1年目の2016年は横浜FMでリーグ戦5試合、カップ戦7試合に出場し、公式戦合計では14試合出場と現在を上回っていることになります。 


 全体的には悪く無いプレーを見せていたと思う新井ですが、足元の繋ぎに関してはここまで期待よりも効果的なプレーはできていない印象もあります。
 技術力がないわけではなく着実に繋いでいる印象ではありますが、新井を起点として攻撃を展開するというところまではいっていないと思います。
 ボールを失う場面もあり、もう少し改善したいところもあるのではないでしょうか。

 ただ、他のCBも同じように、効果的なつなぎはあまりできていないと思います。
 新井がうまくいっていないというよりも、チームとして攻撃面の組み立てに苦戦しているため、CBがビルドアップに貢献できていないというところが大きいのではないでしょうか。
 名古屋時代の新井はビルドアップで貢献できる選手といった印象でしたし、チームとして遅攻が改善できれば新井の足元の技術ももっと活かせるのではないかとも思います。 


 栃木戦でスタメン出場となった鳥海も、足元の技術はある選手だと思います。
 ただ、欲を言えば、もっと2人にも積極的に自ら展開することによって、ボールを動かしてほしいという気持ちもなくはありません。
 チームのビルドアップがうまくいっている状況であれば、約束事に沿ってプレーするだけでよいとは思うのですが、現状ではそこがうまくいっていないだけに、積極的な個々の展開力が打開策になる可能性もあるのではないでしょうか。

 鳥海に関しては、カバーリングも得意でクレバーな印象があります。
 前々節長崎戦でハイラインを敷き、右サイド裏を取られたこともあって、鳥海のカバーリングに期待して右CBで起用したのかなとも思います。
 ただ、栃木戦でも一度裏を取られかけましたし、そもそもハイラインではなかっただけに、2人を比較するのは難しい状況と言えると思います。


 個人的には栃木戦でも増嶋は序盤に少しミスをしていましたし、鳥海がセンターで良いのではないかとも思うのですが、ベテラン増嶋のリーダーシップに期待しているということでしょうか。
 一方で鳥海は他のCBに比べると、若干線が細いのかなとも感じなくもありません。
 特に186cmの新井、191cmのエベルト、187cmの乾と長身CBが並んでいるので、鳥海が小さく見える部分もあるのかもしれません。

 そういった選手たちを積極的に起用しているところを見ると、江尻監督はCBに高さやサイズの面を求めているのかなとも感じます。
 しかし、現在のCB候補を考えていくと、新井、エベルト、乾、増嶋、鳥海、ベラスケスくらいしかいない状況。
 ベラスケスは戦力になっていませんし、単純にCBの候補が少なのいため偶然高さのあるCBが起用されてきたという可能性もあるのでしょう。


 鳥海は阿部勇樹があこがれの存在ということで、体格も近いものがあります。
 ただ、阿部は意外と球際に強く、足も速い選手でした。
 鳥海はそこまでのパワーやスピードはないようにも思いますし、より賢く相手との駆け引きや読みあいの部分を磨いて、勝負していく必要があるのかもしれませんね。

 新井は25歳、鳥海が24歳、乾が23歳。
 25歳だと若手とは言いづらい年齢なのかもしれませんが、若手から中堅世代のDFが出場機会を増やし成長することで、クラブの将来へ希望を繋いでほしいところです。
 それに24歳の溝渕、21歳の岡野も復帰すれば、DFに関しては明るい未来が待っているのかもしれません。


 ただ、新井はレンタル移籍で名古屋から加入中。
 溝渕、岡野もレンタル中で、レンタル先であまり出場機会が得られていないとはいえ、将来が不透明なところがあります。
 下手をすれば、3人とも失ってしまう恐れもあるのではないでしょうか。

 選手それぞれの努力と成長も大事ではありますが、クラブとしても将来を見据えつつ、賢い運営をしていく必要があるでしょう。
 DFには若い選手が出つつあるとはいえ、他のポジションでは若手有望株は少なく、戦力となっている選手の平均年齢は高い印象もあります。
 短期的な結果を求めるのか、長期的なプランを重視するのかでも大きく違ってくるでしょうが、若い選手の台頭に期待したいですね。