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14位以下濃厚の中、パスサッカーの東京Vと対戦

 前節金沢戦に勝利したジェフは10勝12分17敗となり、ようやく二桁勝利を遂げたことになります。
 しかし、勝点は42で、順位はいまだに17位。
 日曜日にフクアリで対戦する東京Vは、13勝12分14敗の勝点51で13位となっています。

 両チームの勝点差は9で残り3試合となっていますので、ここからジェフが全勝し東京Vが全敗すれば、ようやく勝点で並ぶことになります。
 しかし、得失点差は東京Vが-3でジェフは-16ですので、勝点で東京Vに並んでも順位を上回る可能性は極めて低い上、その他のチームも上回らなければ13位には浮上できません。
 ジェフは昨年クラブ史上最低の14位に終わったわけですが、今年もそれ以下になる可能性が濃厚になっていることになります。

 J2に降格してから大きく見て右肩下がりになっているとはいえ、今年はJ3降格の恐れも感じる年となってしまいました。
 結果だけでなく内容も含めて2年連続で将来への期待すら感じない状況となっていることは、クラブとして重く受け取らざるを得ないのではないでしょうか。
 J2の中では環境に恵まれているクラブであることを考えると、現在の状況にはどこか問題があると思わざるを得ないですし、まずはその問題を徹底して洗い出すことが必要なのではないかと思います。


 さて、次に対戦する東京Vも7月にイングランド出身のホワイト監督が解任され、ユースを指導していたOBの永井監督が昇格しました。
 ただ、ホワイト監督が解任された第22節終了時点での順位は13位で、その後も大きく浮上していませんので、成績に関しては変わっていないことになります。
 しかし、スタイルは明確に変わって、後方からつなぐパスサッカーになっていきました。

 守備時は4-4-2、攻撃時は4-1-2-3のスタイルで、ビルドアップ時には2CBと1ボランチでパスを散らし攻撃を展開する。
 SBには攻撃的な選手も起用して内側に寄ることもあり、SBとインサイドがハーフスペースを狙うのが特徴だと思います。
 そこからパスを繋いで、ウイングには元ジェフの小池やパライバなどを置き、そこで縦に仕掛ける攻撃を狙ってきます。


 しかし、前々節横浜FCに1-2で敗れると、前節は福岡に0-2と完敗を喫しています。
 福岡はしっかりと東京Vを研究してきた印象で、5-4-1でスペースを消しながらカウンターを狙うサッカーを徹底し、東京Vは福岡の術中にはまった形と言えるのではないでしょうか。
 以前にも何度か話していますが、ハーフスペースを使った5レーンのパスサッカーに対して、5バックでその5列に対応するという守備は有効だと思います。

 横浜FCも俊輔などをボランチでスタメン起用しましたが、4-4-2で中盤が中央に絞りつつそこから外に出ていく守備で、東京Vに間を取らせない対応をしてきた印象です。
 昨日も話しましたが、ジェフはそこがうまくいっていないところで、簡単に選手と選手の間を通されてしまう。
 そこができていない限りは、ボックス守備が整備できたとは言えないのではないでしょうか。


 ジェフは東京V戦の後に京都とも対戦するわけですが、どちらもハーススペースを狙うパスサッカーを実施しています。
 前節対戦した金沢はロングボールが攻撃の第一歩だったため戦いやすかったところもあるかもしれませんが、相手に中盤で間を取られることが多いだけにパスサッカーを展開してくる相手にうまく対応できるか。
 ジェフが良い位置でボールを奪えればSB裏などをカウンターで狙える相手だとは思うのですが、守備で後手に回るようでは苦戦するかもしれません。

 攻撃面でももちろん課題はありますが、江尻監督になって守備の改善・構築がまずは期待されたのではないかと思います。
 しかし、それがなかなか大きくは改善されなかった。
 それだけにここからの2試合で、守備面での成長を示せるかどうかが注目ではないでしょうか。


 ここまでのところ、プレスをかける時の守備とかけない時の守備の切り替え。
 ボールの奪い方や場所など、まだまだ細部がはっきりしないところがある印象です。
 金沢戦でのジェフはプレスへ行かなかったことが良い方向に進んだというコメントも出てはいましたが、それでも失点はしていますし、まだ守備で怪しいところがあるのではないでしょうか。

 また、東京Vが連敗した相手はともに守備を重視してカウンターを狙っていた印象あるだけに、守備が問われる試合となるかもしれません。
 あるいは、パスサッカーを展開する東京Vを相手にも前に出ていって、殴り合いを仕掛けていくのか。
 いずれにせよ金沢とはタイプが異なるチームだと思うだけに、また異なる部分が求められる試合となるのではないでしょうか。

米倉「1対1で負ける相手はそんなにいない」

 金沢戦ではあまり無理にプレスはかけに行かず、ボックスで守ったと監督や選手が話しています

今日のゲームは前線から圧力を掛けず、ブロックを作った。その狙いを。
江尻 篤彦監督「相手によって使い分けている。前節・山口戦は前からプレッシングを掛けた。今回の金沢にはディフェンスラインである程度ボールを持たして、ブロックを組んだ。背後への一発のパスは怖かったが、新井(一耀)もエベルトもリスクマネジメントをやってくれたので、守備のマネジメントはうまくできた。」

 個人的には単純に前線の選手が工藤から船山に変わったので、結果的に前へのチェイシングが弱くなっただけではないかと思っていました。


 そう感じるのは、これまでのプレスも決してはまり切っていたわけではないからなのかもしれません。
 これまでの試合では工藤が積極的に追いかけクレーベも遅れてついていく形でしたが、2列目がそこに連動してプレスをかけていくことは少なかった。
 そのため2列目の動きは大きく変わった印象はなく、変化が生まれたのは前線の追い掛け方だけだったので、守り方全体が変わったようには見えなかったのかもしれません。

 工藤は積極的に広範囲を追いかけまわしますが、見方によっては暴走気味でスペースを空けてしまうこともあるのかもしれない。
 その点、船山はCBからボランチへのパスコースも気にして、守備をしようという意識が強かったのかなとも思います。
 ただ、相方がクレーベであることも考えれば、多少無理が生じても広範囲に走り回って穴を埋めるという方法のほうが、結果的に良いのではないかとも思いますが。


 いずれにせよ、金沢戦では無理にプレスにはいかなかったとのこと。
 ただ、10分には前線の選手がプレスに行かなかったことで、山本からDFライン裏への長いボールを供給されてピンチに陥っています。
 CB山本は大卒2年目のまだ若い選手ではありますが、185cmと高さがあるだけでなくビルドアップでも貢献できる選手で、簡単には空けてはいけないところだったのではないでしょうか。

 山本からのロングパスに右SH金子が斜めに飛び出し、左サイドを縦に仕掛けてエベルトをかわしクロスを上げて、垣田がヘディングシュートを放っています。
 DFラインとしては斜めの飛び出しには対応しづらく、垣田のシュートも少しずれればゴールといった場面でした。
 最終ラインは高いままプレスをかけないということになれば、こういった危険はどうしても起こるはずです。


 さらに、42分にもこのようなシーンが。

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 中盤で相手がつないでいる流れで、船山が大橋へプレスをかけると、大橋は廣井にパス。
 しかし、クレーベの寄せが甘いため廣井にかわされると、ズバッと縦パスを通されています。

 杉浦がバイタルエリアで浮いていたので、エベルトは慌てて前へ。
 しかし、廣井の狙いはその先の垣田で、垣田がうまくボールを保持すると右サイドへ展開。
 右サイドの金子が受けてミドルシュートを放ちますが、GK優也の正面で終わっています。


 無理にプレスに行かないのであれば、その分FWも含めたボックス守備を安定して実行しなければ意味がない。
 しかし、このシーンでも結局のところ、FW2人の間とボランチ2人の間という一番明け渡したくないであろうコースを、縦パス1本で通されていることになります。
 それでは無理にプレスをかけなくなった意味もないし、ボックス守備がうまくいっていたとも言いにくいのではないかと思います。

 金沢戦に限らずジェフのリトリート状態での守備は、あまりにも簡単に選手と選手の間を通されすぎていると思います。
 それは言い方を変えると、ボックスの間を取られているということ。
 それでは、ボックス守備の意味をなしていないことになるのではないでしょうか。


 さらにこのシーンではエベルトと新井が前に潰しに行っているのに、米倉と下平の前への反応が鈍い。
 これは先日の山口戦でも同じような展開を作られ、バイタルエリアで宮代に鋭いミドルシュートを放たれています。

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 この場面も含めてDFラインの動きも含めて、守備が整備されているように感じにくいところがあると思います。 

 確かに新井とエベルトは、局面で頑張ってくれていると思います。
 裏への対応だけでなく、競り合いの部分でも健闘しているし、うまくカバーもできている。
 その他の選手も金沢戦では集中して守備で奮闘していたと思うのですが、個々が頑張っているだけで守り方が良くなったというわけではないようにも思います。


 金沢戦後、米倉はこう話しています

ブロックを敷く守備について。
米倉恒貴「基本的に自分はこのやり方でいいと思っている。相手が走ってきたら付いていけばそんなに問題ない。自分たちからわざわざスペースを空けて、そこを使われてやられるというシーンが多い。1対1で負ける相手はそんなにいない。今日のやり方で問題ないと感じている。」

 要するに、前から追わなくても、後ろの選手がマークを外さなければ、1対1では勝てるので問題なくやれるということでしょうか。
 そのため、後方のマークが外れるくらいなら、無理にハイプレスをかけてバランスを失う必要はないという発想なのかもしれません。

 ただ、28分には、その米倉が軽率な判断で沼田にスライディングに行って、相手に交わされています。
 そこをアランが何とか戻ってカバーをして、CKに逃れています。
 しかし、そのCKで失点しているのですから、結果的に失点のキッカケとなった米倉が、「1対1で負ける相手はそんなにいない」というのはちょっと残念なことだと思います。


 それだけ、どこかで状況を把握しきれていない。
 あるいは、守備の重要性を理解していない。
 昔からあまりサッカーIQの高い選手ではないのだろうなと思っていたのですが、現状でもあまり変わっていない気がしますね。

 プレスに行かなくなっただけで、今さら守備が大きく改善されることもないでしょう。
 エスナイデル監督初年度のようにワンボランチからダブルボランチに変えて、明らかに引いて守る形に大きく変更したというのであればまだ違いは生まれたかもしれませんが、そこまで極端な変化を実施しているわけでもない。
 だからこそ、金沢戦では何よりも局面で個々の選手が頑張ったことが大きかったのではないかと思いますし、ひとまずはそれが続くのかどうかが注目なのではないでしょうか。