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守備の出来ないCFをフォローする4-1-4-1と3-6-1

 新チームを見る前から懸念していた通り、4-4-2の守備においてFWに守備の問題があるとなると、そこからチーム全体の守備も崩壊してしまう恐れがある。
 クレーベもクレーベなりに守備を頑張ろうという意思は見られましたが、追いかけても簡単に横を通されたり、2度追い3度追いが出来なかったり、ポジションへの戻りが遅かったりと、効果的な守備が出来ていませんでした。
 先週も説明したように、そこから1失点目に繋がっており、堅守のチームを目指す上では大きな問題と捉えるべきでしょう。


 では、どう対応するのか。
 試合前のエントリーでは、それに関してもいくつかの可能性を取り上げています。
 その1つは今回のタイトルにもあるように、4-1-4-1や3-6-1で守備の出来ないCFをフォローする形。

 まさにちばぎんカップで対戦した柏がそうですが、柏のオルンガも守備面では不安がある選手。
 そこで昨年のジェフ戦から4-1-4-1にシステムを変更し、インサイドが懸命に走ることで対応しています。
 簡単な図にすると、このような感じで。

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 左インサイドの江坂は運動量豊富にアップダウンし、右インサイドのヒシャルジソンは走れるだけでなく、本来ボランチなので1ボランチのサポートもできて、ボールを刈ることもできる選手。
 この2人の走力によってオルンガの守備の負担を軽くし、守備の出来ないCFを置きながらもバランスの良い堅守を構築できていた。

 また、3-6-1も同様の考え方で、CFをフォローすることが出来る。
 これは高木監督が指揮した長崎や大宮などでよく見られたシステムで、ファンマやシモビッチも得点力はあるものの守備面には課題のあるCFです。

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 図のように、2シャドーがサイドだけでなく中央寄りの位置まで守備をする。
 イメージとしては4-1-4-1も3-6-1もインサイドかシャドーが広範囲を走って、1トップの左右を守ることによって、CFの守備範囲を狭くしてあげる。
 これによって、1トップは狭い範囲をアップダウンすればいいだけということになり、守備の負担が軽くなる。

 CFが守備面でやることが限定されれば、結果的に無理な要求も減ることになるので、リスクも少なく済むことになる。
 一方で一般的な4-4-2のボックス守備だと、CFも含めて1人1人が等間隔で同じ範囲を守らなければいけないので、守備に課題があるCFにとっては難しい要求になってしまう。
 そして、ボックス守備では1人でも守備をさぼると、そこからボックスが崩れて相手にやられかねない…。


 先週紹介した図を再びアップすると。

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 上記2つのシステムに比べて、FWの守備範囲が広いということになると思います。
 実際、もう1人のFWである船山は懸命に守備をしていて、相手ボランチをケアしつつサイドの守備にも顔を出していた。
 ボックス守備では全体がスライドして追い込んでいくのが基本となるはずですから、FWも広い範囲を守らなければいけないということになるのではないでしょうか。

 ただ、4-1-4-1や3-6-1のシステムに変更するのも、そう簡単ではないのでしょう。
 尹監督も「ゾーンで守っている」と話していますし、それを前提と考えるのであれば等間隔に選手を配置する4-4-2の方が実施しやすいという考えもできると思います。
 また、4バックがベースでしょうから3バックへの変更は大手術になりかねないし、4-1-4-1への変更も4×4でスペースを消すという発想であれば難しいのかもしれません。


 何よりも上記で話した2つのシステムは、CFが走らない分周りの選手が広く走り回って守備をするというのが基本的な発想。
 どのシステムで戦うにせよ、ピッチの広さは変わらないわけですから、CFの守備範囲を狭くするのであれば、他の選手が広範囲を守らなければいけない。
 しかし、今のジェフの選手構成では、走れて守備の出来る選手が少ないという問題があります。

 現在の柏には江坂もヒシャルジソンも瀬川もいるし、大宮も走れてバランスも取れる茨田や若い奥抜がいて、長崎にも運動量豊富な澤田や幸野がいた。
 しかし、今のジェフにはハードワーク出来るタイプが少ないだけに、クレーベを誰がサポートするのか難しい状況だと思います。
 昨年はそれが工藤だったのでしょうが、工藤も今年で36歳となる大ベテランですし、今年で35歳の田坂も含めて、フルシーズン走れるのかというと不安要素が多い。


 そうであるのなら、いっそクレーベを諦めるのか。
 ちばぎんカップで見る限り、やはり川又もそこまで守備の出来るFWではないでしょうが、クレーベよりは前へのアグレッシブな動きができてスピードもあるだけに、チェイス時の圧力は高いようにも思います。
 とはいえ、川又も昨年は怪我に悩まされたベテランですし、途中投入だからこそ圧力をかけられたという部分もあるのかもしれません。

 まずは騙し騙しクレーベで戦うというのが基本になるのかなとは思うのですが、J2もそう甘くないことはここ10年で痛いほどわかっていること。
 柏も今年はJ1で戦うとはいえ昨年はJ2のチームだったわけですし、何よりJ2は相手対策が緻密に行われるカテゴリだと思います。
 クレーベの守備が弱点であることは昨年1年間とちばぎんカップで露呈してしまっていることですし、騙し騙しやっていったとしてもどこかでばれるのではないかと思います。

 それだけにクラブとして、クレーベの課題をどのように考え、どのように対策を取るつもりなのか。
 クレーベも尹監督も特徴ははっきりしていて、こうなることはわかっていたことだと思うだけに、後から知らなかったでは済まないはず。
 尹監督にすべてを頼るのではなく、言い訳のない1年間になってほしいところですね。

堀米「攻撃の入り口がクレーベになるとしても」

 今年は守備をベースとしたチームを目指していること、ちばぎんカップでは攻撃機会より守備機会の方が多かったこともあって、どうしても守備の話が増えてしまいましたが、今日は攻撃に関して。
 堀米はちばぎんカップ後に、「シンプルにクレーベに繋ぎながらも、状況に応じてどう組み立てるか」、「攻撃の“入り口”がクレーベになるとしても、どのスペースに飛び込み、どのタイミングで使うのかはっきりしたい」と話しています

 昨日も少し話しましたが、ジェフのビルドアップはSBやGKなどからクレーベにシンプルにあてる場面が目立っていた印象です。
 ただ、クレーベはボールを奪われないキープ力はあっても、ボールを持ってずるずると後方やサイドに流れてしまうことも多い。
 昨年もその傾向にはあっただけに、これは今年も変わらないところでしょう。

 その分、クレーベをうまく周りがサポートしてあげたいところですが、そこがうまくいってないといったところでしょうか。
 クレーベの頭や足元にボールが入った時に、SHが中央に入って拾うのか、ボランチがサポートするのか、あるいはFWの相方が落としを受けるのか。
 基本的には2トップといえる布陣でトップ下はいないシステムですから、ポストプレー時に誰がどのように受けるのかを明確にしていかなければいけないということかもしれません。


 ちばぎんカップではクレーベのポストプレーから中央突破という展開が作れなかったこともあって、クレーベを使わずサイドから攻め込む展開が多かった印象です。
 ただ、サイド攻撃とはいっても、エスナイデル監督時代のような個人技で縦に突破するパターンよりも、サイドで選手がトライアングルを作って、その中の誰かが飛び出すというパターンが多かった。
 ミドルサードではSHとSBとボランチなどが、アタッキングサードではSHとSBとFWなどが絡んで、選手が動きながら素早くパスを繋いでいく狙いを持っていたように感じます。

 しかし、最終的にはタッチライン際の前方で縦に飛び出す展開ばかりだったので、窮屈な攻撃で終わることが多かった。
 さらにクレーベまでサイドに流れてしまうので、前線にターゲットがいなくなる場面も少なくなかった。
 それらの問題があってゴール前にボールを供給する前に、サイドで潰されてしまう場面が目立ってしまったように思います。


 また、ボール回しにおける特徴としては、素早くサイドチェンジを狙う展開も感じられました。
 タッチ数を少なくして、サイドチェンジをしつつ、サイドで飛び出す選手を作るのが、メイン攻撃の狙いということになるのでしょうか。
 ただ、少なくともちばぎんカップでは、攻撃に幅が見られずに苦しんでいた印象でした。

 また、気になるのはカウンターですね。
 新体制発表会でも、「最大限速く相手のゴール前に迫るサッカーを目指す」と尹監督は話しているのですが、ちばぎんカップではそれがほとんどできていなかった。
 カウンターが作れなかったことが、攻撃に停滞感を感じた大きな問題の1つでもあると思います。


 単純にカウンター時の人数の掛け方も少なく、柏の方が守備への切り替えも速かった。
 早々に2点リードされて柏が無理をしなかった影響もあったのかもしれませんが、それにしてもジェフのカウンターは勢いがなかったように思います。
 選手個々の問題もあるのか、あるいはまだチームとしてカウンターを構築できていないのか。

 ただ、サイド攻撃やボールの回し方に関しては、良くも悪くも尹監督による特色を感じましたし、カウンターがうまくいかなかったのも時間だけの問題ではないかもしれません。
 カウンター攻撃にこだわるのであれば、柏戦で多少なりとも何かが見えてくるのではないかと思いますが、そういった印象には程遠かった。
 単純な人数の掛け方だけでなく、人とボールの動かし方も含めて、カウンター時の型が見えてきませんでした。


 むしろ堀米は、「ボールを奪ったら“陣地回復”するためにパスを繋ぐ」と話しています。
 まずは無理せず1本パスを繋ぐことで、自分たちが落ち着く時間と、相手の圧力が弱まるための時間を作るという発想でやっていたのかなとも思います。
 これがチームとしての考え方なのか、堀米個人の発想なのかはわかりませんが、実際の試合でも縦へ強引にというよりは、ある程度確実にパスを繋ぐ意識の方が高かったように思います。

 堅守速攻という言葉があるように、堅守と速攻はセットで考えられることが多いと思います。
 しかし、ボールを奪ってすぐに速攻を仕掛けて失敗すれば、相手は攻め残っている場合もあり、さらなるピンチに陥ってしまう恐れも出てくる。
 カウンターから確実にシュートなどで終われる、そこでボールを失っても守り切れる自信がある…というのなら別ですが、そうではないのなら、無理には攻めないという選択肢も考えなければいけない。


 尹監督は慎重な性格で、そういったリスクも含めてパスを繋ぐことを重視していくということなのでしょうか。
 自チームがボールを持っていれば攻め込まれることはないわけで、ポゼッションサッカーはある意味で守備的と考える人もいます。
 エスナイデル監督時代もカウンター合戦になって、ジェフが失点することが多かったですしね。

 ただ、一方で速攻・遅攻に限らず、柏戦は攻撃がほとんど作れなかったことも事実。
 ゴールを奪えなければ守備の負担も増えていくかもしれませんし、尹監督はやはり攻撃面を作るのが得意なタイプではないのかなとも思います。
 カウンターでなくとも、攻撃の形が作れればそれでいいとは思いますが…。

 今年はセットプレーが大事になるのかなとも思いますが、セットプレーだけで長いシーズンを勝ち進むのは難しいはず。
 堅守だけでなく、何かしら流れの中で攻撃の形を作れるといいですね。