溝渕がレンタルで、松本に移籍することが発表になりました。
溝渕のコメントから察するに、武者修行の類ではなく、松本から請われての移籍ということなのでしょう。
反町監督と溝渕は、慶応大学の遠い先輩・後輩にも当たります。
以前、昨年の右SB出場数をまとめましたが、2018年の右SBは溝渕、茶島、ゲリア、真希でほぼ4分割されていました。
さらにシーズン終盤には溝渕の出番がなくなり、ゲリアが出場していたため、溝渕が抜けても戦力として大きなマイナスになる実感は薄いかもしれません。
また、右SBに関しては、新加入の田坂もプレー可能です。
ただ、昨年の右SBでもっともSBらしいプレーが出来ていたのは、溝渕だったのではないかと思います。
特に守備面において中央へ絞ったり、外へ開いて対応したりといった動きは、溝渕が一番自然だったと思いますし、SBとしての基礎的な動作が出来ている選手だったのではないでしょうか。
最後に主力となったゲリアなどは身体能力が高いが故に、フィジカルに頼ってしまうところが大きかったと思いますし、どこか雑な印象もぬぐえなかった印象です。
それだけに今年の戦力としても残念な印象が強いですが、昨年終盤は出場機会を失いベンチ入りすら出来なくなっていた状況もあって、移籍を決断したのかもしれません。
プロ入り2年目で出場機会を伸ばせなかったことも、本人としては大きかったのでしょうか。
エスナイデル監督は頻繁に選手を入れ替える傾向があるため、今年も溝渕がコンスタントに出場できるかどうか微妙だった上に、田坂というライバルが増えてますます厳しい状況に陥る可能性がありました。
溝渕が移籍する松本の右WBは岩上を中心に田中隼磨とポジションを分け合う形でしたが、田中は今年36歳となる大ベテラン。
岩上と溝渕ではタイプが違いますし、溝渕にも十分に活躍のチャンスはあるのではないでしょうか。
攻撃面には課題もあるかもしれませんが、3バックのWBということで運動量や守備面での強みを打ち出せるかもしれませんし、反町監督も好むタイプではないかと思います。
もしかしたらジェフから横浜FCに移籍してブレイクした、北爪のような展開になる可能性もあるのではないかと思います。
また、ジェフとしては、岡野、高橋、溝渕、杉山と多くの若手選手をレンタルで出すことになりました。
チームとして自前で若手を育てられなければ、レンタル移籍から完全移籍となる不安も抱えることにもなるわけで、大きな問題を感じるところがありますね。
一方で、山本真希の契約更新も発表になりました。
真希は昨年開幕戦から右SBで出場していたものの、チームの低迷もあってすぐに出番を失っていきます。
5月下旬にはチームがトリプルボランチを試したため、中盤の右でスタメン出場することもありましたが、エスナイデル監督はトリプルボランチもすぐに諦めたため出場機会は少なく、その後は目立った出番もありませんでした。
ただ、8月4日の松本戦からはベンチからも遠ざかっていましたが、11月4日の徳島戦、最終戦となった栃木戦では久々にベンチに復帰しています。
出場機会はなかったものの、もしかしたらベンチ入りも来季への準備ということで、残留の可能性も出てきたのかなと思っていました。
近藤を起用しなかったことも含めて、シーズン終盤に色々とヒントはあったのかもしれません。
それでも契約の発表が遅れていたため、移籍先を探しているのかなとも思っていました。
しかし、ここに来て溝渕が移籍することになったため、右SBで計算できる選手の確保という意味で、残留となった可能性もあるのかもしれませんね。
高橋GMは確実な戦力を宛がうというより選手の数でポジションを埋める傾向があるのかなとも思いますし、頻繁に選手を入れ替えるエスナイデル監督としてもそれがあっているのかもしれません。
ただ、やはり本来の真希は、中盤の方が適した選手ではないかと思います。
右SBでプレーする際にもビルドアップで貢献できるしベテランらしい気の利いた守備も計算できる選手ではないかと思いますが、やはり一番は動きながらボールを動かすプレーが持ち味だと思います。
そのため町田が負傷離脱した時などは真希で良いのではないかと過去2年間思っていたのですが、エスナイデル監督は基本的に2列目は自分で仕掛けられることを重視するため、町田の代わりとしても選ばれなかったのかもしれません。
J2でも中盤なら十分に軸として輝ける選手だと思うのですが、ジェフではまだ契約が残っていたのかもしれません。
ジェフは比較的年俸が高いのでしょうから、真希レベルの選手だとお金の面で厳しく、良い声がかからなかった可能性もあるのかもしれません。
チーム残留ということにはなりましたが、状況によっては今後レンタルで移籍する可能性もあるのでしょうか。
ともかく、このままでは勿体ない選手だと思いますので、どうにか輝けるチャンスが与えられると良いですね。
また、クラブ単位で言えば、ここ2,3年は"適材適所"というよりも、ともかく選手の数を集めて"物量で勝負"している印象なので、それによって勿体ないと感じる選手が増えてしまっているようにも思います。
溝渕が移籍してしまったことなども、その影響の1つと言えるのではないかとも思いますし、やはり無暗に選手を集めるのは決して得策とはいえないのではないかと感じてしまいます。