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関塚監督から長谷部監督に交代

監督交代のお知らせ(ジェフ公式サイト)
 関塚監督から長谷部コーチに、監督を交代したことが発表になりました。
 解任、辞任などではなく、交代としたのは何か意味があるのでしょうか。
 2年間も監督を続けていたこともあって胸が痛む思いもありますが、多くの選手やスタッフの人生、ファンやサポの思いなどがかかっているわけですから、感情論に左右されるわけにはいかないはずです。
 冷静に現状を評価した上で、判断しなければいけません。



 改めて関塚監督を振り返ろうとしたのですが、特別に新しく言えることは少ないように思います。
 毎日のようにブログで取り上げているということもありますが、今シーズンに入っても新たな発見はほとんどなかった。 
 ここ6試合で1勝1分4敗と大きく苦戦しているわけですが、この失速も驚きよりも「やっぱりダメだった…」という思いの方が強く残ります。


 昨年の段階で序盤以降大きく失速し、戦術も構築できていなかったわけですから、通常で考えればオフに解任となるべきだったと私は思います。
 違約金の問題なのか親会社の意向なのかはわかりませんが、大方の予想通り今年も上手くいかなかったことに関して、続投を決断した方はどのように見ているのでしょう。
 個人的には関塚監督就任も解任も含めて、親会社の意向が強いのかなと思っていますが。



 今季に関しては開幕前に選手を大幅に入れ替えたため、どういった基準で見ればいいのか難しい年になるのではないかと思っていました。
 これも予算の問題という説明は出ていましたが、先日発表された経営情報を見てもそう素直には受け取りがたいですし、監督の意向か監督続投で選手が離れた可能性も考えられるでしょう。
 この辺りは以前、西部謙司氏も指摘していました
 ただ、経緯はどうあれリスクが増えたのは事実ですし、今年はじっくりと見ていく必要があるのではないかと思っていました。


 しかし、蓋を開けてみると、チームに関する根本的な部分は全く変わらなかった。
 昨年までと同じく、当初はプレスからのカウンターや個人技の勢いで結果を残したものの、押し込まれた状況での守備の穴を埋められず、後方からのビルドアップも出来ずに低迷していった。
 特にリトリート時の守備が作れないというのは、監督として致命的だったと思います。
 もちろん"監督だけ"に問題があるとは言いませんが、これだけ戦術やチーム作りに課題を抱えていると、"監督にも"原因があると考えるのが妥当でしょう。



 これまでにも話してきた通り、関塚監督はチームに大きく変化を与えた直後は良いものの、それが長続きせずすぐ失速してしまう傾向があります。

 14年も就任直後は成績が向上したものの、8月9月は大きく低迷。
 10月にはカバーリングの長けた選手を並べて穴を埋め、ケンペスなどを終盤に投入してパワープレーで勝点を稼ぐも11月にはまた下降傾向に。

 昨年も序盤のハイプレス期は良かったものの相手に対策を取られると7月まで右肩下がりで成績を落とし、補強した松田などを起用して一度は盛り返したもののまた9月からズルズルと状態が悪化していきます。

 そして、今年も開幕直後はまずまずの成績だったものの、4月には成績が下降。
 5月途中から町田とエウトンの2トップに変更しプレスからのハーフカウンターで勝点を稼ぎますが、またそれを維持できず、成長させることも出来ずに状態は悪化。
 ちなみに4月、7月の平均勝点は「0.8」でしたが、これは過去2年間の中では昨年11月の「0.75」に次ぐ低成績で、現在最下位である北九州の平均勝点「0.88」より低い数値となります。
 もちろんチームですから浮き沈みがあるとはいえ、2年間右肩下がりを続けてきただけに重いデータではあると思います。



 どこかを大きく変更した直後は好成績を収めるものの、積み重ねが作れるタイプではないだけに、オフの大幅入れ替えはむしろ関塚監督にとって追い風だったと思います。
 昨年の選手が残ったとしてもチームに蓄積などは残っていなかったし、あれ以上の組わ合せによる変化も期待しづらいでしょう。
 もちろん戦力的にマイナスとなった面はあったとは思いますが、チームや選手の鮮度が重要な監督だっただけにそちらの方が大きかったと思います。
 むしろ選手をこれだけ入れ替えてもベースを作れず同じ課題が出ていたわけで、結果的に監督の手腕による問題がより明白に出てしまったのではないでしょうか。


 リトリートした時に後方に引いて守るだけなので、中盤の穴が埋められない。
 SBが中に絞るのでどうしてもサイドの外が空いてしまう。
 そして、ビルドアップでも細かな展開が作れず、アタッキングサードでの連携が作れない。
 このあたりは川崎時代から感じられた部分でもあり、当時はまだそれでもよかったのかもしれませんが、古いスタイルだったとも言えるのかもしれません。


 5バックに関しても、ただ後方を埋めているだけなので、山形戦後に指摘したように、どうしてもサイドの前が空いてしまう。
 そして、清水戦では案の定、サイドの前からパスを出されて失点。
 時間がなかったことを加味しても、修正能力に課題を感じた試合だったように思います。
 そういった部分が蓄積してチームを成長させられない、あるいは課題を埋めきれない、そして、戦術を積み重ねることが出来ず、右肩下がりの傾向が出てしまうのではないかと思います。



 選手育成に関しても、町田はようやく芽が出てきたのは大きかったと思います。
 しかし、井出や北爪に関しても起用法が中途半端な印象でしたし、怪我などもあったとはいえ吉田や小池の扱いを考えても見切りが早く、じっくり選手を見ていくタイプではないのでしょう。
 町田も一度は戦力から外されていましたし、運良くはまったというのが実際のところではないでしょうか。
 14年目の大塚や井出、昨年の井出や町田、松田や栗山などの起用法などを見ても、我慢して若い選手を育てようという意思はあまり感じなかったように思います。


 基本的に現在好調な選手をどんどん使って、現時点でのベストを目指す監督なのではないでしょうか。
 それ故にチームや選手の将来はあまり考えず、結果的に「どんなサッカーを目指すのか」も見えてこなかった。
 だから、積み重ねを作れず、チームを総合的に成長させることが出来なかったのだと思います。
 


 ただ、特に就任当初は積極的に選手を入れ替え好調な選手を使うという傾向が、サポやファンなどにウケがよかった。
 昨日Twitterでもお話させていただきましたが、ジェフはミラー監督のあたりからともかく前への勢いや思い切りの良さ、クリーンなイメージなどが重視されている印象です。
 先日ブログでも言いましたが、サッカーをエンタメ的に見る傾向も強くなっているのかもしれません。


 チームにベースや実力のある状況ならそういった方針でも成立した可能性はあるのかもしれませんが、ジェフは07年末の大量流出からチームとしての軸が作りきれていない。
 だから、どこかで我慢してじっくりチームを作らなければいけないと話してきていたわけですが、そういったタイプである鈴木監督も途中解任となった。
 結局そういったやり方やそういったタイプの監督が、今のジェフには好まれないということではないかと思います。


 その背景には、甘さやおごりなどもあるのかもしれません。
 そこが変わらなければ、なかなかこの負の連鎖からは抜け出せられないようにも思います。
 真摯にサッカーと現状と向き合って、じっくりと我慢して、少しずつ積み上げる。
 そこが何よりも求めらるところではないでしょうか。 



 先日話した通り、個人的にはシーズン中の監督交代は最終手段だと思っています。
 シーズン中では後任の監督にとってもやりづらくなるし、有力な監督候補もいないかもしれない。
 慎重に判断しなければいけないと思っていました。


 ただ、清水戦で1点取るまでは、ボロボロでさすがにこれは交代するしかないのかなと感じました。
 スペースも埋めきれないし、球際にも強くいけない。
 何よりも選手たちが、完全に迷っているように見えた。
 これはチーム崩壊のよくあるパターンだと思いますし、それによって信頼を失った監督が指揮を執り続ければ、選手にとっても監督にとっても良い状況とは言えないはずです。



 とはいえ、そこから4-4-2にして一度は逆転。
 半ば捨て身の姿勢で勢いを持って前に出ていった結果だと思いますが、最終的には全体をマネジメントしきれずにやられてしまった。
 序盤に守備が崩壊していたこともあって、リードしても守りきる形に切り替える勇気がなかったのかもしれません。
 関塚監督らしい最後の試合だったとも言えるのかもしれません。


 それでも一度は巻き返したため監督交代はないのかなとも思っていましたが、関塚監督自身「何といっていいのか、言葉もありません」と話していたそうですし、チーム内のショックも大きかったのでしょうか。
 1点取るまでがあまりにも酷く、終盤に2点を失っての逆転負けということで、その両方を加味されての決断だったのかもしれません。
 もちろん自動昇格圏から勝点17差、PO圏内からも勝点8差、逆に最下位との勝点11差という成績も極めて大きいのでしょうが、チームの根本は昨年から大きく変わっておらず、ここからの成長も期待しづらかっただけに、あとはタイミングだけだったようにも思います。
 ちょうどシーズンの3分の2を経過したところということで、そこも1つのポイントだったのでしょうか。



 結局長くなってしまったので、新チームに関してはまた明日。
 クラブにとって大事なのは、この"失敗"を糧に周囲の考えや意思決定の経緯が変わるかどうか。
 そこが何よりも、重要なところなのではないかと私は思います。
 改めて関塚監督、お疲れ様でした。