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Jリーグにおけるプロビンチャの生きる道

 いきなりですがプロビンチャって自分から言うのは嫌いです(笑)
 イタリア語ヨクワカラナイけど、プロビンチャって小さくても地域に根付いて頑張っているクラブという意味も含まれているんじゃないでしょうか。
 それを自ら名乗るってのはね。
 それに選手を売るようなことを良しとされておらず、まだまだイタリアほどチーム間の差がないJリーグにおいて、こういった言葉を使うのは抵抗があります。




 まぁとはいえ他に良い言い方も見付からないので、ここでは使わせてもらいますが。
 Jリーグプロビンチャというものがあるのなら、ジェフも含まれていると私は考えます。
 そして、Jリーグにおいてプロビンチャの生きる道は、大きく分けて主に2つあるのではないかと思っています。








 1つは日本人選手を中心に人数をかけた硬い守備を徹底して、攻撃は主にブラジル人ストライカーやスピードのある日本人選手などを頼りに一発カウンターを狙うサッカーをすること。
 もう1つは結果にはあまり囚われず自分達の攻撃サッカーを貫き、美しく咲き美しく散るチーム。


 前者は比較的ポピュラーで、現にこのサッカーを熟成し上位に来ているチームも多くあるはずです。
 確実に結果を求めるのなら、こちらの方が絶対にいいでしょう。


 一方、後者は甲府や一時期のジェフのようなサッカー。
 こっちの方が難しいけれどやりがいはあるし、何より見ていて面白い。
 けれど結果に結びつくかどうかは難しいし、下手をすれば昨年の甲府のように降格もありうる(広島もこれに入るのかな)。 







 しかし、オシム監督はその難しいサッカーの方で結果まで出してしまいました。
 それで多くの人が勘違いし、方向性も見失ってしまった。
 

 サポーターはチームにともかく結果を求め、試合前にブーイングし、特定の選手だけを批判し、チームが難しい時期(監督が変った直後やオシム監督が倒れた直後)にも厳しい罵声を浴びせました。
 これらは「選手達を試合に集中させ、精一杯戦ってもらうために応援する」というサポーター本来の方向性すらも見失う、酷い状況だったと私は思います。
 本文とは関係ないけど、今年はサポーターも土台を作り直さなければいけない年になるんじゃないかと思います。











 閑話休題
 クゼ監督は前者を選んだようです。
 それは賢い選択ではあると思います。
 しかも、この短い時間で守備組織をきっちり作ってきたのだから、そういった方向性の上では素晴らしい仕事をしていると思います。
 攻撃力の高いG大阪に対し、松本を1列前に上げるなんてのも冷静で確実な策だったと思います。
 そういう意味でsmartと言えるんじゃないでしょうか。
 だけど、coolではないかもしれない。



 もちろんチームに結果を求めたのはサポーターなのだから、その方向性を選んだことに対して文句は言えません。
 西部さんもおっしゃっていたように、去年は出来なかった試合もあったけど基本的には攻撃的サッカーを継続していたはずです。
 でもそれに対してサポーターは反対していたのですから。


最後に1つだけ。試合後、対戦相手の監督のほとんどが「千葉は攻撃的なチーム」という印象を語っていました。内容の悪い試合もありましたが、志は失っていなかった。これはとても重要で、誇れるところだと思います。
 もしかしたらこういった観点から見れば、今のジェフは前進しているように見えて後退しているとも言えるのかもしれません。



 西部さんは「犬の生活」を止めるかもしれないけど、あのコラムを始めたのもジェフを通じてそういったチャレンジを取材したかったからなのかもしれませんし。
 リスクを冒したサッカーをしなければ結局は「その他大勢」になってしまうわけですから、サポーターは続けるにしてもサッカージャーナリストにとってはもう良い研究対象とは言えないのかもしれません。
(そう考えるとジャーナリストがサポーターになってコラムを書くというのは、初めから難しいことだったのではないかと思います。もっともクラブの番記者があたかもサポーターのようになり、私情を含んだ文章ばかりを書く日本において「犬の生活」はむしろ成功していた方だと思っていますけど。)










 まったくの個人的な意見ですが、正直に言ってG大阪戦はショックでした。
 内容は悪くない、監督の狙い通りのサッカーは出来ている、だから試合内容は良かった。
 でも良かったからこそ、逆にチームの方向性はこのまま進むということになるんでしょう。
 もちろん開幕戦だしクゼ監督になって初の公式戦なのだから、不恰好でも今は結果を求めないといけないのかもしれない。
 けれどたぶんこのチームの先に、攻撃サッカーはないと私は思います。
(いい意味でその予想を裏切って欲しいとは思うけど、それが叶ったとしてもたぶん何週間とか何ヶ月の単位ではないかと思う。)
 ちばぎんカップでも守備的なサッカーでしたし。


 「今は守備を固め、いつかは攻撃サッカーを目差す」という言う考えも多いようですが、それは現実的ではないように思います。
 例えば水色のチームや赤いチームが今のサッカーをベースに、いきなり攻撃サッカーをするとは思えません。
 そのようなチームが攻撃サッカーに移り変わるのであれば、その時には一度ベースを作り直さざるを得ないんじゃないでしょうか。

 





 結局のところ、どこにチームのプライドを感じるのか、ということなのかも知れません。
 G大阪相手に必死に守って勝点1を確保することなのか、殴り合いをしてでも綺麗に散るのか。
 どちらが正しいと言い切れるものではないけれど、私自身はこの大幅な変化についていけていないようです。






 もしかしたら多くの人がオシム監督の功績の部分に影響を受けてしまった一方で、私なんかはオシム監督のサッカーそのものに酔ってしまった…というだけの話しなのかもしれません。 
 それはたぶん小さな差なんだろうけど、結果的に受ける影響というのはだいぶ違うんでしょうね。










 まぁ、単なるボヤキです。
 だからといって批判を言うつもりもないし、変化を求める立場にもないんだと思う。
 これが時代の流れなんでしょう。


 でも、オシム監督が今ジェフのサッカーを見に来たら、どう思うんでしょうね…。