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木山監督、神戸のコーチ就任へ

J2千葉を今季限りで退任する木山監督が、神戸のコーチに就任することを認めた。ファンとの交流イベントに出席し、千葉での最後の仕事を終えた指揮官は「結果は出せなかったが、楽しく充実した一年だった。まだ神戸に返事はしていないが、やろうと思っている」と心境を明かした。 (スポニチ

 ここ数年、監督を退任してから一時期現場を離れる日本人指導者が多かった印象ですから、コーチとしてであっても現場に残られるというのは嬉しい話なのかななんて思います。
 ヘッドコーチとして所属していた清水ではうまくいかなかったようですけど、今回は神戸側の要望が強かったようですし、うまくいくといいですね。
 もちろんその背景には、水戸時代や今年1年間ジェフを率いたという経験も大きく買われてのことだと思いますが。



 木山監督は天皇杯鹿島戦の後に、監督業やご自身に関してこう振り返っています。

「長い年月をかけてチームを熟成させることを要求されることもあるし、逆に今年の僕のように1年勝負で(J1に)上がることがマストという勝負もあるし。でも、やっぱりそのリクエストに応えられるのが監督の仕事だと思うので、そういう意味ではもしも次、1年勝負の仕事を引き受けるとすれば、今年の経験はまた大きく生きるでしょうし、ひょっとしたらより勝負に徹する試合もあるのかもしれないです。
(中略)
そういう勝負の厳しさというのは自分自身ももっと感じてやれる監督にならなければいけないのかなと。」

 やはりそもそも昇格できなければ1年勝負という契約だったのでしょうね。
 個人的には最終的に大事なのは、勝負にこだわることができるかどうかじゃないのかなと思います。
 それは育成を求められる監督だろうとも、1年で結果を求められる監督だろうとも同じで。
 もちろん後者の方が重要になってくるところだとは思いますが、若手を育てるタスクを求められたとしても、勝負に徹することで厳しさを植え付けられるという面もあるでしょうし。


 いかに綺麗なサッカー、いいサッカーと言われるものをしても、勝たなければプロとしては成立しないと思いますし、それこそチームに「甘さ」が残ってしまう。
 もちろん勝負に徹して負けたのであれば、それはそれで仕方ないにせよ。
 しかし、木山監督はそこに徹することができていなかった印象もなくはありませんし、それはご自身が「より勝負に徹する試合もあるのかもしれない」と言っているところからもわかる部分があるように思います。
 日本人指導者はやはり上から下への教育がしっかりしているのか、「いいチーム」は作る指導者は多い。
 けれども、そこから「勝てるチーム」を作れるかどうかが、本物かどうかの分かれ道ではないかないと思います。
 


 その前に話している「最後は個人の質」というのも、ちょっと残念というか。
 まぁ、それは鹿島戦においての話で相手はJ1のチームだからという言い訳はできるのかもしれませんけれど、J2ではその話は通用しなかったはずで。
 確かに「最後は個人の質」というのは間違ってはないのでしょうけれども、癖のある外国人選手を嫌っていた印象もあるわけですから、そういうことならばもっときちっとサッカーを細部まで作ることのできる監督にならなければいけないんじゃないのかなと思います。
 その上での「最後は個人の質」ならば納得ですが、まだ最後まで行けきれていなかったよなと自分は思ってしまいます。


 そのコメントも日本人指導者らしいコメントというか、江尻監督も同じようなことを言っていましたけれども…。
 そういった話をしてしまうと、選手たちもなかなかついてこれなくなってしまうんじゃないのかなぁと。
 指導者は負けた時のコメントのほうが、その監督の性格が出るように思いますしね。

「1年間本当にトータルして考えると、僕自身が引き受けたチームは昨年、J2で6位のチーム。どの数字を取ってもJ1に上がれる数字はなかった。ゴール数、失点数、ポゼッション率。でも、ある程度数字的にはJ1に到達できるぐらいの数字にはなってきたと思います。」

「自分のやろうとしてきたことは随分、体現できるチームにはなったと思うし、ただ、そこで勝負を取るっていうところに、つながらなかっただけだと思います。来年の監督さんは楽だと思いますよ(笑)実際、今年もあと5〜6点取れていれば昇格できたと思うし、昇格できる力はじゅうぶんにあると思います」(BLOGOLA

 まず昨年に関してですけど、最後に監督交代といった博打を打って失敗に終わったから、傷跡は大きくなってしまいましたが、ドワイト監督が解任された段階では3位との勝点差も6あたりで順位も4位くらいでしたから、そこまで成績に関して変わったとは言えないんじゃないのかなと思います。
 監督交代をしてから失敗したのは、チームレベルの問題というよりはクラブレベルの問題ではないかと思いますし。
 もちろんドワイト監督のチームでは伸び代が期待できなかったようには思いますけど、そのあたりを差し引いた最終順位でも1つしか上がっていないわけですしね。


 BLOGOLAの方では今期最後の練習が終わった後にインタビューが取られたそうですが、「勝負」の話は上でも言った通り。
 J2レベルでは予算はある、戦力もある、環境もあるはずのジェフなのですから、昇格できる力はあるだろうと3年間言われ続けてきました。
 けれども、勝てるチームになりきれずに昇格を逃してきたわけですから、その勝負どころでの強さこそが何よりも必要であって、木山監督にも期待していたところだったはずだと思います。
 それこそ「甘さ」を脱却するために。



 それを考えると若干ピントがずれているというか。
 木山監督はどうも自分やチームを第三者目線で見られていることが多い印象で、全体を統括する監督としてそれはすごく大事な要素だとは思うのですが、では実際に木山監督自身はどうすべきなのか、自分の気持ちはどうなのか…といったところが感じられなかった気もします。
 賢いからこそそういった言い回しなのかもしれませんけれども、その結果なんとなく問題を直視できていない、すべてを受け止めきれていない感じというか、問題点はわかってもそこからどうするのかな?という部分が見えないことが多かったのかなと。


 実際にサッカーも同じような感じで、パスをつないで全員で守るサッカーをする…。
 そういった大枠は確かに見えていたけれども、細部までは作りきれない具体性の欠けたサッカーだったかなと思います。
 そう考えると面白いというか、監督の性格がそのままチーム作りに出てくるということなんでしょうね。
 例えばオシムさんなんかは「面白いサッカー」を目指しながらも、実はすごく負けず嫌いでしたし。
 代表の頃はちょっとその負けず嫌いなところを抑え過ぎていたのではないか、とも思っていましたが。



 最後も厳しい話になってしまいましたけど、昨日も言った通り綺麗事で終わりたくないというのがありまして。
 J1に善戦した、1年での解任、次期監督が決まらない、そもそも容姿も端麗で人気もある…と、いったところで、監督を擁護する流れにもなりがちかなとも思いますし。
 もちろん私もひどくはなかったというか、木山監督就任時に一部でも言われていたように、ようやくまともな監督が来たのかなとは思いました。
 ただ、普通ではあってもそれ以上ではないといった印象も確かにあって、じゃあ2年目を任せて更に状況が良くなるかどうかというと、そこは悩ましいところなのかなと。
 今期もグッドなチームは作れても、ベストなチームではなかったわけで。
 最後は安定してしまった印象がある分、なおさら来期の大幅アップは期待できないのかな?とも。


 1年間ではありましたが、ありがとうございました。
 1年勝負だったということが初めから決まっていたのであれば、この別れは妥当なものということになるのでしょう。
 今後、良い監督になられることを期待していますし、そのためには殻を破ってもっとわがままになってもいいんじゃないのかななんて思ったりもしましたが。
 ともかく、お疲れ様でした。
 新天地での活躍を期待しております。