昨日は天皇杯ジェフ対C大阪戦もありましたが、まだ試合をチェックできていないので、火曜日の日本代表対ブラジル代表戦の感想を。
アギーレ監督は、ブラジル代表戦前日に大幅なメンバー変更を発表。
ジャマイカ代表選では、ほぼベストメンバーだっただけに驚きました。
実際ブラジル代表戦でのスタメンは若く、代表での出場経験の少ない選手たちでした。
アギーレ監督にとって現在は多くの選手を試したい時期だと思いますし、連戦ともなるのでこの2試合でメンバーを変えることは理解できます。
出来ればブラジル代表戦で実績あるメンバーたちを見たかった気もしますが、ジャマイカ代表戦はホームでここまで勝利のない新体制でしたので、あの試合で勝ちに行ったということでしょうか。
アギーレ監督の中で、ブラジル代表戦を特別視しないということなのか。
なんにせよアジアカップまで時間がない状況ですから、そこまでに準備を整えることを第一に考えるという意図もわからなくはないと思います。
しかし、出来たばかりのシンガポールのナショナルスタジアム、芝がかなりひどかったですね。
シンガポールはF1でも政府をあげてレースを開催し、音楽ライブなども含めて様々なイベントを行い、海外からの観光構客誘致を成功させています。
このスタジアムではラグビーなども出来るようですが、8月のこけら落としもユベントス対シンガポール選抜の対戦だったそうですし、積極的に海外の有名チームを呼んで盛り上げていこうということなのでしょうか。
それにしても芝があれでは、呼ばれる方もためらってしまいそうですけど…。
さて、試合。
日本代表はスタートから、守備の意識が高い展開。
1トップの岡崎は主に相手のボランチ付近で守備をして、相手のSBがボールを持ったらSHが、相手の中盤が低い位置でボールを持ったらインサイドハーフが、前に出てく。
現在のジェフでも見られることがありますが、無暗に中盤の選手が食いついて前に出ていくと、中盤のスペースが空いてしまうこともあります。
しかし、アギーレ監督の4-1-4-1では残りの4人がバランスを重視したポジショニングをすることで、穴を埋めようという意図を感じます。
このあたりを見ても、組織的な意図を強く感じるディフェンスですね。
しかし、日本代表の選手たちは、キックオフからコンディションが非常に悪そうに見えました。
運動量が足りず、一歩目の出足が遅い。
全体的に体が重そうな印象で、球際の厳しさも足りない。
その結果、試合の経過とともに、全体のラインが下がって行ってしまいました。
ブラジルもコンディションは決して良くなかったでしょうが、そういった状況でも勝ててしまうのがブラジルですからね。
特にネイマールが最後まで戦いきったところは、素晴らしいと思います。
攻撃に関しても物足りなかったですね。
攻撃に移っても人数が前に出てこないことが多く、なかなかカウンターの形が作れない。
加えて、これまでの試合で見られたパターンであるウイングがポストプレーをしてからの展開も、ほとんど出来ていなかった。
組織的な攻撃が作れず、手探りで戦っているような印象でした。
このあたり大きくメンバーを変えた影響が大きいのではないかと思いますし、仕方のない面もあったのかもしれません。
どういった経緯かはともかくとしてほぼ急造のチームとなりましたから、練習でもまずは守備から組織を作っていったのかなと感じる部分でした。
ただし、遅攻時にウイングが前に出ていったことによって、相手4バックを低い位置にポジショニングさせさせ、中盤の選手がうまく4バックの前に位置取り縦パスを受けようという今までにない形も見られました。
いわゆる「間を狙う」展開からチャンスを作れそうなシーンも何度かあったわけですが、これを狙ってやったものなのかどうか。
あるいは、意図的なものではなくこのメンバーがウイングのポストプレーからの展開を作れていないため、偶発的にできたものなのか。
ブラジルのDFはもともと受けて守る姿勢を取ることが多いからこそ、無理に人に付かずあそこが空いたという部分もあったのかもしれませんが、これが今後新たなバリエーションとなり得るのか気になります。
全体的に見れば課題が多く収穫も少ない試合だったと思いますが、ウイングからのポストにプラスしてこの展開が狙っていけるのであれば、それは1つの可能性とも考えられるのかもしれません。
試合は前半18分。
ジエゴ・タルデッリからのスルーパスに反応したネイマールがDFラインの裏を飛び出して、決められてしまいました。
このシーンでは中盤の低い位置に一度引いたジエゴ・タルデッリが、ワンツーで中盤を抜け出し、スルーパスを出されてしまったところからやられています。
あえて田口を釣り出すように一度引いてから前に出ていってフリーにしてしまったもので、田口としては相手が個人技のあるブラジルだからこそ積極的に潰しに行ったのかもしれませんが、4-1-4-1のアンカーとしては簡単に裏を取られていけないはずで。
田口はパス出しなどでは可能性を見せてくれましたが、残念な初スタメンとなってしまいました。
後半開始早々には、柴崎がボールを奪われたところから裏を取られて失点。
攻守に感じるのは、カチッとはめるサッカーを狙っているだけに、中盤で1つでも外れるとそこから綻びができるということ。
1失点目も2失点目も中盤で裏を取られたところからやられています。
ジェフサポ的に思い返すのは菅澤代行監督時代ですね。
あのサッカーも前からきっちり順番にはめていくディフェンスでした。
後半に入ってからの日本代表は前からのプレスが弱くなって、守備がはまらなくなっていった。
そこは連携面の問題もあるでしょうし、「簡単に外してはいけないんだ」という意識の問題も変えていかなければいけない気がします。
そのあたりは少しずつ改善していく部分はあると思うのですが、実際に外れたときに後ろがどう守るのかも考えていかなければいけないかもしれません。
後半32分にはミドルシュートのこぼれをネイマールが決めてハットトリック。
このシーンもカウンターで中盤の裏を取られたところから。
しかし、後半から何度も相手にチャンスを作られてしまいましたが、ブラジルのカウンターは速く、ディレイしようとキレのある仕掛けで一気にチャンスを作ってしまいますね。
なかなかブラジルには勝てないなぁと思ってしまうのがそこで。
アルゼンチンにも0-2で勝っていますし、単純に強かったとも思います。
そして、最後もネイマール。
逆サイドからの仕掛けに対して塩谷がマークを外してしまい、ネイマールがフリーでゴール。
この辺りは集中力も切れていたように思います。
試合に関しては本気で成績を狙うのならそもそもこのメンバーではないでしょうし、ネイマールにマンマークを付けるなど特別なブラジル対策も考えられたと思います。
そのあたりから考えても、あくまでも初期のチーム作りにおける一戦として、この試合をとらえていたのだろうと考えられます。
アジアカップ前にこの試合を組むべきだったのかどうか悩みますが、アギーレ監督はともかくとして日本サッカー協会としては、どこかでアジアカップ前に話題性が欲しかったという面もあったのでしょうか。
この大敗によって選手のメンタル面にどのような影響を与えるかが注目ですね。
ここから這い上がってこれる選手はだれか、それとも怖気づいてしまうのか。
プレーに関してもやれた部分とやれなかった部分はあったと思いますし、そこから学べるかどうか。
苦しい試合でしたが、それぞれの選手が世界のトップレベルを体感できたことを無駄にしないと思えるかどうかが大事なのではないかと思います。
しかし、日本代表としては2012年の0-4、2013年の0-3に続くブラジル代表戦での大敗ということになります。
さすがに悔しいというか、いつかブラジルに勝てるのかと、本当に悩んでしまいますね…。
2013年のコンフェデでも日本はコンディションが非常に悪かったですし、次ブラジル代表と対戦するときはぜひ整った状況でやりたいところで。
戦術的には世界レベルの相手にも、中盤で相手をはめきれるかどうか。
今はまだその基礎もやりきれていない初期段階といった印象があるだけに、今から批判の声が多く出ているのはちょっと驚きです。
レベルは違うものの、ジーコ監督からオシム監督に移ったころをなんとなく思い出します。
あの時も自由なサッカーから約束事が増えたことや監督のやり方も含めて批判を受けていた印象ですが、ブラジルW杯は明らかに失敗だったわけで、最終的にどういったチームを目指すのか、期待するのかが重要ではないかと思います。
とりあえずはアジアカップまでに1つの形が作れるかどうかですね。