昨日行われたアジア杯日本代表対イラク代表戦。
グループリーグ首位候補同士の対決ということで、両チームともに序盤からアグレッシブにプレーしていた印象でした。
前からのプレスも激しく攻撃も積極的で、イラクは個人技での一発もあるチームだったと思います。
前半4分には、後方から長谷部、本田と縦に通して、岡崎が抜け出したかと思いきやオフサイド。
前半10分には、酒井が本田に縦パスを出してオーバーラップ。
酒井が相手DFをサイドに釣りスペースを作ったところに香川が斜めに走りこんでいき、そこへ本田がスルーパス。
香川が抜け出しましたが、シュートは枠をそれます。
日本は前線のパレスチナ戦と同様に、ビルドアップ時に長谷部がDFラインまで下がって前にパスを展開。
イラクは4-4-1-1のボックスディフェンスといった印象でしたが、日本の後方3人をどのように抑えるのかはっきりせず、縦パスを出しやすい状況になっていました。
比較的身長の高い選手が多いイラクですので、後ろで構えて守ろうという戦術だったのかもしれませんが、ボックスのバランスも崩れやすく中途半端な守備になっていた印象でした。
日本はパレスチナ戦ほど左サイドで裏を取って攻撃という形は作らず、その分中央でのパスワークからスルーパスといった展開が増えていました。
それもイラクのリサーチした上での狙いだったのかもしれません。
イラクの守備陣は縦へのスピードに課題があった印象で、特に前半はどんどん裏を取れた印象でした。
特に乾あたりが相手のDFラインとMFライン動きは印象的で、その動きによって後方からのボールを引き出し、中央で相手をひきつけておいて裏へという形が作れていたと思います。
前半16分には長友が切り返して、ファーの本田へどんぴしゃのクロス。
本田はヘディングで合わせますが、クロスバーに嫌われます。
そして前半23分、日本代表が左サイドでパスをつなぎ後方にいた遠藤にボールが渡ると、乾が裏に飛び出しそこに遠藤が狙い澄ましたスルーパス。
乾は中央に合わせ岡崎がシュートを放つもGKにはじかれますが、そのこぼれ球の競り合いで本田が倒されPK。
これを本田が決めて先制ゴールをあげます。
しかし、その後は両チーム停滞状態。
蒸し暑い状況での試合ということで、疲労の面もあったのかもしれません。
イラクのディフェンスは待ち構えるのではなく人に付く意識が高まっていった印象で、それに日本の選手たちが苦しんだ印象もありました。
日本は攻撃時に長谷部が下がってSBがあがり、極端に言えば、3-6-1とも見て取れるようなフォーメーションになる。
そのためミドルゾーンから前で相手を横に広げることができ、相手の中央にスペースが出来てそこに縦パスを入れることが出来る。
あるいはサイドでビルドアップする時に、片方のサイドに人数をかける傾向にある。
例えば左サイドなら森重、長友、乾、香川に加えて、状況次第では岡崎などもサイドに流れる。
そこで相手をひきつけておいて、中盤後方で浮遊している遠藤に一度戻して、そこからバランスの崩れた相手の守備に縦パスを展開する。
どちらにせよ、そのためには流動的に選手が動き、中盤で効果的な動きをするために近い距離感を保たなけれならない。
この日の日本は、1点取った後に運動量が落ちてしまった。
どんなサッカーでも運動量が落ちれば厳しくはなりますが、それもあって流動的な動きが出来なくなり、苦しい状況になっていったように思います。
後半からはイラクが攻めるシーンが増えていきます。
これまでにも散々指摘されてきたように、劣勢になると4-1-4-1は厳しくなることが多い。
プレスがはまっている状況ならいいものの、中盤の「4」が後ろ向きのベクトルで守る時間帯が多くなると、後方に控える人数が少ない分どうしても安定しない状況になってしまう。
そのあたりが、後半開始から苦しんだ理由ではないか思います。
しかし、後半20分に遠藤と乾に変えて今野と清武を投入。
ダブルボランチ気味にして中盤で守備に粘れる選手2人を入れたことで、相手の攻撃を遅らせることができ守備面で安定。
攻撃でも運動量が増して、また日本優勢の時間になっていったと思います。
ただ、4-1-4-1にすると、攻撃面での連携はまだ不十分な印象でした。
相手の疲労や日本の切り替えの早さもあってカウンターではチャンスを作れたものの、厚みのある攻撃という意味では物足りなさを感じました。
結局、試合はそのまま1-0で終了となります。
チャンスの数でいえば、日本はもう1点は取れる試合だったのではないでしょうか。
特に本田が3度もクロスバーに嫌われたというのは、非常に残念ですね。
大事な試合にとっておいたと思いたいですが…(笑)
攻撃においては試合途中までは良かったですし、守備に関しては後半途中からは悪くなかったと思います。
清武、今野が入って守備が締まったということも、大会の今後を考えれば重要になってくるのではないでしょうか。
ただ、攻守に良い形を同時に作りきれたとは言いきれないように思いますし、そこが大きな課題ということになるのかもしれません。
試合を通じてレベルアップしていけるかどうか。
攻撃、守備共にそれぞれに良い時間帯は作れたはずでヒントはそこに隠されているはず。
その両面をうまく取り込めるかが、今後の見どころなのかなとも思います。
次の試合は20日、ヨルダン代表戦となるそうです。