開幕から2連勝で今シーズンをスタートしたジェフ。
今週末はアウェイで栃木と対戦します。
栃木はオフに鈴木智幸、岡根、チャ・ヨンファン、近藤、大久保など多くの主力選手が退団。
尾本、ハン・ヒフンなどを獲得しましたが今年も厳しいオフになった印象で、メンバーも大きく入れ替わっています。
長崎、水戸もオフで苦しんだ印象ですし、ジェフは開幕から比較的カードに恵まれているようにも思います。
栃木は開幕戦をホームで迎え、札幌相手に1-2で敗戦。
ナザリトに2ゴールを奪われ、試合終了間際に何とか1点を返した展開でした。
第2節はアウェイ横浜FC戦で1-1との引き分けとなっており、今季はいまだ勝ち星のない状況となっています。
なお、開幕戦では4-2-3-1のフォーメーションで戦った栃木ですが、その試合で本間が退場し出場停止となったこともあって、第2節横浜FC戦では4-1-4-1となっていました。
第3節ジェフ戦では本間が戻ってくるでしょうから、また開幕戦の布陣に戻してくるかもしれません。
もっとも栃木は昨年も2ボランチと1ボランチを併用していた記憶がありますが、戦い方のベースは4×4のゾーンで変わらなかったように思いますし、どちらで戦っても大きな変化はないのかもしれませんが。
今季からジェフに完全移籍で加入したパウリーニョは、昨年こそ川崎にレンタル移籍で在籍していましたが、2010年から長らく栃木でプレーしていました。
2012年からは栃木でキャプテンも務め、中心選手として活躍。
栃木でとても愛されていた選手といったイメージがありますし、パウリーニョ本人としても栃木との対戦は思うところがあるのではないでしょうか。
ジェフに加入してからは、初年度でキャプテンに就任。
ここまでの2試合を見てもすでに欠かせない、チームの大黒柱になっています。
早くもパウリーニョが抜けた時が怖い印象すらありますね…。
栃木では骨折や靱帯断裂など長期離脱も多かったパウリーニョですが、球際に激しい選手だからこそ大きな怪我をしてしまいがちなところがあるのでしょうか。
磐田もアダイウトンが大当たりで前節京都戦では1人で試合を決めてしまった印象すらあるわけですが、戦力が均衡している印象のあるJ2の上位争いだからこそ、1人の有力外国人選手の存在だけで戦力構図が大きく違ってくるところがあるのかもしれません。
ここまでのところ、ジェフではパウリーニョがそういった存在になっているように思います。
しかし、栃木でのプレー内容も素晴らしいものがあったとは思うのですが、正直ここまでハイレベルなプレーをしてくれるとは思っていませんでした。
栃木は同時から4×4で組織的なサッカーをしていた印象が強いわけですが、ジェフでは比較的自由にプレーしている状況だと思います。
広いエリアに顔を出し攻守に大車輪の活躍をしているのを見ると、パウリーニョは自由にやらせた方がより良さが出る選手なのかもしれませんね。
川崎で苦労したのも、主に攻撃面で細かくつなぐ部分が合わなかったのではないかと思いますし。
今季のジェフはそのパウリーニョを軸とした攻守の切り替えからのボール奪取で、主導権を握るサッカーを展開。
切り替えからボールを奪ってのハーフカウンター。
それがダメならサイドチェンジからのアーリークロス。
加えてセットプレーからの攻撃という展開が、今季これまでのサッカーということになると思います。
ただ、これまでの2試合は前半リードして逃げ切る展開だったということを差し引いても、後半からの失速は目につく部分でした。
切り替えからの積極的なプレスが軸となっているだけに、体力的な消耗は激しいのかもしれません。
そのプレスをかいくぐられた後の守備に関してはバランスに課題があるように見えますし、プレスが効かなくなると全体的に押し込まれ攻撃面でも苦しむ傾向があるように思います。
相手チームとしては、そのプレスを凌げればチャンスと考えられる部分があるかもしれません。
またパウリーニョを避けてのサイドに守備に関しても課題を見せており、特に左サイドは不安材料となっています。
2試合続けて後半から相手に対策を取られ、サイドを突く攻撃に苦しんだ傾向がありますから、そこをどう改善していくかが大きな課題となるでしょう。
パウリーニョが左サイド後方のフォローに行くことも多かったですが、その分中盤の守備力が弱まったように見えましたし、チームとして全体のバランスを取れるかどうかが重要となってくるのではないでしょうか。
まだ2試合ということもあって、対戦相手はここまでのところ目立ったジェフ対策をせずに戦ってきている印象です。
そのため試合の前半はジェフがうまく戦えており、後半に対策が取られて苦しむ試合が続いているのではないでしょうか。
J2に降格してから毎年苦しんできた引いた守備を敷くチームとも対戦していませんし、ここまでは順調ではありますがまだまだこれから悩みは出てくるのでしょう。
今季のジェフはパウリーニョやペチュニクなどの加入もあって、早い段階から非常に完成度の高いチームになっているように思います。
2人はいきなりチームの主軸となっており、自分たちで試合を作れて攻守に貢献できる、総合能力の高い選手ということもあって、今季はチームの完成度が非常に早かったのではないかと思います。
しかし、完成度が高いチームなだけに、相手チームからすれば早期に対策は取りやすい部分もあるかもしれません。
また、ここからどれだけ進歩できるかも、非常に重要になってくると思います。
昨年も関塚監督に就任してからでは10月のチーム状況が一番良かったように思いますが、あそこがピークになってしまってプレーオフの頃には相手に研究され、チームの勢いも落ちていた印象があります。
スポーツなどではよく言われるように「停滞は後退を意味する」ことが多々ありますから、ここからいかに成長していけるかどれだけ伸び代があるかといった点も、長いシーズンを考えると極めて重要となるでしょう。
現在のチームを考えると、まずは切り替えからのプレスに行けなかった時の守備バランスの改善。
そして、攻撃においてはバリエーションを増やすことが、重要になってくるのかなと思います。
特にロングカウンターでのチャンスメイクが作れるかどうかが、重要になってくるのではないかと個人的には思っています。
ボールを奪った直後のハーフカウンターというのは、奪った時点で相手の守備バランスが崩れていることが多いので、チャンスになりやすい。
しかし、ロングカウンターの場合は後方に相手の人数が構えている場合もありますから、ある程度チームとして組織的な形も作っていかなければいけないでしょう。
ジェフは今季に入ってからも速い攻撃を掲げていますが、実際にはロングカウンターではチャンスを作れていない印象があります。
ハーフカウンターは前からのプレスに行けていることが前提ですが90分間やり抜くには難しいところがあるだけに、ロングカウンターでもチャンスを作れるようになっていきたところなのではないでしょうか。
そのあたりが、現在考えられるチームとしての伸び代なのかなといった印象を受けます。
逆になかなかそのあたりが改善・向上できていかないとなると、今後停滞していく可能性も出てきてしまうように思います。
もちろんチームの伸び代としては、若手・中堅選手の成長なども期待したいところですが。
まずは、栃木戦。
パウリーニョがお世話になった古巣相手に、どういったプレーを見せられるのか。
そして、栃木はパウリーニョ相手にどのような対策を見せてくるのか。
そのあたりが注目となってくるのかもしれませんね。