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ハリルホジッチ監督就任からの2試合

 ハリルホジッチ監督が就任した日本代表は、チュニジア戦、ウズベキスタン戦の2試合が行われました。
 マスコミはどうしても日本代表の危機と煽った上で、新チームを盛り上げたいようですね。
 個人的には違和感を覚えてしまいますが…。


 まずチュニジア代表戦でのスタメンが話題になりましたが、監督の話や2試合目のスタメンから考えても、テスト的な意味合いの強いメンバーだったようです。
 初戦ということを考えれば仕方がないところもあったのかもしれませんが、セレクタータイプというよりトレーナータイプの監督で組織力を重視するのかなと思っていましたし、W杯予選まで時間もなく勝利にこだわる監督という話も出ていたので、テスト的なメンバー起用にはちょっと拍子抜けした面も。
 怪我人までも招聘しあれだけの人数を集めれば、それぞれにチャンスを与えなければいけないという面もあったのでしょうが。



 攻撃に関しては、ダイレクトプレーとカウンターを重視するサッカーになっています。
 ただ、遅攻でもボランチがボールを持った際にはFWが受ける動きをして相手DFをひきつけ、そこをめがけて他の選手が裏に走りこんでいく、あるいは一度戻ったFWが落として反転して走り直すといったプレーも見せていました。
 「サイドチェンジをしようとすると怒る」素振りも見せていたようで、崩しの面も考えた監督なのかなと。
 ただ、その時にも裏を狙う意識というのは強く、積極的にワンタッチパスを使っていこうという意図を感じました。


 一方で逆サイドのボランチは横に控えているにもかかわらず、サイドチェンジをさせないというのは意外にも思いました。
 状況によりけりでしょうが、ボランチに関しては攻撃時も無理な攻撃参加はさせず、守備を考えたポジション取りをするということでしょうか。
 オシム監督に近いサッカーなんて話も耳にしますが、オシム監督はサイドチェンジを好んで実施していましたし、ボランチの攻撃参加も積極的な攻撃的サッカーを目指していたわけで、あの試合を見ただけに簡単にオシム監督の名前をあげる声が出るというのは少々驚きを感じました。
 出身地や事前情報による刷り込みによる影響も大きいように思います。


 守備においてはアギーレ監督時代ほど、攻撃から守備への切り替え時にボール奪取を狙うような印象はなかったと思います。
 しかし、セットした状況からしっかりと前へプレスに行き、最終ラインも高め。
 そして、中盤で密集して、ボールを奪っていく形なのかなといった印象を受けました。



 チュニジア戦では前3人にスピードのある選手を起用したことが話題となりましたが、メンバーを見るとDFラインにもスピードを求めていくのかもしれません。
 また、2試合共にボランチには2人とも守備の計算できる選手を起用しており、そこも注目ではないでしょうか。
 中盤で密集してボール奪取を狙う守備も含めて、ボランチには守備ができることが最優先となっていくのかもしれません。
 遠藤が選ばれなかったのも年齢だけの問題ではなく、単純に監督のサッカーに合わなかった可能性も考えるのではないでしょうか。
 ウズベキスタン戦でスタメン候補に名前が挙がっていたものの、ベンチスタートとなった柴崎は今後苦労する可能性もあるかもしれませんね。
 途中から起用されトップ下で使われましたが、本来はやはりボランチの選手なのでしょうし。


 結局チュニジア戦で試合を決めたのは、これまでのレギュラーメンバー岡崎、本田、香川でした。
 スタメンの選手たちも良い動きをしてチャンスを作ってはいましたが、勝利にこだわるということを考えれば「試合を決められる選手」というのも非常に重要になってくるはずです。
 しかし、この3人は見方によっては、若干使いにくさもある選手ではないでしょうか。
 本田、香川は守備でそれぞれ課題があるし、本田はサイドではスピードに物足りなさがあり、香川もサイドだと良さが活きない部分があって、岡崎もサイドの選手としてはチャンスメイクにおいて計算しにくい部分があるのではないでしょうか。
 本田はミランでSHとしてプレーしているため現在は本田をサイドにして香川がトップ下、岡崎がFWといった並びが妥当ではないかとは思うのですが、そうするとセンターに高さやサイズの部分が足りなくなってしまう。


 3人とも良い選手には間違いなく、結局チュニジア戦で試合を決めたのもこの3人でした。
 だからこそ、どこかで折り合いをつけなければならない。
 そこが現在の日本代表において一番の悩みどころだと思うのですが、その悩みを回避したスタメンで初戦を戦ったわけですから、若干の消化不良を感じる部分がありました。
 初戦が監督の理想とするメンバーなのであれば、それでスムーズにいくというのもある意味で当然と言えるのかもしれません。
 しかし、そこから現実とすり合わせていかなければいけない。
 もちろん初戦のメンバーが、このチームの"本戦"だというのであれば、それでもいいとは思いますが…。



 そして、2試合目では、やはり岡崎、香川、本田の3人をスタメン起用。
 しかし、キックオフ直後は初戦ほど前線に躍動感がなく、動きも少なくなってパスをつなげなくなってしまいました。
 初戦ほどスピードある選手がいなかったこともあってダイレクトプレーでのスピードある攻撃も作れず、守備においても右サイドの本田の裏を取られることが多く、押し込まれる時間が増えてしまいました。
 ダイレクトプレーにこだわる結果、ボールロストが増えるシーンが目立っていた印象で、ボランチからの縦パス狙いカットされることも多かったですね。
 その結果、全体的に停滞感の重い試合になったように思います。


 選手の判断の問題も大きいでしょうが、結局はダイレクトプレーと落ち着かせるプレーのバランスがということになっていくのでしょうか。
 しかし、そのバランスを整えるまでには、時間がかかるかもしれません。
 特にメンバーに関しては、ハリルホジッチ監督の理想とするサッカーを形にできるメンバーと、試合を決められるメンバーとの間をいかに取っていくのか。
 ただ選手を混ぜていけばいいわけではないようにも思うし、非常に悩ましい問題になっていくかもしれません。



 総じて、初戦はスタメン・選手交代枠も含めて自由にやれたからこそ、形になった部分があったように思います。
 しかし、現実を見始めるとそう簡単ではなくなってくる…というのが、2試合目に見えてきてしまった。
 今後どちらをベースにしていくか定かではありませんが、スコアほど順調なスタートではないように感じました。


 それでもタレントはいるわけですし、最低限の形を作れれば大崩れすることもないのでしょうけどね。
 結局は何をどこまで監督に、このチームに求めるのか?というところに、行きつくのかもしれません。
 これはどのチームにおいても言えることだと思いますが。