愛媛戦の16分に水野が、右サイドの裏を抜け出してクロス。
井出のゴールをアシストしました。
これが決勝ゴールとなって、1-0で愛媛に勝利しています。
Jリーグのデータを取り扱うFootball LABによると、リーグ戦における水野のアシストは今季これが初めて。
正式な規定がはっきりしていないアシストに関する数字はメディアによって異なり、例えば田中の場合Football LABでは今季ここまでで7アシストとなっていますが、SUPER SOCCERのサイトだと今季は9アシストになっています。
どちらにしても途中出場が多いことを考えれば、田中は素晴らしい結果を残しています。
それに対して水野は、ようやくゴールに直結した活躍が出来たということになるのではないでしょうか。
出場試合数などを考えれば、「遅すぎるくらい」とも言えるのかもしれません。
クロスのイメージが強い水野のですが、昔から相手の守備が整った状況でのピンポイントクロスに関しては、そこまで期待が出来ない選手だと思います。
相手が待ち構えた状況でクロスをあげて得点を決めるためには、相手DFの山を越えて巻いて落として、味方選手に合わせるボールが1つの理想と言えるでしょう。
しかし、水野は巻いて落とすクロスを上げるのが得意なタイプではないように思います。
水野は素早く縦に仕掛けて、早いタイミングでクロスを上げるプレーが売りと言える選手。
積極的にクロスを上げることも特徴と言える選手ですが、相手の守備陣が引いた状況でもそれを続けるため、クロスボール一辺倒の攻撃になってしまう場合もある。
そのため、確率の低い"クロスマシーン"になりかねない傾向があります。
一方で、愛媛戦での得点シーンでは、水野の良さが見事に出た展開だったと言えると思います。
まずカウンターから、サイドを縦に飛び出すことが出来た。
スピードある縦への飛び出しという、水野の良さが出たことになります。
そして、そのまま相手の守備が整う前に、素早くクロスを上げることが出来た。
水野は「味方選手に」ではなく、「スペースに」鋭いクロスを上げるのが特徴的な選手。
ですから、今回のようにカウンターで裏を取って、素早くクロスを上げて、そこに誰かが飛び込むというのは、水野という選手における1つの理想的な攻撃パターンと言えるのではないかと思います。
また、この試合では守備でも貢献した部分があったのではないかと思います。
フィジカル的には強くなく、ボール奪取にはあまり期待できない部分があります。
加えて、サイドへのスライドを素早く行ったり、空いたスペースを埋めたりといった、細かい守備が計算できる選手でもないでしょう。
しかし、これまで右SHで起用されたペチュニクは、体力的な課題もあって試合後半になると、守備に戻りきれないことがある。
谷澤もスピードや攻守の切り替えに課題があって、守備への課題が多い。
その2人に比べると、スピードや運動量もあって、穴の少ない守備が出来ているのではないかと思います。
以前にジェフにいた頃は守備に不安のある選手でしたが、当時は3バックだったのでどうしても対人守備が求められて苦労していた部分があったということなのでしょう。
現在は4バックのSHなので、SBと連携して守ればいい。
なので、自身がボールを奪わなくとも最低限の守備をすれば問題ないということで、そこまで守備の問題が発生していないのではないかと思います。
今回の愛媛戦で水野が良い形で仕掛けられたのは、相手が3バックだったこと。
カウンターに対する守備に、課題が見られたことなどがあったのではないかと思います。
天皇杯2回戦における岐阜戦でも、左SHに守備のできないレオミネイロが移ってから活躍できたように、相手のサイドに守備の課題があれば、個人で打開できる強みを見せることが出来る。
しかし、天皇杯2回戦の翌戦となった京都戦では消えている時間が多かったことを考えると、愛媛戦で活躍できたからといって今後もうまくいくかどうかはわからない。
以前から相手との力関係で活躍できるかどうかが決まってしまうところがある選手だと思うので、コンスタントに良いプレーが出来るようにより賢くプレーしていく必要があるのではないかと思います。
また90分間、スタミナが持たないというのも悩ましいところではありますね。
試合直後のインタビューで、水野が表情を崩さなかったのが印象的でした。
1-0で勝ったとはいえ、満足のいかない出来だったのか。
それとも、契約などの時期でもあるし、それ以外の何かがあったのか。
あるいは、シーズンの最後まで気持ちを切らさないという思いの表れなのか。
シーズン終盤にはなりましたが、チームにとって水野が大きな武器となるのかどうか。
今後、注目の1つになるのではないでしょうか。