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膠着状態からアクションを起こせずPKにより敗戦

 前節東京V戦に続いて、雨の降りしきる中での試合。
 ショートパスをつなぐ形を持たないジェフにとっては、大きく不利にはならない分やりやすい面もあったのではないかと思います。
 加えて前節の勝利もあって流れも悪くなく、一時期の酷いチーム状況からは脱しているようにも感じました。


 しかし、それでも勝てなかった。
 試合トータルで見ると、残念だったのは膠着状態の時間が長かったこと。
 勝たなければいけないのはジェフの方だったにもかかわらず、攻撃を仕掛けきれず試合を動かせなかった。
 結局のところはそれだけ攻撃の術を持っていなかったことが、大きな問題なのではないでしょうか。 
■ボールをつなぐ岡山とカウンターのジェフ
 勇人、パウリーニョボランチコンビが揃って出場停止となったジェフは、健太郎と田代をスタメンで起用。
 田代のスタメン出場は今季5試合目で、前回のスタメンは中村が負傷し左SBで出場した7月17日の群馬戦。
 試合の出場自体も8月1日の徳島戦以来となり、久々の出場となります。
 富澤をDFラインで固定したかったということなのでしょうか。


 代表選出によりペチュニクを欠いた攻撃陣は、トップ下に町田を起用。
 右SHに田中、左SHに松田といった両サイドの組み合わせは、変わりませんでした。
 こちらも前節久々の勝利を経て、動かしたくなかったということなのかもしれません。
 町田もスタメンは7月26日の熊本戦以来。
 井出は間に合わず、ベンチにも入りませんでした。


 押谷、篠原を出場停止で、田所を怪我で欠く岡山は、左WBに澤口を起用。
 片山と岡本が2トップ気味にプレーし、矢島がアンカーに。
 矢島の前に渡邊と伊藤が入るフォーメーション。
 3バックには、篠原の代わりに近藤が入りました。



 雨が強く降り続き、ボールが止まるピッチコンディション。
 岡山はパスをつなぎながらも、積極的に2トップが裏を狙う展開。
 ジェフは前節からの流れもあってか、素早く前線に充ててカウンターを狙う攻撃。


 立ち上がりは一進一退といった展開でしたが、10分を過ぎたあたりからは岡山がペースをつかんでいきます。
 16分、岡山のチャンス。
 中盤でこぼれ球を矢島が拾ったところから、片山が右サイドに展開。
 そのままクロスを上げられ、岡本の足元に入りますがジャストミートせず。


 その直後にも岡山の攻撃。
 岡山が中盤でボールを拾ったところから、左サイドの伊藤が素早くクロス。
 岡本がヘディングでゴールを狙いますが、GK岡本が対応。



 29分には岡山の決定機が生まれます。
 伊藤が左サイドでボールを拾い、片山が叩いて走りこんできた竹田につなぐと、竹田が田中をかわして右足のセンタリング。
 片山がヘディングでシュートを放ちますが、ゴール右隅をそれます。
 これが両チーム通じて、前半一番のチャンスだったのではないでしょうか。


 32分にも岡山の攻撃。
 左サイドでボールを受けた片山から、大きく右サイドへ展開。
 加地がボールを受けて前方にスルーパスを出すと、渡邊がフリーでセンタリング。
 4枚の選手が飛び込んでいましたが、ゴール前には合わず。



 岡山が攻め込む回数が多かったものの、チャンスをつかみきれずにいると今度はジェフの時間帯。
 36分には、ジェフがクイックリスタートからジェフの攻撃。
 田代が受けて素早くクロスを上げると、ファーで松田がボレーシュートを放ちますが大きく枠をそれます。
 37分にも大岩が右サイドタッチライン際からクロスを上げ、こぼれ球を拾って最後は田代がミドルシュートを放ちますが枠外。


 この時間から岡山の運動量が落ちて、ジェフが中盤で岡山の裏を取る回数が増えていきました。
 しかし、一連の攻撃が負えると、その後は岡山の守備は安定。
 それ以降はジェフがボールを持つ時間が長かったものの、シュートまで持ち込めず。
 前半終了間際にはCKの流れから町田がオーバーヘッドでゴールを狙いましたが、枠に飛ばしきれず後半に進みます。
■PKを奪い合う展開も岡山の勝利
 両チーム、メンバー交代なく後半戦へ。
 49分、岡山の決定的なチャンス。
 岡山が左サイドで得たCKから、ショートコーナーを使って中央の竹田へ。
 竹田はボールに合わせきれなかったものの、粘ってボールをキープし中央の片山へ。
 片山は素早くシュートへ持ち込みますが、ゴールポスト右隅ぎりぎりをそれました。


 51分には、ジェフの攻撃。
 ジェフの前線への浮き球のボールの跳ね返りを、健太郎が中盤で拾って右サイドへ展開。
 大岩が長い距離のクロスを蹴り込むと、森本と松田が飛び込んでいきますが、ボールには合わず。



 それ以降、試合は停滞状態に。
 岡山はピッチコンディションに苦しみ、パスミスの目立つ状況に。
 ジェフもそこからのカウンターを狙いますが、攻撃の連携が作れず。
 両チームともに、ゴール前でのプレーが少ない展開になっていきます。


 動きの少ない展開で、先にカードを切ったのはジェフ。
 67分に町田に代えて水野を投入。
 水野が右サイドに入り、田中が左に。
 そして、松田が前線に入りました。



 選手交代をしたものの、その後も得点の匂いを感じない時間が続きます。
 しかし、突然試合が動いたのが73分。
 岡山による右サイドからのCKで、キムがボールが来る前に岩政を倒してPK。
 これを矢島が冷静に決めて、岡山が1点リードとなります。


 先制点を奪った岡山は、75分に選手交代。
 伊藤に代えて島田を投入。
 続いて77分には、得点を奪い返したいジェフが選手交代。
 森本に代えて、オナイウを投入します。



 試合が動いたことで、ジェフは積極的に前に出ていこうとしますが、岡山も押し返す流れとなっていきます。
 そのため、ジェフの攻勢とはいかない状況に。
 ジェフはこの時間も攻撃が雑で、アタッキングサードで連携を作れない展開が続きます。


 81分には、岡山が選手交代。
 岡本に代えて、久保を投入。
 そのまま前線に入りました。



 決定的なチャンスが作れないジェフでしたが、83分に水野の個人技で打開します。
 左サイドのスローインからの展開で、オナイウがトップ下の位置に流れてきた水野にパス。
 水野は左足で浮き球のスルーパスを出し、オナイウがゴール前に飛び出します。
 オナイウはそのボールに間に合わなかったように見えたのですが、GK中林が飛び出してオナイウが倒された判定でPKを獲得。


 微妙な判定でしたが、そのPKを蹴ったのが松田。
 しかし、コースが甘くGK中林がセーブ。
 田中が詰めていましたが、そこも止められて得点機会を逃してしまいます。



 その後もジェフは、なかなか攻撃のギアを上げきれず。
 選手は前掛かりになっていましたが、複数の選手が攻撃に絡むことは少なく、岡山は人数をかけるジェフを相手に冷静に対処。
 87分には田代に代えて金井を投入し、さらに前に人数を増やしていきます。


 後半アディショナルタイムには、水野が長い距離のFKを直接狙いますが枠に飛ばせず。
 最後はパワープレー状態になりましたが、チャンスも作れずに0-1で痛い敗戦となってしまいました。
■穴を埋めても強みは作れず
 膠着した時間の長い試合展開でしたが、岡山は比較的前に出ていこうという姿勢を打ち出していたのではないかと思います。
 3-3-2-2のシステムは押谷が不在で前線の連携も考えてということだったようですが、最後まで継続したところからしてジェフ対策という意味合いもあったのではないでしょうか。


 攻撃ではFW2人とインサイドハーフ2人が前に出ることで、ジェフのCBとボランチをできるだけ押し込む。
 ジェフは押し込まれると相手ボランチへの守備が空くことが多いので、アンカーに司令塔役の矢島を起用。
 実際の試合でも、矢島が中盤で受けてチャンスメイクという形が作れていました。


 守備でもジェフはバイタルエリアを作った攻撃が出来ていないので、そこはアンカー1人で対応できる。
 その分ボランチもこなせる選手をインサイドハーフで起用して、ジェフのボランチ2人を止める。
 そして、2トップの2人で積極的に前からプレスをかけて、簡単には押し込まれないように戦うと。



 単純にここ最近は得点力に課題があるので、より攻撃的にという意図もあったのかもしれません。
 しかし、その分岡山は、切り替え直後の守備にリスクがあった。
 遅攻では中央が使えないジェフですが、カウンター時には積極的に前線にあてる攻撃をしてくる。
 岡山のインサイドハーフの2人は攻撃時に積極的に前に出ていましたし、田中や松田は長い距離を走って中央に入ってくるので、その裏を使える可能性はあったと思います。


 それが35分からの一連の攻撃時には見られ、その時間帯は岡山の守備陣の戻りが遅かった。
 けれども、岡山もそれ以降はインサイドハーフも下がって守備に対処しており、カウンター展開も作らせなかった。
 ジェフはカウンター時の細かな連携も作れておらず、チャンスを不意にすることが多かった印象です。 



 結果的にPKが勝負の綾となった試合でしたが、勝たなければいけないジェフは膠着状態を脱することが出来なかった。
 チャンスも岡山の方が作れていたと思います。
 29分の片山のヘディングシュートや後半開始直後の竹田のためから片山のシュートなど、惜しいシーンはいくつか作れていた。
 しかし、良い攻撃が作れていたにもかかわらず最後の精度や強さがもう1つで、それがここ5試合で得点が2つしかあげられていない課題に繋がっているのではないでしょうか。


 雨ということもあってか、両チームともに前線をめがけたボールが多い展開だったと思います。
 しかし、ジェフの前線へのボールは長いものが多く、サイドでも相手のマークがついた状況でタッチライン際から蹴り込むようなシーンが多かった。
 一方で岡山はサイドでも複数人が絡んでフリーの選手を作る狙いが多く見られ、中盤でも細かくつないでから縦へという意図を感じた。


 その分、岡山の方が前線をめがけたでも、パスの距離が短くなり攻撃の確実性も高かった。
 ジェフの方はアバウトなボールばかりで、パスもシュートも距離があるものが多かった。
 その差がチャンスを作れた回数の差に、直接結びついたように思います。



 特に興味深かったのは、岡山のサイドで上下にボールを揺さぶる動き。
 あえて一度ボールを少し戻してジェフのDFラインが上がった瞬間に、FWが裏を狙う動きをしてそこにパスを出す展開。
 DFラインを上げる瞬間というのはどうしてもラインがバラバラになりやすいし、DFが前への動きをしているために後方への対応も難しくなる。
 そこを狙った攻撃というのが組織的に作られており、興味深く感じられました。


 今のジェフにそういった狙いや、強みがあるのかどうか。
 組織が難しいのであれば個を活かすサッカーでもいいとは思いますが、それすらも今は感じにくい印象で。
 結局そういった狙いや強みが作れないから、勝ちに行かなければいけないこの試合でも、攻撃のアクションが起こせず膠着状態の長い展開になってしまったのではないかと思います。
 まるで「引き分けでもいいと思っているのかな?」と感じてしまうほどに。


 厳しいチーム状況から走ることのできる選手を投入し、課題を何とか埋めてJ2レベルでの最低限の試合をしたとはいえるのかもしれません。
 しかし、残留争いならそれでもいいかもしれませんが、昇格争いは勝たなければいけない。
 穴を埋めただけでは昇格という目標達成は簡単ではないように思います。