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両チームの攻撃の狙いと長澤のポジション

 松本戦前半のジェフは、攻撃時にSH長澤が極端に中盤中央に入っていくのが印象的でした。
 図にすると、このような形に。

 関塚監督は松本が1ボランチで守ると想定していたようですので、長澤が中に入ることで1ボランチ脇を狙ったのではないでしょうか。
 また、ここまでの試合では、中央でのプレーの方が長澤自身も活きると感じられるところがあり、それも理由の1つではないかと思います。


 相手の中盤が2人なのに対して、ジェフはダブルボランチと長澤で3人となり、数的優位になることが出来ました。
 それが図で言うところの、黄色い円で示したエリアとなります。 
 それによって25分あたりから、ジェフがボールを保持する時間が長くなっていったように思います。
 しかし、シュートチャンスまでは持ち込めず40分あたりまでジェフがボールを持つ時間帯が続きましたが、チャンスらしいチャンスは吉田が強引に放ったミドルシュートからの展開だけでした。



 ジェフは中盤でボールを持てても、そこから縦への細かなパスワークが作れないというのが、関塚監督になってからの長らくの課題でこの試合でもその傾向が出てしまいました。
 確かに中盤でボールを持てましたが、前を向いてボールを持てたのは中盤の底で余ったボランチである場合が多く、危険なエリアには入っていけなかった。
 加えて長澤が中盤に入ることで今度はサイドが薄くなり、選手が中央に偏ってしまった。
 松本の守備は3バックとダブルボランチで中央を固めさえすれば良い状況となり、比較的守りやすい展開だったのではないでしょうか。
 そこが白い四角で囲ったエリアとなります。



 前半はうまくいかなかったと見たのか、後半からは長澤がサイドでプレーする時間が長くなっていきます。

 長澤がサイドでプレーをして、実際にチャンスに絡めたのは1,2回と少なかったと思います。
 しかし、長澤がサイドでタメを作ることで、チームを助けていたのではないでしょうか。
 特に得点を奪ってから守備の時間が長くなり6バック気味に押し込まれることも多かっただけに、長澤がサイドでタメを作って守備陣が休む機会が作れて、ラインを押し上げる時間も作れたように思います。


 攻撃面での効果は少なかったですが、結果的に守備を助ける効果が大きく出ていたように思います。
 特に長澤がボールを持ってキープをして、ボランチやFWがサポートに入る形が多かったですね。
 阿部は後方中寄りに押し込まれる時間帯が長かっただけに、ボランチやFWがサポートするしかない状況だったのでしょう。


 サイドの方がゴールは遠いですが、プレッシャーなどは少ないのでタメは作りやすい。
 キープ力のある選手を、あえてサイドで起用するケースもありますね。
 特にこの試合では松本が守備時は5-2-3のようなシステムで、攻撃時は1ボランチの3-5-2のようなシステムだったため、カウンター直後はサイドが一枚だった。
 守備時にウイングの位置に入る工藤が守備に戻る前に、サイドでタメを作れていたように思います。




 しかし、ジェフとしては、押し込まれる時間帯が長かったことには変わりないと思います。
 なぜ6バック気味になってしまったのかを考えると、松本の攻撃の狙いもあったように思います。

 関塚監督になってからのジェフは相手が3バックの場合、6バック気味に押し込まれることが多いように思います。
 特に1トップ2シャドーに対して4バックがゴール前中央で守り、そこから相手ウイングバックがサイドを仕掛けると、ジェフはSHも押し込まれるので6バックになってしまう。
 ゴール前を固める意識が強い上にマンマーク気味の守備なので、そのまま相手についていくと6バックになるということですね。



 それに加えて、この日の松本は図の白いエリアで示した、バイタル脇を狙うことが多かったと思います。
 トップ下の工藤や宮阪が飛び出して行ったり、パスワークからウイングバックが斜めに走り込んだり。
 クロスに対しては逆サイドのウイングバックが飛び込んだり、カウンター時にはFWがサイドを仕掛けていくシーンもありました。


 パスワークでバイタル脇を狙う攻撃は、第二期日本代表の岡田監督やジェフでは鈴木監督も行っていたと思います。
 中央裏のスペースはGKの守備エリアだし、中央前はCBが警戒していて跳ね返えされてしまう。
 かといってサイドの大外ではゴールから遠いので、CBとSBのギャップを狙ってバイタル脇方向へ裏をついていこうと。



 バイタル脇を狙われたことで、ジェフのSBは中央より後方に押し込まれる。
 SBが押し込まれるとサイドの大外が空いてしまうので、仕方なくSHがDFラインまで降りて穴を埋める。
 また、関塚監督はボランチ1人が必ずCB前で跳ね返すタスクを求める印象が強く、結果的にそのボランチが最終ラインに吸収されることも多かったように思います。


 6バック気味になったことで、図の白い円で表示した中盤のエリアに人数が足りない状況になってしまった。
 6-2-2のような状況でしたから、中盤で相手にボールを拾われやすくなるし、そこから裏へスルーパスを出されることが多かった。
 それによって防戦一方になってしまいましたが、ゴール前には人数を固めていたので何とか跳ね返し、1点を死守した展開だったと思います。
 松本の最後の精度に助けられた面も、大きかったでしょう。



 この守備を良しとするのか、改善すべと考えるのか。
 また、長澤をどのように活かしていくのかも注目ですね。
 後半はカウンターだからこそ良い形でボールを持てたところもあったと思いますが、遅攻時はまた状況が変わってくるようにも思います。
 

 キープ力ということだけでいえば、プレースタイルはだいぶ異なるものの谷澤もタメを作れるタイプではあったと思います。
 しかし、昨年は谷澤のキープ力を活かし切れなかったように、1人のキープだけではチャンスは作れないですし、チームとしてどのように使っていくか。
 長澤自身はコンディションも上がってきて、Jリーグでのプレーにも慣れ始めてきたようにも感じますから、うまく活かしていけるといいですね。