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ジェフ対熊本戦 サッカーの価値を示せるか

 今週末、フクアリで行われるジェフ対熊本戦。
 熊本にとって、これが震災後初の試合となります。
 熊本にとってはもちろん、サッカー界にとっても大事な試合となるかもしれません。


 選手、スタッフが被災し、スタジアムも亀裂が生じるなど被害を受けた熊本。
 震災当初は、選手も「サッカーが出来る状況ではない」と話していました。
 2011年の東日本大震災でも東北はもちろん、関東地方も電力問題などが生じ、「サッカーをやっていられない」状況だったと思います。



 衣食住の確保が最優先となる極限状態で、サッカーなどスポーツの優先順位が下がるのは当然のこと。
 それでもサッカー選手として、何が出来るのか。
 結果的にそれはサッカーの価値、そして自分たちの価値を証明できるのかを、問われる状況にあるとも言えるのかもしれません。


 そんな中で巻を中心とした熊本の選手たちは、自らも被災に合いながらサッカー教室を実施するなどして懸命に被災者を支援。
 サッカーを通じて避難所に暮らす子供たちのストレス解消や、健康面の維持・改善につながる可能性を示してくれたと言えるのではないでしょうか。
 巻は熊本以外のチームから支援に来た多くのJリーガーの世話役も買って出て、一緒にサッカー教室などを実施したようです。


 また、サッカー界のネットワークを使って支援物資や義援金の募集。
 そこからの物資供給なども積極的に行っています。
 ジェフサポをはじめ、多くのサッカー関係者が支援に協力。
 Jリーグは多くの地域にクラブがあるからこそ、こういった緊急時に迅速に支援活動が行えると言えるのではないでしょうか。



 熊本の選手たちの懸命の活動によって、直接的な支援を行ってきたことになります。
 それによって、サッカー選手の価値の1つを、見せてくれたと言えるのではないでしょうか。
 ただ、興行としてのサッカーを実施するとなると、また話は少し違ってくると思います。


 今回のジェフ戦はアウェイ開催で、翌週の水戸戦も本来はホームでしたが、柏での開催が決まっています。
 クラブとしては7月からホームでの試合を実施したい意向のようですが、現在も救援物資の支援物資の拠点となっているようです。
 もちろん支援活動が最優先となるでしょうが、そういった状況で実際にいつサッカーを実施できるのか。
 震災による被害はもちろんのこと、未だ余震も続く中で、興行としてのサッカーが受け入れられるのか。



 そのためには、やはり実際の試合で多くの人たちに希望を見せられるかが、重要となってくるのではないでしょうか。
 熊本の選手たちは約半月の間、全体練習をすることも出来なかった。
 4月14日から大きな地震が発生し、自主トレは25日からスタートしたそうですが、全体練習は5月2日から。


 クラブハウスで寝泊まりしている選手もいるようですし、コンディションに不安があるのは当然のこと。
 巻などの写真を見ても表情からは強い意志を感じるものの、どこかに疲れがあるようにも感じます。
 公式戦からは1ヶ月も空いているわけですし、試合勘の問題も出てくるでしょう。
 再開初戦は、普段とは違うプレッシャーもあるかもしれない。
 家族などを熊本に残してくる選手もいるかもしれないし、そういった不安との戦いにもなるかもしれません。



 決して万全の状況で迎えられる試合とは言えないでしょう。
 ただ、この試合に限って言えば、熊本にとって大事なのは結果ではないのかもしれない。
 辛い状況でも懸命に頑張る姿勢を見せることで、被災した方たちに希望を与えることが何よりも重要なのかもしれません。


 今年の熊本はコンパクトなサッカーで前から激しくプレスをかけ、縦に素早く仕掛ける攻撃が特徴でした。
 震災前は若干成績が下降していましたが、第3節と5節後には首位に立つなど序盤は好調でした。
 公式戦から離れてスタミナ面などの心配はあるものの、積極的に気持ちを見せるには適したサッカーともいえると思います。



 熊本の再開初戦の相手となったジェフは、ここ5試合勝ち星から遠ざかっている状況です。
 しかし、熊本の気持ちを受け止めて、自分たちも気持ちのこもった試合をすることで、現状を打破したいところではないでしょうか。
 相手はここまで懸命に震災に立ち向かってきて、試合にこぎつけることになる。
 しかも、こちらはホームで、中断などもなくサッカーを続けることが出来ている。


 そういった熊本を相手に、怪我人などの言い訳などは出来ないでしょう。
 いつもとは違う雰囲気も予想され、ジェフにもプレッシャーはあるかもしれませんが、こちらのホームゲーム。
 恥ずかしい試合は、出来ないはずです。



 "良い試合"を成立させるためには、お互いの出来が重要になってくるはずです。
 いくら試合に勝っても相手が弱ければ「勝って当然」となってしまうし、互いに健闘しあってこそ"好ゲーム"と言えるのでしょう。
 現時点でどこまで熊本が戦えるのかは予想できませんが、ジェフとしては相手をしっかりとリスペクトして戦いたいところ。


 そして、良い雰囲気で熊本を、巻を迎えてあげたいですね。
 お互いのチームにとって"良い試合"となり、お互いにとって希望が持てる試合になるように。
 さまざまな意味で、大事な試合になりますね。