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フロントの会見と横浜FC戦に向けて

長谷部茂利監督代行および高橋悠太GM囲み取材レポート(ジェフ公式サイト)
塚監督から長谷部監督“代行”へ。指揮官交代の背景と今後のプランとは?サッカーダイジェスト


 監督交代に関して高橋GMなどのコメントが出ましたが(社長のコメントはなぜ公式サイトにアップされないのでしょう)、個人的には予想以上に残念な内容でした。
 言いたいことは多数ありますが、細かなことは置いておくとして、結局フロントは短期的な結果や昇格のためだけに監督を交代したということなのでしょうか。
 しかも、その上でクラブとしての具体策は何もなく、ただただ新人の長谷部監督にすべてを委ねるということなのでしょうか。


 それではこれまでのジェフと、なんら変わないように思えます。
 ネット上での反応を見ても、概ねフロントとサポとの見解には大きな乖離があるように感じます。
 そんな状況で、果たして真の意味での「一致団結」が望めるのかどうか…。



 個人的には関塚監督の解任に関しては、理解できるものではあったと思います。
 先日もお話した通り、昨年末の段階で解任が妥当だったと思いますし、今年に入っても同じ課題を解消できなかった。
 今後チームが安定して成長していくようには見えなかったし、あとはタイミングだろうと思っていました。


 しかし、すでに関塚監督体制で始まってしまった今シーズン。
 シーズン中の解任はリスクが高いし、出来る限り今季は関塚監督が責任を全うすべきではないかとも考えていました。
 特に関塚監督は未だ一部に根強い人気があるようですから、今年1年は関塚監督がやり切って白黒つけた方が未来のためになるかもしれないとも思っていました。



 すべては現在のクラブのためではなく、将来のクラブのことを考えて。
 より良いスタートを切るための、的確なタイミングを見極めることが重要であろうと。
 ただ、逆に言えばシーズン中であっても良い新スタートが切れるのであれば、監督交代も問題はないとも思っていました。
 しかし、蓋を開けてみれば監督を交代して、監督経験のない長谷部監督にバトンを渡した上、コーチ陣の人数すらも揃えられない状況。


 おまけに新人監督をじっくり見守る様子もなく、具体的なノルマ(一応社長は否定しているようですが)まで課して「手腕に問題があれば来季は代えます」とまで話している。
 もちろん残りシーズン次第で長谷部監督の来季が決まるのは妥当ではあると思いますが、果たして現状でクラブが新人監督に厳しいプレッシャーをかけるのことが得策なのかどうか。
 例え昇格が親会社やスポンサーからの命題だったとしても、あまりにもサポート体制がなっていないように思います。



 個人的に気になったのが、高橋GMの「今年だけでなく来年再来年と継続的に強化させていかないといけない。そう考えるとプレーオフ進出というのは1試合1.5〜1.6くらい勝点を重ねていかないと…」と話している部分。
 そのまま受け取れば、継続的な強化のためにPOに進出しなければいけないという話になります。
 どちらも前向きな話ではありますが、継続的な強化とPO進出はそのままイコールにはならないでしょう。


 PO進出のために継続的な強化が必要であるというのならまだわかりますが、これでは順番が逆ではないでしょうか。
 例えそこから昇格してもJ1では通用せず1年で降格してくるクラブも少なくないわけで、J1に上がれれば必ず強くなるとも言えないでしょう。
 その前にまずはいかに強化するかが何よりも重要なはずですが、監督を解任して最低限のコーチを内部昇格しただけで「今以上の結果を出せ」と言っていることになります。
 個人的にはPO進出圏という結果以上に着実にチームを成長させることができるかどうか、来季以降に可能性を感じられるチームになるかどうかの方が重要なのではないかと思います。



 結局のところどのようにチームを強化するのかに関しては、何ら説明がないままといった印象です。
 高橋GMは数字が好きなようで西部謙司氏もコンサルのようと話しており、開幕前にも「昇格のためには3連敗しないこと、70得点以上40失点未満で2桁得点が2人いること」などと話しています。
 しかし、連敗しないこと、得点を増やし失点を減らすことは、あくまでも目標であって方法論ではない。
 今回の説明もそうですが、"目的"と"手段"が逆に来ているような印象です。


 フィジカルコーチについて聞かれ「今以上によくするのが強化の仕事」と答えてはいますが、今日までとなるはずの夏の移籍ウインドウでも今のところ動きはなくコーチの外部招聘もなく、具体的な強化策が見えてこないというのが現状だと思います。
 総じて"監督解任ありき"で、クラブの将来に関して計画性があるように見えない。
 コーチ陣の退任、昇格の発表経緯からしても、行き当たりばったりになっている印象です。
 高橋GMが就任して半年となりますが、数字やノルマばかりが先行していて、どのようなクラブ作りをしていきたいのか見えてきていないように思います。



 もちろん昨年の監督継続も、今回の監督解任も高橋GM主導のものではないかもしれないし、もっと上からの力が働いている可能性もあるでしょう。
 ただ、これまでの経緯からしても、今回の具体的な数字はGMが課したものではないかとも思います。
 個人的に残念なのは、まるで新人の長谷部監督を試すかのような発言をしていること。


 確かに結果的にそうなる部分もあるかもしれませんが、まだまだこれからの指導者なわけでいきなり完璧に物事をこなすというのは難しいでしょう。
 新人監督を就任させたのであれば、まずは最大限のバックアップをして、しっかりと見守ることが大事なのではないでしょうか。
 ましてや高橋GMが連れてきたであろう指導者なわけですから、高橋GMが後盾にならずして誰がなるのか。
 プレッシャーをかけ続けるのではなく、じっくりと監督やチームを見守ることが、将来に向けての継続的な強化にもつながるのではないかと私は思うのですが。


 やはり神戸での経験しかなく、まだ若いGMいうことで今のジェフには荷が重すぎたということでしょうか。
 親会社やスポンサーなど、裏で様々な力が働いているのではないかと言われる中で、クラブをコントロールするのは並大抵の人物では難しいということなのでしょう。
 また今回コーチが外部から招聘できていないのも、長谷部監督のコネだけでなく、GMのコネも少ないからなのかもしれません。
 先日「厳しいノルマも課せられない状況ではないので、ノビノビとやれるのではないか」と期待を込めて言ったのですが、全く逆の状況になってしまいました。
 これでは江尻監督に丸投げした時と何ら変わらず、今回の会見を読んで今後のクラブが一気に不安になってしまいました。



 さて、そうはいってもシーズンは進むわけで、まずは試合に集中しなければなりません。
 新チームの初戦は、アウェイ横浜FC戦となりました。
 横浜FCは6月に入って体調不良のため、ルス監督が辞任しています。


 当初は増田コーチが監督代行を務めていましたが、辞任が決定した後の6月19日岐阜戦からは昨年も代行を務めた中田TDが指揮を執っています。
 中田監督が就任してからは2勝2分3敗。
 しかし、ここ3試合は1勝2分で負けなしの状況となっています。



 チーム状況も徐々に改善されてきた印象で、守備時のポジション修正なども細かくなり、ボールに行けるようになったように感じます。
 攻撃に関しても、ここ2試合は大久保、イバの2トップでスタート。
 2トップが落として中盤で繋いで、サイドから攻撃という形が出来つつあるように思います。


 順位で言えば横浜FCは15位ですので、9位のジェフが上ということになります。
 しかし、ここ最近の成績で言えば、横浜FCの方が勝ち点を稼いでいる状況。
 勝点差も「5」しかなく、横浜FCの方が1試合少ないですから、J2中段争い直接のライバルということになります。
 アウェイゲームですし、嫌な相手となるのかもしれません。



 ジェフは長谷部監督就任直後ということで、どのようなサッカーになるのか読めない状況です。
 シーズン中の監督交代で1週間しか猶予がなかったわけですから、継続する部分も出てくるのでしょう。
 特に攻撃面は大きく変わらない可能性もあるのかなと思います。


 注目はやはり守備組織を、短い期間でどれだけ構築できるか。
 丹羽などはどのポジションでもこなせそうですし、北爪や勇人も好調のように見えましたから、どのように選手を配置するのかも気になります。
 一方でアランダやエウトン、富澤など怪我人も増えている印象ですから、新チームのスタートということを考えるとメンバーが揃わない不安もあると思います。
 今いるメンバーでどれだけベースを作れるかが、重要ではないでしょうか。



 フロントの姿勢とは反するのかもしれませんが、まずはじっくりと新チームがどのようなサッカーをするのか見守っていきたいところではないでしょうか。
 シーズン中に、新米監督へバトンタッチ。
 解任前は試合内容も非常に悪く、成績も中段勢に飲み込まれかけている状況。


 フロントの楽観的な見立てとは異なり、現状のジェフはかなり厳しい状況に立たされているように思います。
 それだけに新チームには焦らず一歩一歩、前進していってほしい。
 それによって最終的に将来に期待を持てるチームとなれば、それが今のジェフにとっては何よりも大事なことなのではないかと私は思います。
 さまざまな逆境を跳ね除けて、良いスタートを切ってほしいと思います。