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ジェフ経営情報'17 「人件費減」も「代理人手数料」増?

 先月末、Jクラブの経営データが発表になりました。
 2016年度のジェフと言えば選手の大幅入れ替えが行われた年ですので、その影響がどう出ているのか注目されたデータとなり、どうしても経営だけでなくサッカーの話も食い込んできますのでご了承ください。
 また、今回から「物販収入」と「物販関連費」が新たに開示されたため、若干項目が変わっています。


 まず、収益の部では、全体を見ると前年比で約5200万円増えています。
 「広告料収入」は約1800万円ほど増えていますが、「入場料収入」は約2700万円ほど減っています。
 最も増えた項目は前年まで「その他収入」だった「物販収入」と「その他収入」の合計で、約7100万円の増加となります。

 物販で頑張った部分もあるかもしれませんが、物販は入場者数などとも関わってくるはずで、大きく伸びた可能性は低いのではないでしょうか。
 「その他収入」には「移籍金収入」が含まれていると他クラブも発表しており、これまでのジェフのデータを見てもその可能性は高いと思われます。
 そのため選手の大幅入れ替えの中で得た「移籍金」によって、「その他収入」が増えたと推測できるのではないでしょうか。


 続いて支出の部を見ると大幅入れ替えがあったためか、「人件費」が前年比で約1億4600万円の大幅減となっています。
 2016年度の「人件費」約8億9900万円は、2006年度に「人件費」が公表されてから最低金額となっています。
 ただし、「営業費用」全体で見ると約4600万円、増加していることになります。

 増加項目を見ると「物販管理費」と「一般管理費」の合計が増えていますが、増加額は約4000万円と言うことで、そこまで大きな額ではありません。
 最も費用が増したのは「トップチーム運営経費」で約1億3100万円も増えており、ここだけで「人件費」減少分をほぼ相殺していることになります。
 では、具体的に「トップチーム運営経費」とは何なのかと調べたところ、浦和のサイトが詳細を開示してくれていいて、「移動関連費、施設関連費、寮関連費、代理人手数料ほか」と書かれています。


 過去の数値を見ても「トップチーム運営経費」は変動が少ない中で、大きく増加した可能性があるものと考えると、「代理人手数料」ではないでしょうか。
 以前取り上げましたが、アランダ獲得時に移籍金か年俸の50%をジェフが持ち、残り50%を代理人が受け持つ形となったと現地で報じられていました。
 にもかかわらず、この年のオフは移籍金が500万円しかかからなかったと高橋GM話していたので疑問を感じていたのですが、こういったカラクリがあったということでしょうか。

 移籍金や移籍金相当の支払いをすることは、一概に悪いことではありません。
 むしろ移籍金を含む「人件費」をカットして、戦力も落ちてチーム力や順位も下がってしまえば、それはただの規模縮小に他なりません。
 実際、昨年はチーム作りにも問題を感じましたが、大幅入れ替えの影響で例年以上に戦力面でも厳しい年だったと思います。

 特にジェフの場合は、06年の大量流出以降は若手育成がうまくいかず、ベースが作れない時期が続いている印象です。
 ベテランを獲得しては退団・引退を繰り返し、ベースが作れていない年が続いていたと思います。
 そこで中村や金井、森本、田代、森本といった中堅選手を移籍金を払って補強しつつ、町田、大岩、キム、井出、オナイウといった若手を育てていこうというのが斎藤TDの狙いだったのではないかと思います。


 しかし、それらの選手の多くも退団してしまい、昨年は振出しに戻ってしまった印象もあります。
 高橋GMとしては単純に自分のやりやすい形で、構成を作り直したかったという思惑もあったのでしょうか。
 それは決して悪いことではないとは思うのですが、失ったものも少なくない印象があります。

 それでも昨年はリストラの年で一度戦力的に低迷しましたが、今季は挽回したということになるのではないでしょうか。
 一昨年とは大きく入れ替わっているので比較は難しいですが、DFこそ以前の方が期待できたように思うものの、前線はかなりの選手がそろっている印象です。
 ただ、熊谷、キム、為田、矢田などレンタル選手が多いのが、来季に向けて気がかりですが。


 結局、今季は清武、指宿など移籍金を使って補強したのではないかと思うのですが、その追い風となったのがDAZNマネーではないでしょうか。
 こちらの記事によると愛媛は今季の分配金が約2倍となる1億5000万円に上り赤字補填に使われるそうですが、経営が安定しているジェフはそのまま強化費などに回せるはずです。
 また、今季戦力で言うと外国人選手の補強が成功している印象が強く、先ほど取り上げた代理人の存在も大きいように思います。
 アランダの代理店は本田圭佑の兄・弘幸が運営するHEROEでサリーナスや指宿も所属しているだけでなく、ラリベイも紹介したと言われています。

 ただ、経営面で考えると「代理人手数料」がさらに増加する恐れもあるのでしょう。
 祖母井GMも「1人の代理人に潰されたクラブを見てきた」と話していたことがありますし、実際ジェフもカンテーラに苦労してきたところがあります。
 もしかしたらオヘーダ獲得にも絡んでいるのかもしれませんし、良い選手を抱えている代理人だからこそ、対応には十分に気を付けなければいけないと思います。


 だいぶ話がサッカー方向に逸れてしまいましたが、「営業収益」も「営業費用」もそれぞれ5000万円前後増えたことによって「営業利益」、「経常利益」も大きく変わっていません。
 「特別損失」が1億円ほど発生していますが、これは関塚監督解任の影響でしょうか。
 サッカーは監督の影響が非常に強いスポーツだといえるでしょうし、いくら良い戦力を集めても最終的には監督次第なところがありますので、強化部にとって大事なのはやはり監督選定の手腕と言えるのではないでしょうか。


 資産の部では「固定資産」、「固定負債」がともに増えていますが、貸借対照表などが出てこないと詳細はわからないですね。
 相変わらず利益余剰金はマイナスのままとなっています。
 ただ、ジェフもJ2降格前後は大幅な赤字で、このままいけば債務超過に陥るのでは…と思ってたところで、「広告料収入」が増して回避した流れがあるので、そのあたりはしっかり親会社がフォローするつもりではあるのでしょう。

 問題はそのお金を如何にうまく使って、賢くチームを作っていくのか。
 やはりジェフにとって大事なのは、そこになるのではないかと思います。