堅守を誇るナポリのハイプレス・ハイライン

 DAZNによる英語での実況・解説中継でも、"very high line"と表現されていたセリエAナポリ
 ジェフの参考になればと何試合かチェックしましたので、ナポリによるハイプレス・ハイラインの運用方法を取り上げたいと思います。


 現在、ナポリは25試合を経過して、セリエAで首位を走っています。
 特筆すべきは失点数の少なさで、現在リーグ最少失点の15。
 総得点は55でリーグ3位とこちらも誇るべき成績ではありますが、最多得点となるユベントスの67からは離されていますし、試合内容を見ても堅守のチームといった印象でした。



 ナポリのプレスのかかけ方は、このような感じ。

 3トップで相手の4バックを追いプレスをかける。
 前線では1人が2人を見ることのできる位置にポジショニングするところから始まり、うまくパスコースを消したり、同時にプレスにいったりすることによって、相手のボールを追い込んでいきます。


 この時、インサイドの2人は、相手ボランチを見ることが基本。
 中盤の3枚は近い距離感を保っており、ロープで繋がれたように3人で細かくポジションバランスを修正していました。
 常にお互いの位置を意識しながらプレーしている印象で、大きく離れることなく3人で中盤のバランスを取り、うまくスペースを消していました。



 ジェフの守備は、インサイドが相手CBまでプレスに行くことが基本となっています。
 昨年のジェフは1トップとインサイドとウイングの4人でプレスに行くこともあり、人数をかけることで高い位置でボールを奪おうという意図を感じました。
 ナポリは前に人数をかけない分、高い位置で奪い切る回数は少ないかもしれませんが、うまく相手を追い込むことでサイドでボールを奪うことが多い印象です。


 ナポリがサイドでボールを奪う時のパターンがこの形。 

 3トップで相手ボールをサイドに押し込んだら、インサイドの選手も一緒になって相手を追い込んでいきます。
 インサイドがサイドに出ていった時には、必ず逆サイドのインサイドが下がる。
 これによって、ダブルボランチ状態になります。



 そして、逆サイドのウイングも下がるので、4×4のボックスになります。
 この時の逆インサイドの下がり方や、逆ウイングの守備への戻り方などが非常にスムーズでした。
 これは前線でプレスをハメきれなかった時なども同じで、状況に合わせて素早くインサイドなどが低い位置まで下がって、ボックスを作るという約束事が出来ているのだと思います。


 また、プレスを掻い潜られた時には、DFラインをスッと下げて対応していました。
 昨年のジェフはプレスを掻い潜られてもハイラインを維持して、相手の行き場をなくして対応するという発想だったと思います。
 ただ、その分リスクは増えるので、シーズン途中からはラインを下げるようになったようにも思います。



 相手が後方でFKを得た時など、3トップがプレスに行けない時の基本陣形はこういった状態でした。

 インサイドもウイングも低い位置でポジショニングし、4-5-1でボックスを形成するディフェンス。
 そこから相手がサイドでボールを持てば、ウイングが前へ出て行って、残りの4枚で4×4を作る。
 相手のボランチがボールを持てば、インサイドなどが前に出て行って、残りの4枚で4×4を作る。


 この発想がナポリの基本ではないかと思いますし、こういった守備がオートマティックに出来ていることが強みとなっているように感じます。
 1ボランチではあるもののそのまま守ることはなく、必ずインサイドと2枚でCB前を埋めるという約束事なのだと思います。
 これは昨年も話しましたが、ハリルホジッチ監督の日本代表や手倉森監督の五輪チームなどでも、中盤が3枚の場合は1枚がサイドに出て行って、残り2枚でスペースを消すという形が一般的だと思います。



 ジェフの場合はインサイドが下がって、1ボランチ脇のスペースを埋めるという意識は薄いと思います。
 これはインサイドが相手CBまで追いかけていく動きを、プレスの基本としているからなのかもしれません。
 また、ハイラインを維持するのが基本発想だったため、全体を圧縮しておけば1ボランチでも守れるという考えもあったのかもしれません。


 しかし、昨シーズン途中からは、相手がロングボールでハイプレスを回避してきた。
 それによって中盤が後方にも戻らなければいけなくなって、結果的にハイプレスも効かなくなっていった。
 ハイプレスが効かなくなったためハイラインの維持も難しくなり、そこからどう守るのか…という壁に当たったところで、昨年は終わってしまったように思います。



 今年のちばぎんカップでは、町田も言っていたように無理なハイプレスにはいかなくなっていたように見えました。
 ラインも通常よりは高かったとはいえ、極端にハイラインを維持するという守り方ではなかった印象です。
 これは昨年8月からハイプレスがいけなくなった頃のサッカーを継続しているのか、それともナポリなどを参考にした可能性もあるのでしょうか。


 しかし、ナポリの守備は非常に組織的に形成されており、プレスのかけ方やインサイドの下がり方など連動した組織守備ができている印象です。
 ハイラインに関してもあくまでもハイプレスを手助けするものといった印象で、"堅守のためのハイプレス・ハイライン"といった印象でした。
 あの組織的な守備は、ハイラインでなくても安定した形を作れるのではないかと思います。



 ナポリはハイプレス・ハイラインを実施しているとはいえ、やはりイタリアのチームであり、そもそも根本的な発想が違うかもしれません。
 とはいえ、ジェフの守備に関して不安があることも事実。
 ちばぎんカップでも4失点してしまいましたし、基礎的な問題としてどのようにプレスをかけてどのようにスペースを埋めるのかを明確にする必要があると思います。


 ちなみに、ナポリは攻撃面でも優秀で、2枚目の図のままウイングの一枚が攻め残って、サイドからロングカウンターを仕掛けたり。
 遅攻でもインサイドが間で受けたり、1トップが下がってポストプレーをして、ウイングが斜め中央へ走っていったり。
 サイドから斜め中央へ楔のパスを入れて、そこから仕掛けたり…と、速攻でも遅攻でも、外でも中でも多彩な攻撃を作っていました。


 ジェフもロングカウンターに関しては、昨年も強みを見せられたと思います。
 しかし、守備や遅攻に関しては課題も多かったと思いますので、そこをどれだけ改善・向上できるか。
 あるいは、またシーズンのどこかでやり方を変える必要性が出てくるのでしょうか。