どちらも攻撃寄りなジェフ対岐阜の試合ということで、結果的に今回も殴り合いになってしまいました。
ただ、攻撃が良かったというよりも、守備が脆すぎた。
岐阜も守備が得意なチームではないですが、ジェフ方が守備に甘さがあって、そこで差がついた試合だったと言えるのかもしれません。
ジェフは前節に続いて後半途中から守備への足が止まり、ノーガードのような状態でした。
最後にやられたのも、偶発的なものではないと思います。
結局、岐阜に今シーズンの初ゴールと初勝勝ち点と初勝利を与えことになります。
■押し込み続けるも同点で折り返し
ジェフは前節に続いて近藤が不在で、出場停止明けの増嶋が復帰して、エベルトとCBコンビに。
ベンチには溝渕と船山が入り、岡野、杉山、勇人が外れました。
また、ここまでは矢田が左、茶島が右のインサイドコンビでしたが、この試合ではポジションが逆になりました。
岐阜は左SBに福村が入り、19歳のイヨハ理ヘンリーがベンチに。
開幕戦で1トップだった山岸がスタメンに復帰し、古橋がウイングに入って、前節スタメンの島村はメンバー外。
今季初めて風間宏矢とライアンが控えに入って、元ジェフ竹田もベンチ入り。
この日も岐阜は足元にショートパスを繋ぐサッカーを展開。
試合前に説明したように、守備時はウイングが前に出てジェフの2CBを追い、1トップがアンカーを見る形。
ただ、昨年ほど積極的なプレスではなく、サイドもSBが上がるのではなく、インサイドやウイングなどが分担して守っていました。
14分、岐阜のチャンス。
ハーフウェイライン前からのFKを岐阜が得ると、田森が裏へロングパス。
山岸が抜け出してシュートを放ちますが、シュートは枠の上。
16分にはジェフの攻撃。
町田が中盤右サイドが一度戻すと、増嶋がワンタッチで裏へ供給。
為田が左サイドからシュートを放ちますが、角度がなく枠へ飛ばせません。
岐阜の前からの守備が中途半端で、後方で自由に持てる状況に。
ジェフもパスワークはスムーズにいけませんでしたが、サイドに大きく展開して持ち込みます。
積極的なプレスも含めて、岐阜を押し込んでいきます。
そして25分、ジェフが先制。
岐阜がGKビクトルから後方で繋ごうとしたところ、町田が激しくプレスに行ったことで相手がパスミス。
これを拾った熊谷が縦に繋いでラリベイが落とし、茶島が中盤で1人かわしてミドルシュートを放ちゴール。
その後もジェフが、圧倒的に押し込む展開が続きます。
しかし、チャンスまでは作りきれず。
30分過ぎから、若干プレスが弱くなっていました。
そして、34分、岐阜が同点。
GKビクトルからのロングキックの展開から熊谷が競った後に相手ボールになると、福森がフリーになって左サイド裏へのラストパス。
古橋が完全に抜け出して、逆サイドの田中が合わせてゴール。
35分には、ジェフのカウンター。
左サイド後方から持ち上がり、為田から右サイドの町田へ繋いで、最後は中央の矢田がミドルシュートを放ちますが、ポストの左を逸れます。
前半終盤には再びジェフが押し返しますがスコアは動かず、同点で後半へと進みます。
■後半終盤に失点して2-3の敗戦
47分、岐阜の攻撃。
右サイドからのパスを繋いで行って、田中がPA右隅からシュート。
しかし、ゴールの右を逸れます。
その直後には、ジェフの攻撃。
高木からのパスを受けた為田が、左サイドからセンタリング。
矢田が頭で合わせますが、GKビクトルが正面でキャッチ。
55分にもジェフの攻撃。
相手のパスミスからボールを奪った展開でゴール前へ攻め込み、最後は真希がセンタリング。
矢田が頭で合わせますが枠の外。
ジェフが攻め込む展開が続いていましたが、57分に岐阜のカウンターから失点。
田中が右サイドでボールを拾って、長沼がフリーで右サイドを駆け上がってクロス。
これを永島が受けて、GKビクトルの股を抜いてゴール。
1点ビハインドとなったジェフは、為田に代わって清武を投入。
61分にも、町田に代えて船山を投入。
しかし、ジェフは前節に続いて、この頃から運動量が落ちていってしまった印象です。
それでも64分にはジェフの決定機。
中盤で得たFKを清武が素早く裏へ供給すると、船山が右サイドから飛び出しシュート。
しかし、CB阿部がゴール前でカバー。
67分にはロングボール一本で岐阜が決定機。
岐阜CBから裏へボールを供給されると、古橋が完全に裏を取ります。
併走したエベルトは追いつけず、シュートを放たれますが、ポスト直撃。
攻撃の打開策が見いだせないジェフは74分、矢田に代えて指宿を投入し4-4-2に。
しかし、状況変わらず、76分にも岐阜の決定機
中盤でのFK時にジェフの守備陣は前線の古橋を誰も見ず、裏を取られて折り返され、最後は山岸がシュートを放ちますが、エベルトがブロック。
その直後にも岐阜の攻撃。
左サイドから細かくパスを繋いで、古橋が抜け出してセンタリング。
山岸がスルーして田中がシュートを放ちますが、大きく吹かしてしまいます。
この時間、ジェフは全く守備をしない状況でしたが、78分に同点。
右サイドで受けた指宿が、真希との1-2から持ち上がってクロス。
これに逆サイドの清武が飛び込み、頭で合わせてゴール。
その直後、岐阜は田中に代えて風間を投入し、81分にも山岸に代えてライアンを投入。
85分、岐阜のカウンターから決定機。
風間が中盤で持ち上がり前線で受けたライアンがスルーパスを出し、風間が走り込んでシュートを放ちますが、ポストに直撃。
89分、岐阜は小野に代えて難波を投入。
その直後、岐阜が勝ち越し点。
左サイドで風間が真希をいなすと、そのまま中央へ持ち込んで豪快なシュートを決め2-3に。
後半ATには、中盤での浮き球を清武が落として、ラリベイが粘って右サイドへ。
船山が持ち込んでシュートを放ちますが、GKビクトルの正面で決まらず。
2-3でジェフの敗戦となりました。
■ノーガード状態になってしまう要因
まだ3試合終了時点の段階ではありますが、これでジェフ1分2敗で20位ということで、少なくとも順風満帆なスタートとは言えなくなりました。
ただ、私は何度も話しているように、昨年結果の残せなかったハイプレス・ハイラインに再びチャレンジする以上は、今季も厳しい状況になるだろうと思っていました。
問題はそこからどう改善策を見出すか…ではないでしょうか。
東京Vもパスを繋いできたし、水戸もそこまで積極的なプレスを見せず、岐阜もぶれないパスサッカーがベースということで、そこまで極端なジェフ対策をやられた印象はありません。
それでも結果が残せないということで、より状況は厳しいようにも思います。
攻守において、安定感が感じられない状況が続いていますね。
ハイプレスで相手を押し込み、ポゼッションしても遅攻の質に問題があり、確実に崩すパスワークを作れない。
攻めあぐねて、そこからボールを奪われ、カウンターを受けてやられてしまう。
これは昨年の夏頃までに、何度も見た光景だったと思います。
この日の2失点目などはまさにそれで、増嶋からのサイドチェンジが通らなかったところから逆襲を受けています。
相手からすればジェフにボールを持たれても崩されることは少なく、むしろ攻め込まれ続けることでジェフが焦れてきて、全体が前掛かりになり裏が空いてくる。
そこを一発で突けばいいわけですから、むしろ攻め込ませた方が良いような状況なのかもしれません。
また、1失点目は何度も取り上げた、昨年の水戸戦との同じ展開でした。
岐阜戦でも相手GKからのロングキックを一度は跳ね返したもの、中盤でせめぎ合いになり相手ボールに。
この時、右インサイドの矢田はGKからのロングキックもあって、低い位置に下がっていた。
その分、後方の福村へのチェックが遅れて、そこからラストパスを供給され、古橋に裏を抜け出されてしまった。
矢田は寄せが甘いことが多く、茶島もがむしゃらにいきますが、相手に交わされることがあって2度追いすることが少ない。
インサイドを含めて前にプレスをかけ続けられればいいのでしょうが、ジェフは後方が薄いので一瞬でもサボればそこから失点に繋がる。
インサイドの守備力の問題もあるし、少しのサボりも許されない守備のリスク管理も含めて不安のある状況だと思います。
そして、最後の失点は真希がかわされてしまったのが問題ではありますが、かわされた段階で相手の攻撃陣は4人、ジェフの守備陣は3人しかいない状況でした。
そのため増嶋が前に出て風間を潰しにいけず、茶島が遅れて守りに行ったものの滑って、相手にシュートを放たれています。
素晴らしいシュートだったことには間違いないものの、数位的不利な状況でフリーな選手にバイタルエリアでボールを持たれたら、やられても仕方がないと思うべきでしょう。
この場面に限らず、後半途中からのジェフの守備は非常に甘い状況でした。
ジェフが2点目を取る前の76分にも、相手FK時に前線の古橋を誰を見ずに、当たり前のように裏を取られていました。
古橋は岐阜の攻撃陣でも警戒すべき相手だったと思いますし、そういった選手に簡単に裏を取られるような守備では、いつかは失点するのではないかと思っていました。
前節から続く、後半からのノーガード状態。
基本的には疲れから足が止まることと、点を取りたい思いからではあるのでしょう。
しかし、それにしても、度が過ぎた状況なのではないでしょうか。
なぜそうなってしまうのか考えると、基本的な守備意識の問題と守備組織の問題の両方なのかなと思います。
昨年の夏頃も勝っている状況であれば、引いて守る形をとることもありました。
また、シーズン終盤には、引いて守ってカウンターというやり方で結果を残した。
完全に引いて守る形に切り替えた状況ではセットして守れるものの、ハイプレス・ハイラインを基本とした状況では、相手に押し込まれることを想定したチーム作りをしていない。
また、被カウンター時にどうやって守るのかもはっきりせず、うまく相手の攻撃を遅らせられたとしても誰も戻ってこない。
ようするに、ハイプレス・ハイライン時は「プレスをかけて奪う」という方針こそあるものの、プレスが掻い潜られた後にどう守るのかが明確になっていないということだと思います。
それに加えてここ2試合は前半から飛ばしがちで、後半は運動量が落ちるだけに、自己判断で守備に戻っていた選手たちも戻らなくなってしまう。
しかも、もともと前への意識が強いチームなだけに、同点やビハインドの状況ではさらに前掛かりになってしまう。
その結果、後半途中からは2試合続けて、DFラインだけで守るようなノーガードの状態になってしまっているのではないかと思います。
なまじ昨年終盤に自信をつけたせいか、今年の方が全体的な守備意識が薄くなっているようにすら感じるのが心配です。
また、選手起用の面でも2列目に守備で戻れる選手が少ないことや、スタミナの部分で不安があるのかもしれません。
それでも、"当たって砕けろ"のサッカーで続けていくのでしょうか。
「攻め込めてはいる」という見方も出来るのかもしれませんが、水戸戦や岐阜戦を見ると、逆にそれが相手の思う壺となっているところもあるのかもしれません。
水戸戦では相手の攻撃陣のミスに救われた印象もありましたが、それがなければ岐阜戦のようにやられていたかもしれない。
もちろん岐阜の守備ももう1つだったところもありジェフも得点を取れましたが、ゴール前における守備で粘り強く戦っていたのは岐阜の方だったのではないでしょうか。
なぜそれが出来ないのか、守備意識の面も守り方の部分も考えていかなければいけないと思いますし、そこが出来ていないから安い失点が増え、安定感のない状況が続いているのではないでしょうか。