自分たちのペース以外で戦えない脆さ

 開幕戦に続いて、早い段階で退場者が出てしまった徳島戦。
 不運と言えば不運ですが、同じルールで戦っているわけですし、あまり言い訳にするのは良くないと思います。
 1人少なかったにしても、負け方が悪かったですね。


 これでジェフは、開幕から4試合勝ち星なし。
 J2に降格して開幕からここまで勝利が遠いシーズンは、初めてということになるのではないでしょうか。
 しかも、ここに来ての大敗ということで、さすがにメンタル面が心配になってきます。
■早々相手に崩されて1人退場
 勝ち星のないジェフは、大きくメンバーを入れ替えてきました。
 指宿、小島、溝渕がスタメン出場し、ラリベイ、為田がベンチに回って真希はメンバー外に。
 前節得点を決めた清武が外れて、勇人、杉山がベンチ入り。


 徳島は前節大宮戦とスタメン変わらず。
 ベンチには昨年14ゴールを上げた山崎が、今季初のメンバー入り。
 開幕前に名古屋から移籍した、杉本竜士も控えに入っています。



 徳島はメンバーは変わらなかったものの、キムが右SB、内田が左SBに入る4-3-3でスタート。
 中盤は岩尾、シシーニョ杉本太郎で、前線に前川、島屋、呉屋という組み合わせ。
 ジェフは左ウイングに町田、右ウイングに矢田を置き、インサイドに茶島と小島が入りました。


 立ち上がりから、積極的にプレスをかけていく徳島。
 徳島がジェフを押し込んでボールを奪い、そこから積極的にDFライン裏を狙っていきました。
 一方のジェフは徳島のハイプレスに、戸惑った立ち上りだったと思います。

 

 そして、12分に徳島が決定機。
 右サイドからのスローインで、シシーニョが抜け出してセンタリング。
 これをロドリゲスが触りますが、こぼれ球を呉屋が拾ってシュートを放つと、溝渕がハンドリングで退場。


 これで得たPKを呉屋が蹴るものの、一度目はロドリゲスが先に動いてやり直し。
 今年は開幕戦の水戸対山形戦でも、PK時にGK児玉が先に動いてやり直しになっていますし、厳しく取っていく方針なのでしょうか。
 再びPKを呉屋が蹴って徳島が先制。

 

 22分、徳島のチャンス。
 徳島が中盤左サイドで得たFKから、逆サイドのキムに展開し中央へ。
 島屋が触って最後は呉屋がフリーでシュートを放ちますが、枠を逸れます。 


 ジェフは1人少なくなって、増嶋、エベルト、高木の3バックに。
 右WBに町田、左WBに茶島、ダブルボランチに熊谷と小島、矢田がトップ下で指宿が1トップの3-4-1になりました。
 しかし、守備で前にも行けず、スペースも消せず、徳島が良い形を何度も作る展開に。



 それでも30分、ジェフが同点。
 増嶋からのアーリークロスを指宿が胸トラップすると、町田の体にあたり、指宿の目の前に転がります。
 これを指宿が押し込み、シンプルな展開で1-1に。


 その直後、徳島のチャンス。
 左サイド後方から裏へのパスに、呉屋が抜け出して中央へ。
 最後は島屋が切り替えしてシュートを放ちますが、GKロドリゲスがセーブ。



 38分にも、徳島の決定機。
 GKカルバハルから左前方へのロングパスを受け、シシーニョが前を向いて増嶋を抜き去ります。
 中央へ触ればゴールという鋭いボールを供給しますが、島屋には惜しくも合わず。


 40分にはジェフの攻撃。
 右サイドで町田からのスルーパスを受けた矢田が、切り返して鋭いボールを供給。
 しかし、枠を捉えきれず。



 このまま、1-1で折り返せれば…と思われた45分。
 左サイドから杉本に繋がれると、エベルトとの勝負に。
 エベルトが寄せきれず、シュートを放たれて1-2に。


 前半ATにも徳島の決定機。
 岩尾から楔のパスを出され、エベルトが呉屋を相手を潰し切れず、シシーニョが拾って持ち上がります。
 最後は島屋がシュートを放ちますが、GKロドリゲスの正面。
■後半はさらに攻め込まれ1-4の大敗
 1点ビハインドのジェフは、後半開始と同時に茶島に代えて、高卒ルーキーの杉山を投入。
 この日は真希もベンチ外だったので、他に守備的なサイドの選手がいなかったということもあったのではないでしょうか。


 51分、徳島のチャンス。
 中盤後方でボールを奪われたところから、シシーニョ、前川と繋いでゴール前へパス。
 これを島屋が受けてシュートを放ちますが、GKロドリゲスがセーブ。



 後半から運動量も落ちて、前半以上に攻め込めなくなったジェフ。
 60分には、矢田に代わって船山を。
 65分にも、指宿に代えてラリベイを投入。


 その直後、徳島の攻撃。
 左サイドからのCKを岩尾が蹴ると、キムがバックヘッドでゴールを狙いますが、GKロドリゲスの正面で終ります。
 70分、徳島は呉屋に代えて山崎を投入。



 そして、73分、徳島が前線からプレスをかけ、増嶋のミスキックを誘発し徳島の中盤に拾われます。
 杉本、シシーニョ、山崎と繋いで、杉本がゴール前へ飛び込みますが、ここはジェフがブロック。
 しかし、増嶋が再びゴール前でパスミスをして、シシーニョが流し込んで1-3に。


 78分にも、ジェフのミスから徳島の決定機。
 GKロドリゲスがキックミスをして、山崎にプレゼントパス。
 そのまま山崎は素早くシュートまで持ち込みますが、ロドリゲスが何とか掻きだします。



 84分、徳島は杉本太郎に代わって、17歳で2種登録の藤原を起用。
 88分、徳島のキムがハーフウェーラインからのロングパスを出し、増嶋と島屋が競り合ってこぼれたところを山崎が拾います。
 山崎が縦に繋いで、島屋がエベルトを半歩抜け出してゴール。


 昨年も何度かやられたパターンで、相手が裏に走ったところ、オフサイドを取れないとみて、CBの1人がついて行ってしまう。
 そこで競りあって、こぼれ球を拾われると、DFラインは凸凹な状態に。
 他のDFも同時に付いていけばいいのでしょうが、そういった守り方が出来ず、ダメ押しゴールを取られてしまいました。


 ただ、ここではエベルトの最後の寄せも甘かった印象です。
 90分、徳島は島屋に代えて杉本竜士を投入。
 徳島は新加入の選手も試して、1-4で大勝となりました。
■ハイプレス・ハイラインから守る形に移れない
 1-4というスコア以上に、やられた印象の強い試合でした。
 1人退場者が出たとはいえ、立ち上がりから徳島は良い形で試合に入っていったと思います。


 4-3-3で前線3人が、ジェフの2CBとアンカーに激しくプレスをかけてきました。
 これは昨年対戦した2試合で、ジェフに押し込まれることが多かったからではないでしょうか。
 昨年からジェフはプレスをかけられるとビルドアップに弱さが出てしまい、相手を押し込めずに自分たちのペースで試合が出来なくなることが多いと思います。



 徳島の守り方は、岐阜と似たような形だったと思います。
 今年のジェフは攻撃時にアンカーが下がり気味になり、SBを押し上げて3-4-3に近い状況となる。
 相手としてはこの状況で両ウイングが3バックを追いかけるとサイドが薄くなりますが、中盤の3枚が左右にスライドすることで対応する。


 3-4-3でジェフの中盤は4枚。
 4-3-3で相手の中盤は3枚になるため相手は中盤で数的不利になるわけですが、基本的にジェフは中盤中央でうまくパスワークを繋ぐことが出来ない。
 では、ジェフはどこでパスを繋ぐかというと後方やサイドを中心となるわけで、中央は怖がらずに外へ出て行ってプレスをかけようということなのでしょう。


 この2試合で、早くもジェフへのプレスのかけ方がはっきりしたのかなと思います。
 昨年のハイプレス・ハイライン時期から、ジェフの戦い方は大きく変わっていないわけで対策は取りやすい。
 それでもメンバーも変わって不確定なところもあったと思うのですが、試合を通じてより対策が明確になったのではないでしょうか。



 1人少なくなって苦しくなったのは事実ですが、退場者の出たシーンもやられ方が悪かったと思います。
 まず、エベルトが簡単にシシーニョのドリブルに抜け出されて、クロスを上げられてしまった。
 エベルトは2失点目の杉本にもついていけず、4失点目の島屋も潰し切れなかっただけでなく、他の局面でも相手のドリブルに付いていけない場面が目立ってしまいました。


 さらに退場者が出た場面では、ロドリゲスがしっかりと弾き出せずに、呉屋がこぼれ球を拾ってシュートを放っています。
 ロドリゲスは開幕戦でのCK時の対応も中途半端でしたし、サイドからのボールに弱いのでしょうか。
 前節も股を抜かれてやられていますし、少しずつミスが目立っていますね。



 局面での対応ももう1つでしたが、チームとしての試合運びにも課題を感じました。
 1人少ない状況にもかかわらず、守りを固める時間帯などはほぼ作らず、攻め続ける展開だったと思います。
 特に前半終盤、劣勢の状況で同点だったにも関わらず、守りにいかず、時間も使わずに2点目を失ったのは致命的だったと思います。


 やはり基本的にはハイプレス・ハイライン状態では、守る術がないということなのでしょう。
 昨年後半などのようにハイプレス・ハイラインを諦め、はっきりと引いて守る形にシフトすれば守りを固めることも出来るのかもしれませんが、ハイプレス・ハイライン状態の時には守備を固めることが出来ない。
 車のギアを切り替えるように状況に合わせて戦い方をシフトすることが出来ず、エンジンを載せ替えるくらいの大きな切り替えがないと引いて構える形に移れないのかもしれません。



 それだけ柔軟に戦えないということになるわけですから、どうしても対応力の面で問題が出てきてしまいますね。
 ようするに、プレスがハマって押せ押せの状況しか想定できていない。
 自分たちのペースで戦うことだけを、前提としたチーム作りをしている。


 しかし、毎試合のように理想通りに戦えるはずもなく、理想を外れると一気に脆さが出てしまう。
 そうなるとやはり安定感のあるチームというは、期待しづらくなってしまうように思います。
 選手たちもそれをわかっているのか、昨年からうまくいかなくなると、プツッと集中力が途切れるところがある気がします。  



 今年もいつかは昨年終盤のように、引いて守ってカウンターという形に変更するのかな…とは思っていましたが、思ったよりもそれが早く来ることになるのでしょうか。
 しかし、あくまでも昨年終盤に成功したのは、完全に後のない状況で、失うものも何もなく、思い切って戦えたところも大きかったと思います。
 また、相手としてもジェフがああいったサッカーをしてくるとは思わず、短期間だったので対策が取れなかったところもあるでしょう。


 今年もそれがうまくいくかどうかは、わからないところがあると思います。
 しかも、今引いて守ってカウンターにシフトすれば、2年連続でハイプレス・ハイラインは失敗に終わることを意味します。
 そういった精神的なダメージというのも大きいかもしれませんし、非常に悩ましい状況ですね。


 幸か不幸か今週は連戦となります。
 しかも、讃岐戦、京都戦はホームフクアリでの開催。
 強引にでも気持ちを切り替えざるを得ない状況に立たされているわけで、それによって良い方向に挽回できるといいですね。