かなり立ち上りから激しい試合となりましたね。
前半はジェフのハイプレスがはまり、左サイドから押し込んで先制。
狙い通りの形と言えるでしょう。
しかし、前半飛ばし過ぎたのか、後半からは大きく失速。
プレスがはまらず中盤でも潰せずに、守備バランスが悪くなって2失点。
前半こそ良い展開だったものの、これから夏に向けての不安も感じた試合で、これが続くと前半から飛ばして押し込む形を狙い続けて大丈夫なのか…という話にもなってくる気がします。
■激しい攻防の中ジェフが先制
2連勝中のジェフですが、また大きくメンバーを入れ替え、ロドリゲス、鳥海、小島がベンチに回って、サリーナス、真希はメンバー外に。
優也、高木、町田、為田、船山がスタメンに復帰し、4-1-2-3に再び戻しました。
ベンチからは溝渕、岡野が外れて、エベルトが入っています。
新潟は前節と同じ11人。
主力FW河田が5月3日の試合で負傷し、前節大分戦では市船で優也と増嶋の1つ先輩にあたる小川が前線に入りましたが、今節は大卒ルーキー渡邉新太がFWに。
右SBには市船出身で19歳の原、CBには元ジェフ富澤が入っています。
5分、ジェフの決定機。
ピッチ上に2つボールが入って新潟守備陣が混乱する中、左サイドを高木が突破し中央へ。
こぼれたところを矢田が拾ってシュートを放ちますが、バー直撃でゴールならず。
6分、ジェフにアクシデント。
町田が負傷交代して清武が急遽投入されます。
清武が右SH、船山が前線、矢田と熊谷のダブルボランチによる4-4-2に変更になりました。
その直後には新潟の決定機。
中盤からのFKをターレスが落とすと小川がクロスを上げて、GK優也が触りますが弾き出せず。
戸嶋が飛び込み頭で合わせますがジェフDFに当たり、こぼれたところをターレスが狙いますが枠の外。
13分、ジェフのチャンス。
船山のチェックから右サイドでスローインを得ると、素早くリスタート。
船山が受けてシュートを放ちますが、ゴールならず。
16分、今度は新潟のチャンス。
右サイドからのFKを小川が蹴ると、ソン・ジュフンがファーで競り勝ちます。
こぼれたところを原が合わせてゴールかと思われましたが、オフサイドの判定。
その直後にも新潟のチャンス。
茶島が戸嶋のプレスを受けてパスミスをし、ターレスが近藤に仕掛けてシュート。
優也がこぼしたところを渡邉が狙いますが、増嶋が何とかクリア。
序盤から激しい展開。
ジェフはプレスと左サイドからの攻撃で、新潟を押し込んでいきます。
しかし、新潟もプレスをかわし、ターレスのポストプレーなどからチャンスを作っていく展開。
そして、20分にジェフが先制。
左サイドで為田がボールを持つと原がフェイントに引っかかり、為田がフリーでセンタリング。
これをラリベイが頭で合わせてゴール。
その後は、試合も落ち着いていきました。
ジェフがボールを持つ時間が長くなっていきますが、シュートまでは持ち込めず。
新潟もカウンターからチャンスを作れず、停滞状態に。
前半終盤には新潟が押し込む時間も作りますが、チャンスには至らず。
逆に前半ATには、ラリベイがシュートまで持ち込みますが枠の外。
そのまま1-0で前半を終了します。
■ジェフの足が止まり中盤を取られて2失点
1点ビハインドの新潟は、後半開始と同時に小川に代えて高木善朗を投入し、右に戸嶋、左に高木が入りました。
46分、新潟の決定機。
安田のFKをターレスが落とすと、富澤が抜け出す形でシュートを放ちますが、ジェフがブロック。
52分、新潟はターレスを代えて、柏や名古屋でもプレー経験のある矢野を投入。
55分には新潟のチャンス。
高木からのパスを受けた矢野が左サイドを抜け出し、鋭いクロスを供給しますが中央の戸嶋に合わず。
新潟の流れになりつつなる中、56分にジェフは為田に代わって小島を起用。
右に船山、左に船山、小島と矢田の2インサイドになり、1ボランチに変更しました。
ジェフは運動量も落ちていき、途中投入の高木を潰しきれずにいました。
そして、66分、新潟が同点ゴール。
戸嶋が矢田からボールを奪い返し持ち上がると、渡邉、磯村と繋いで、再びパスを受けた渡邉がシュートを放ちゴール。
ジェフは足が止まっていて、戸嶋が持ち上がったところで、熊谷が潰しに行けなかったですね。
70分にも新潟の攻撃。
右サイドからのCKを高木が蹴ると、ファーでソンが折り返し、磯村などが飛び込みます。
しかし、ゴールライン前で茶島、ラリベイがカバー。
中盤を潰し切れないジェフは、熊谷に代えて勇人を投入し、勇人と小島のダブルボランチにして矢田を右SHに。
しかし、74分にジェフが失点。
新潟が右から左にパスを繋いで、安田がアーリークロスを上げると、フリーで渡邉が飛び込んでゴール。
78分には、ジェフが久々の攻撃。
高木がカットインして持ち上がり、ラリベイが落として茶島へ。
茶島がミドルシュートを放ちますが、ポストの右を逸れます。
81分、新潟のチャンス。
安田からのボールを受けた渡邉が間で受けて、ゴール前に供給。
矢野がヘディングシュートを放ちますが、GK優也がセーブ。
86分、新潟はソンに代えて広瀬を投入。
89分、新潟の決定機。
相手後方からのクリアを勇人と小島が処理できず、渡邉が抜け出す形となってロングシュートを放ちますがポスト直撃。
優也が飛び出した状況で、矢野が拾って再び渡邉がシュートを放ちますがポストの左を逸れました。
試合終盤、ジェフは近藤を前線に上げてパワープレー。
最後はCKからゴールを狙いますが決まらず、1-2で敗戦となりました。
■プレスがかからない状況での守備の課題
前半はプレスもはまり、左サイドからの攻撃で押し込み、ジェフペースだったと思います。
木曜日にもお話ししましたが、ジェフは岡山戦のように相手を押し込むためにはサイド攻撃が重要になる。
それが前半は機能して、攻め込めていたように思います。
特に相手右SH小川は、守備がほとんどできていなかった。
それによって対面の高木が楽にボールを持てて、そこから優位に立っていた印象です。
高木は前を向けばパスを出せて自分でも仕掛けられるし、前方には為田もいるわけで、新潟からすれば左サイドでやられ過ぎていたと思います。
一方の逆サイドでは戸嶋がしっかりと守備をしていて、茶島を自由にやらせていなかった。
そのため前線のターレスも、あえてジェフの右サイドにボールを追い込むような追い方をしていた印象です。
しかし、逆サイドではそれが出来ないため、徐々に2トップも追い方に迷う展開になっていったように思います。
そのため、新潟は後半開始と同時に、苦戦していた小川を下げて高木善朗を投入。
戸嶋を右にまわしたのも、高木善朗の攻撃力を左サイドで活かしつつ、右サイドで高木利弥をマークするため入れ替えたのかもしれません。
これによってジェフはサイドで優位に立てなくなり、前半のように攻め込めなくなったところがあったように思います。
さらに後半からは運動量が落ち、プレスも効かなくなっていきました。
前半から飛ばしていた印象もありましたし、気温なども考えると仕方のないところもあったのかもしれません。
逆に新潟の方は選手交代も含めて、後半に勝負をかけるつもりだったのでしょうか。
しかし、1失点目は中盤でボールを奪われたところから、熊谷が完全に歩いているような状況で、バイタルエリアを取られて失点。
その直後の展開でも熊谷は動けず、1ボランチ脇を取られています。
そして、その後、熊谷は交代しています。
さらに2失点目には右サイドで新潟がパスを繋いでいたところに、小島、勇人とチェックに行きますが潰し切れず。
薄くなった逆サイドに展開されて、クロスを上げられて失点しています。
飛び込んだ渡邉を完全にフリーにしてしまったDF陣も問題ですが、簡単に左右に展開されてしまったことによって、ジェフDFが相手を捉えにくい状況になってしまったのでしょう。
昨年から何度か見られた展開ですが、プレスがはまった時は良いとして、はまらなくなった時にどう守るのかという課題が出てしまった試合だと思います。
全体が動けている状況なら良いのでしょうが、動けない状況で毎回相手に食いついて行ってしまっては、その裏が空いてしまう。
今回のように後半動けなくなってしまった展開で、動けていた前半と同じようにプレーしていれば、当然無理が生じると思います。
さらに劣勢になりつつあった後半序盤に小島を投入して、4-4-2から4-1-4-1に変更していますが、これもどういうメッセージだったのか。
前からさらにプレスをかけろと言うことだったのかもしれませんが、走れない状況でそれを要求するのは無理があり、逆に1ボランチ脇が空いてしまいました。
そこから失点したといってもおかしくない展開で、結局ダブルボランチに戻したことになります。
GWから引いて守る時間帯が増えていて、その効果も出つつはあったと思うのですが、引いて守った時の守備バランスにはまだ課題もあった印象です。
この試合では前半から前への姿勢を強く出していった結果、後半もその意識が残ったまま戦い、ボールに食らいつきすぎてバランスが悪くなってしまったのかなとも思います。
また、ホームということもあったのかもしれませんが、単純に前半から飛ばし過ぎていたのではないかという見方も出来るかもしれません。
もしこれだけの失速が毎回続くということになれば、前半から飛ばしてハイプレス・ハイラインで圧倒する戦い方が良いのかどうか…という話にもなってくる可能性があると思います。
今回だけならば良いかもしれませんし、90分間スタミナ切れを起こさなければ問題ないとは思います。
しかし、昨年も試合途中から失速する試合はあったし、今年も開幕から後半は走れずノーガードで戦うような試合が多かった印象です。
6月に入ればナイトゲームも増えるので、多少は解決する部分もあるかもしれません。
しかし、基本的には夏に向けて暑くなれば、スタミナ面の問題が出やすくなるでしょうし、湿度という難題も出てくる。
足が止まりプレスをかけられない状況で賢く戦えないという状況が続けば、前半から飛ばして押し込む形を狙うのも厳しいのではないか…という話になりかねないように思います。
プレスがかけられなくなった時に上手くスペースを消してバランスよく守れる形を作るのか、それとも我武者羅なハイプレスは諦めるのかという展開になっていくのでしょうか。