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フェアプレーポイント差で日本代表がGL突破決定

 ロシアW杯GL最終戦、日本代表はポーランド代表に敗れましたが、フェアプレーポイントでセネガル代表を上回り、グループリーグ突破となりました。
 負けて突破という珍しい展開ではありました、これが短期決戦で行われる大会の難しさでもあるのだろうと思います。


 日本代表はセネガル戦から、6人もスタメンを交代。
 乾や長谷部がイエローカードをもらっていたことや、現地が高温だったこと。
 第1戦、2戦のスタメンが同じで、選手の疲労なども考えてのことだったのでしょうか。



 ここまでの大きな変更は驚きましたが、変わってスタメン起用された選手たちはそれぞれ持ち味も出していたと思います。
 武藤と岡崎の運動量と縦への動きは相手の脅威になっていたと思いますし、宇佐美も序盤は流れを掴めていなかった印象もありましたが、視野の広さを見せて変化を付けていたと思います。
 守備面でも宇佐美なりに頑張っていた印象でした。


 一番の驚きは、酒井高徳の右SH起用でしょう。
 スタメン発表時はどういった意図での起用か読めないところがありましたが、単純に守備面の強化ということだったのかなと思います。
 引き分けでも突破が決まる試合だったこともあって、守備を重視したということでしょうか。



 この試合での日本の守備は、まず2トップがボランチのコースを消す。
 そこからチェックに行って、相手ボールを日本の右サイドに追い込むプレッシングをしていきました。
 そして、そこで酒井高徳が中から外に追い込み、酒井宏樹も加勢して相手を潰すという意図だったように思います。


 それによって、左サイドの宇佐美の守備の負担も軽く出来る。
 実際、この試合での日本は、右サイドでボールを奪うことが多かったと思いますし、狙い通りに効果が出ていた部分もあったのではないでしょうか。
 過去2試合は原口の守備力が目立っていましたし、原口は当初WBでプレーしていたことを考えても、右SHには守備力のある選手が必要だという考えなのかもしれません。



 攻撃面では後方で左右にパスを繋いで相手を広げて、右サイド後方から斜め中央へパスを繋いできました。
 相手の間を突くパスを狙っていき、それがダメなら裏も使っていく意図だったように思います。
 それが前半途中までは有効に使えていた印象でしたが、気温の影響や岡崎の怪我もあってか、徐々に前線の引き出す動きが少なくなってしまったように見えました。


 さらに、相手は守備時に前線から1枚が下がって4-5-1の状況になることもあり、それによって縦パスのコースを消していた印象です。
 無理に前線からは追わずにミドルエリアを厚くして、引っかけてハーフカウンターというのがポーランドの狙いだったのではないでしょうか。
 もともと積極的に前から追えるチームではないでしょうし、ゆっくりとしたペースで戦っていこうという発想だったのかもしれません。



 日本代表は引き分けでもいいという発想もあってか、結果的にポーランドのペースに合わせ過ぎたところもあったように思います。
 そのため、前半のうちにいくつか良い攻撃が作れましたが、得点を奪い切るには至らず。
 後半からはポーランドが前への姿勢を少しずつ高めていき、日本が押し込まれる時間が増えていってしまいました。


 また、乾や香川などがおらずトップ下を置かなかったこともあって、過去2戦ほど相手の間で受ける動きがうまく出来ていなかったように思います。
 さらに守備面においても4-4-2にしたため、4-5-1気味になる相手中盤の枚数より少なくなることがあり、結果的に相手中盤の選手が空いてしまうところもありました。
 2トップの動きも悪くなかったとは思いますし、大迫を休ませるなら2トップの方が良いという判断だったのかもしれませんが、この辺りはトレードオフの関係でデメリットも生まれていたように思います。



 最後は長谷部が投入されて、後方でパスを繋いで時間を潰す作戦に出ていました。
 これは単純に「このままでも突破できる」という情報があったからということもあるでしょうが、後半からポーランドの方が攻め込む時間が長く、日本はラインが下がって苦戦していたという面もあったのかもしれません。
 そう考えるとただ時間を潰して談合をしたというだけではなく、日本が攻めに行っても厳しい状況だったからという判断も加味されたものだった可能性もあるのではないでしょうか。


 個人的には時間を浪費したこと自体は、大きな問題はないと思います。
 ただ、裏で行われていた試合結果に関係なく、あのまま終われば日本の突破が決定するという状況ならともかく、裏でセネガルが同点に持ち込めばGL敗退が決まっていた。
 日本としては賭けに出た部分もあったわけで、そういった意味ではどうだったのかなとも思わなくもありません。



 とはいえ、先ほども言ったように、後半はポーランドの方が盛り返していたようにも見えたこと。
 また、長谷部投入後は時間が長く感じましたが、実際には82分に投入されたわけで、残り時間は8分+ATであり、その少ない時間では得点は厳しいだろうと考えた可能性もあるでしょう。
 その中で最も突破の可能性が高い方法を考え、無理に攻めて失点やカードをもらわずに、試合を終えることを優先したのだろうと思います。


 もちろん負けてベスト16に進むのはスッキリしない部分もありますが、これで多くの主力選手を休ませた上で、GL突破を果たせたことも事実。
 過去のW杯ではGL突破までで体力を使い果たしていた印象もありますから、これが良い方向に進む可能性を期待したいところではないでしょうか。
 ただ、GLの最後に負けてしまったということで、チームとしての勢いが落ちなければ…という心配はありますが。



 試合終盤に時間を浪費したことによって、賛否両論が生まれそうな状況ではありますが、それまでの戦い方に関してもしっかりと見るべきだと思います。
 2トップや酒井高徳の起用もメリットを打ち出せたところもあると思うし、逆に苦戦したところもあった。
 特にセットプレーに関してはやはり不安要素が出てしまった印象もあり、そのあたりを整理した上で次の試合に臨むべきでしょう。


 ともかく、誰が何と言おうと、これで日本代表としてのW杯の過去最高成績に並んだわけですから、それに関しては十分に賞賛されるべきことだと思います。
 そして、過去2回はGL突破で満足していた印象もありますが、さらにその上にチャレンジできるかもしれない。
 それだけに、しっかりと次の試合も勝つつもりで、頑張ってほしいと思います。