前節に退席処分を受けたエスナイデル監督が、4試合のベンチ入り停止処分を言い渡されました。
エスナイデル監督は既に3月の水戸戦で退席処分となっており、2度目のベンチ入り停止処分となります。
JFAの罰則基準(PDF)によると、「主審、副審の判定に対する執拗な抗議」を行った場合、「一回目は最低1試合の出場停止」、「繰り返した場合は最低2試合の出場停止及び罰金」となっているそうです。
少し厳しい判定ということになりますが、問題を起こすたびに罰則が厳しくなっていくルールということで、「何をしたのか」以上に「何回やったのか」が問題だったのでしょう。
エスナイデル監督はこれまでにも審判へ抗議をして試合を止めることが度々ありましたので、そういった部分が加味されたのではないでしょうか。
驚きはしましたが、そう考えると仕方がないのかなとも思います。
ただ、監督がいなくても、サッカーは大きく変わらないでしょう。
スタメンなどは監督が決めるのでしょうし、選手交代や試合中の修正に関しては、もともと得意ではない監督。
強いて言えば、メンタル的な影響がどこまであるのか…ということでしょうか。
しかし、実際の試合はいつも通りの展開で、1-2で敗れてしまいました。
あれだけあっさりと失点しては勝点を伸ばすのは難しいでしょうし、このまま崩壊してもおかしくないような守備だったように思います。
ただ、一方で先制されたことによって攻め込む時間が増えた結果、攻撃面の課題も目立った試合となってしまいました。
■あっさりと先制されボールを持たされる展開に
ジェフは右SBに鳥海を入れて、茶島が右SHに回り、CBは近藤と増嶋のコンビに戻しました。
小島と熊谷のダブルボランチでトップ下に船山、1トップにラリベイという前節途中からのシステムに近い形に。
控えには加入直後の工藤が入り、前節スタメン出場した岡野がメンバー外に。
大量失点の続く讃岐は4バックを大幅に入れ替え、右SB市村、左SB荒堀、CB岡村が控えに回って、右SBに佐々木渉、左SBにアレックス、CBに麻田が入りました。
渡邉大剛が不在で、重松が左SHでスタメン。
前線は原一樹と木島徹也のベテランコンビになっています。
試合開始時から大雨が降ってきて、強い風も吹いていました。
しかし、10分頃には雨が止むなど、予測しづらい天候に。
試合は両チーム、雨の影響なのか、失点が多いということもあってか、慎重な入りになっていました。
9分にはジェフのチャンス。
相手のゴールキックを中盤で拾ってカウンターで、為田が左サイドを駆け上がります。
為田がクロスを上げてニアで船山がダイレクトシュートを放ちますが、ゴールの左を逸れます。
その直後には讃岐のチャンス。
乾がボールを奪われたとこから、原が裏へのスルーパス。
木島がシュートを放ちますが、GK優也の正面で終ります。
その後はジェフがボールを持つ時間が長くなっていきましたが、18分にあっさりと失点。
左サイド前方でボールを奪われると、中央に繋がれてハーフウェイラインから、フリーでアレックスがボールを持ち込みます。
ジェフはそこからボールホルダーへチェックに行けず、左サイドの重松に繋がれてクロスを上げられ、原に押し込まれてしまいました。
25分頃から、ジェフが一方的に押し込む時間が増えていきました。
讃岐は4×4でしっかりブロックを作る守り方ですが、2トップのプレスが緩くそこから押し込まれていきます。
ジェフは前半途中から右SHに船山を回し、小島と茶島の2インサイドに置く、4-1-2-3に変更。
32分にはジェフのチャンス。
CK直後のスローインから中盤の熊谷が、シンプルにゴール前へ供給。
ニアで競った後に乾がうまく落として、ラリベイが抜け出してシュートを放ちますが、GK清水がファインセーブ。
44分にもジェフの決定機。
左サイドの奥でFKを得ると、船山がゴール前へ供給。
ラリベイがゴール前で合わせますが、GK清水の正面に終わり、0-1で折り返します。
■後半は相手を押し込めず1-2の敗戦
49分、讃岐が追加点。
右サイドで佐々木匠が乾をかわして、原が裏を取る形でボールを受けます。
そのままセンタリングを上げると、ファーで完全にフリーになった重松が合わせて0-2に。
54分、ジェフは茶島に代えて工藤を投入。
その直後、ジェフが1点を返します。
近藤からの大きなボールを左サイドの奥で乾が受けて、グラウンダーのクロスを上げるとラリベイが足元で合わせてゴール。
57分、讃岐の攻撃。
中盤で得たFKを佐々木匠が蹴ると、ニアで相手に触られます。
重松が飛び込みますが、GK優也がクリア。
後半に入ってからは、ジェフが圧倒的に押し込む時間はなくなり、互角の争いといった印象に。
60分、讃岐は佐々木渉に代わって市村を投入。
68分には重松に代わって岡村を投入し、高木が右SHにまわり岡村がボランチに。
71分、ジェフは船山に代えて清武を投入。
73分、讃岐は木島に代えて森川を投入。
その直後、ジェフは小島に代えて指宿を投入し2トップにして、工藤がボランチに。
ジェフは工藤がボールを積極的に触って、リズムを作ろうという動きを見せていきますが、決定機までは作れず。
逆に83分には讃岐の攻撃。
森川からの大きな展開を受けた高木がカットインしてシュートを放ちますが、原に当たってゴールならず。
87分にも讃岐の攻撃。
後方からのボールを受けた原が粘って、高木が右サイドで受けてセンタリング。
森川がニアに飛び込みますが、ゴールならず。
後半ATには後方からのロングボールのこぼれ球を、ラリベイが受けてロングシュートを狙いますが、これも決まらず。
逆にセットプレーでGK優也が攻撃参加し、その裏を突かれかけますが、讃岐も決めきれず。
そのまま1-2で終了となってしまいました。
■守備だけでなく攻撃面でも課題が
まずはあれだけ簡単に失点したことが、一番の敗因ではあるのでしょう。
1失点目も左サイドの奥でボールを奪われて、中盤中央へパスを繋がれていくと、簡単にフリーな選手を作られてしまいます。
結局、ハーフウェーラインからはノープレーシャーで、クロスを上げられシュートまで持ち込まれています。
2失点目も佐々木匠が乾をかわして原へ繋いだところからですが、クロスを上げた原とゴールを決めた重松はフリーな状況。
乾がかわされたことによって、増嶋が前に出たこともあって、ゴール前は鳥海と近藤の2人だけになっていました。
鳥海が中央にいた木島を見てしまったことで、ファーの重松がポッカリと空いてしまい、あっさりとやられています。
讃岐のカウンターが鋭かったとはいえ、あれだけフリーな状態を作られてしまえば、失点が重なるのもやむなしと見るべきでしょう。
一方で相手にリードされたことによって攻める時間が増えて、攻撃面でも課題が感じた試合でした。
特に後半は得点シーン以外で、チャンスらしいチャンスを作れた展開はほぼなかったように思います。
讃岐はジェフの右サイドを、しっかりと封じてきました。
ジェフは本来CBの鳥海が右SBに入ったということで、讃岐は鳥海にはボールを持たれても良いような守り方をしてきた印象です。
その分、前方の茶島あるいは船山には、しっかりとアレックスがつく。
元ジェフのアレックスは昔から粘り強いマークが得意で、茶島や船山といったジェフのチャンスメーカーを潰してきました。
これによって、ジェフの右サイドはほとんど機能しなかったように思います。
さらにもともとジェフは中央からの攻撃も作れていないので、残すは左サイドからの攻撃とセットプレーのみ。
ジェフの左サイドに関しては、あえて攻撃的な佐々木渉を右SBでスタメンで起用してきました。
守備面で苦労するのは想定内で、その分攻撃面でチャンスを作り出そうとしたのではないでしょうか。
佐々木渉は前回ジェフと対戦し1-6で敗れた試合が初の右SB起用だったはずなので、リベンジさせてあげたということなのかもしれません。
しかし、やはり守備面では後手に回ることが多く、特に前半は裏を取られることが多かった印象です。
ただ、基本的に為田は縦への突破からのクロスが非常に多く、それ以外の選択肢が少ない。
そのため為田にはある程度クロスを上げさせて、中央で跳ね返すという判断だったのかなとも思います。
中央で跳ね返すため、CBには187cmの麻田を5月末以来のスタメン起用。
190cmの中島と組ませて、クロス対応と高さ対策をしたのではないかと思います。
この辺りは限られた戦力で工夫を凝らす中で、取捨選択をしているところもあるのではないでしょうか。
一方のジェフからすれば、為田のクロスとセットプレーからしかチャンスが見いだせなかった。
その為田のクロスとセットプレーも、空中戦への対策もあって苦戦していた印象です。
ジェフの荒い守備が目立った試合ではありますが、攻撃面においても工夫のなさが際立った試合だったのではないでしょうか。
唯一の収穫は工藤のコンディションが非常に良さそうで、工藤のところでうまくボールを回せていたことでしょうか。
ただ、「工藤のコンディションが良く見えた」ということは、ジェフの他選手がコンディショニングに苦労しているということにもなります。
また、工藤は同じカテゴリーの松本で試合に出れなかったらこそ移籍となったはずで、その工藤がいきなり入ってきて目立つようでは、チームとして問題があるように思わなくもありません。
工藤があのパフォーマンスを維持できるのであれば、次はスタメンで起用することになるのではないかと思います。
しかし、工藤も飛び抜けた選手ではないことはわかっているだけに、工藤に期待し過ぎるのは良くないでしょう。
チームとして少しずつでも課題を修正していきたいところ…と言いたいところではありますが、現実を見るとチームが崩壊しないようにどこまで粘れるのかといった状況になりつつあるのかもしれません。