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オシム監督の言葉から考える日本らしいサッカー

 だいぶ遅くなりましたが、ロシアW杯はフランスの優勝で幕を閉じました。
 今大会は面白い試合が多かったますし、何より日本代表が活躍できたことが良かったですね。
 個人的には大会中に、オシム監督のインタビュー記事がたくさん聞けたことも嬉しかったです。


 ということで、このエントリーではオシム監督の記事のまとめながら、主に日本サッカーの方向性に関して取り上げていきたいと思います。
 なお、多くの記事が出ていますが、インタビュー元は同じで編集や構成によって別の記事になっている物もあるように感じます。
 そのため重複する部分も出ていますが、深くは気にせず取り上げていきたいと思います。



 まずは大会前の記事。
オシムが語るハリル解任「腐ったリンゴの排除か、監督交代しかない」スポルティーバ

ヴァヒドはとても頑固な人間だ。彼は誰かに相談をしたり、助言を求めたりはしない。そのツケを彼はこれまで何度も払わされてきた。ただ……私もまた、彼同様に頑固な人間だ。そして監督たる者、そうでなければならないと思う。
しかしその場合、自分の信念を、自分のあり方を、きちんと説明することを怠ってはいけない。監督は自分の考えを明確に持ち、それをサッカー協会の人間にはっきりと伝えなければならない。

 これに関しては以前も取り上げましたが、日本では監督解任で陰謀論が数多く出る中、オシム監督はハリルホジッチ監督に問題があったのではないかと話しています。
 これまでにもハリルホジッチ監督が何度も問題を起こしてきたことを知っているからこそ、そういった指摘が出来たのではないでしょうか。
 また「腐ったリンゴ」とセンセーショナルなタイトルがついていますが、よく読んでみると機能しない選手を排除するか、それがうまくいかなければ監督を代えるのかという話をしています。
 ネルシーニョ監督が日本サッカー協会を批判する際に「腐ったミカン」といったことが有名なのでついその時を思い出してしまいますが、今回の対象は違うようです。
 

オシム氏、W杯を語る(上)〜日本はアジアの手本に(読売)

欧州や南米では日常生活にサッカーが根づいていて、月曜日は職場や学校でも市場でも、土日の試合結果が話題になる。日本はまだそこまでいっていないし、サッカーの社会的地位は高いとは言えない。W杯の時だけ「勝て勝て」というのでは勝てないのだ。

オシムからのW杯直前メッセージ。「君たちはサッカーに何を求めるのか?」(Number)

「忘れてならないのは、問題を問われているのはその国のサッカー文化であるということだ。どこに原点があって、どこへ行こうとしているのか――そして誰のためにどんなプレーするのか。」

 こちらは西野監督の初陣となったガーナ戦後、スイス戦の前にインタビューされたもののようです。
 この引用部からしても、オシム監督が独自の方向性を持つことが重要であると考えているかがわかると思います。


 またハリルホジッチ監督解任の流れで、「受け入れて解決策を見いだすしかない」と話しています。
 それに続く話で「素晴らしいリーグを作りあげた。その道のりを今も歩んでいる」とも語っていますが、以前からオシム監督は日本のサッカー界は世界でもしっかり評価されているのだから自信を持つべきであるという話をしています。
 一方で「君たちはサッカーに何を求めるのか?その点で日本は何かに取り憑かれているように見える」ともコメントしており、結果ばかりに注目し過ぎではないかとも指摘しています。


 また、サッカーのトレンドに関してはこのような話も。

一世を風靡した「ティキタカ(バルセロナ流のパスサッカー)」も、早晩過去のものとなっていくだろう。ティキタカをよく実践したチームのほとんどは……。それよりもピンポンのようにボールが激しく行きかうゲームの方を、人びとは好むからだ。息をつく間もなくボールが動き続けるゲーム。強靭なフィジカルとともに、よりアグレッシブで、攻撃的なゲームを

 このコメントを取って、一部ではティキタカはもう古いから西野監督のやり方ではダメだという取り上げられ方をされていました。
 しかし、W杯直前の試合となったパラグアイ戦後、オシム監督はこのように話しています。
【オシムの教え】日本は危険でアグレッシブであることを知らしめた…パラグアイ戦分析

日本が実践するチキタカ(バルセロナ流のショートパススタイル)は、実は私はもう時代遅れだと思っていた。バヒド(ハリルホジッチ前監督)の実践する縦に速いスタイルが、今は世界の主流であるからだ。だが、ワールドカップでは、それが本当に過去のものかどうかが分かる。そして日本に関しては、とても合ったスタイルであるといえる。相手も守りにくく、このやり方で日本は機動性に富んだアグレッシブなプレーができる。

 ティキタカは時代遅れだけれど、日本にあったスタイルで、「機動性に富んだアグレッシブなプレーができる」とも話しています。
 さらにそれに関連する話で。
オシムがコロンビア戦に見る希望。「岡崎と乾、香川。そこに本田も」(Number)

後方に退いて抜け目なく相手の出方をうかがいながら、機を見てカウンターを仕掛けるようなやり方は、私はどうかと思う。日本には大きな選手がいない。体格の面で劣るから、自陣ゴール前の攻防で負けてしまう。CKやFKなどのセットプレーも極めて危険となる。だから前に出て勝負し、なるべくスピーディに攻撃を仕掛ける。

 いわゆる引いて守ってカウンターでは、体格で劣る日本では苦戦するだろうとのことです。
 確かに今大会での日本は粘り強い守備で成功した印象があり、特に前への守備が機能していたように思います。



 そして、2-1で勝利したコロンビア戦。
【オシムの教え】日本はさらに多くが可能だ これからは相手が日本に敬意を払うからだ (報知)

ボールをキープして相手よりも走り、ボールのないところでもしっかりとプレーしていた。両サイドの攻守も完璧で、ボールに常に圧力をかけていた。DFラインも高い集中力を保ちながら、コロンビアのカウンター攻撃に冷静に対処した。ある瞬間から彼らはこのようなプレーをするようになった。それは日本が長年やり続けてきたプレーだった。

 ボールをキープして相手より走り、ボールないところでもしっかりとプレーする。
 それが日本のやり続けてきたサッカーであると評価しています。
オシムが喜んだのは勝利だけでない。「香川は円熟の境地。酒井は力強い」(Number)

何度でも言うが、私に驚きはない。私は随分前からこういうスタイルだった日本代表チームを知っているし、彼らがピッチの上でどうするかも良くわかっていたから。

 日本のスタイルで戦っていることを称賛しているように思います。
 また、経験豊富な選手たちを評価していますね。
 特にスピードや高さもあって攻守に戦える酒井宏樹のようなSBは、オシム監督の好みなのではないでしょうか。
オシムが語るコロンビア戦。「日本は相手の退場で勝ったのではない」スポルティーバ

日本代表は、黙々と自分たちのすべき仕事をし、最後の最後まであきらめず戦い続けるチームだ。どんなに不利な状況になっても、タイムアップの笛が鳴るまで、まるで決勝を戦うようなスピリットで戦い続けることができる。そんなチームは世界を探しても日本と、あとアイスランドくらいだろう。

 日本人にとっては気づきにくいことかもしれませんが、黙々と諦めずに最後まで戦うメンタリティは、日本の強みの1つなのかもしれません。


 続いて2-2で引き分けたセネガル戦に関して、「内容的には勝利に値するものだった」と評価しています。
【オシムの教え】貫け!世界を驚かせた日本のパスサッカー(報知)

何よりも良かったのは、セネガル相手にも日本が自分たちのスタイルを貫き通したことだった。(中略)日本がパスをつなぐスタイルであることは、世界でもある程度は知られている。選手がテクニカルであることも同様だ。(中略)
こうした試合が日本に与える影響は計り知れない。日本中が注目する中、日本代表は魅力にあふれるサッカーを存分に披露した。刺激を受けた子供たちは、競ってボールを蹴るようになるだろう。

 こうやってピッチ上だけでなく、社会的な影響なども含めて考えるのがオシム監督らしさですね。
オシムがセネガル戦を絶賛。「日本の強さはポーランドより上」スポルティーバ

プロシネツキは日本のプレー、精神力、その統率の取れた動きに驚嘆し、絶賛していた。私はなにか、自分の息子が褒められたかのようにうれしかった。


 続いて0-1で敗れたポーランド戦。
【オシムの教え】西野監督の判断を支持「間違いではない」…先発6人変更には疑問(報知)

日本が負けるような試合ではなかったが、サッカーは常に相手のことも考慮すべきだし、相手の側から考える必要もある。

 オシム監督はメンバーを固定化することで、選手の連携を深めていくタイプなので、大幅なメンバー変更に関しては疑問を投げかけています。
 一方で最後のパス回しなどに関しては、あまり多くを語らず。
オシムはベルギー戦をどう見るか。「可能性は日本の方が少し高い」

そこは騒ぎ立てるべきではないし、あまり多くを望むべきでもない。望み過ぎてすべてを失い、後に失望することがないように。それでは駄目だ。

 すべてが上手くいくと期待しすぎては良くない。
 それによって、今までの成功も無に帰すべきではないという話だと思います。
オシム氏、W杯を語る(中)〜策足りぬ強豪国(読売)

日本人選手の良い部分を生かすスタイルを目指す方向性は、間違っていない。俊敏性、走力、粘り強さ、戦闘性を生かし、組織的で規律ある試合をすれば、強豪ともかなり互角にやれることが証明された。


 そして、2-3で敗れベスト16での敗退が決まったベルギー戦後。
ベルギー戦後にオシムが喝破した、日本代表のさらなる伸びしろ。(Number)

素晴らしいプレー、見るに値する試合、だった。最後には喜びが残る。これだけの素晴らしい内容の試合が見られたという。(中略)あなた方はここまでやってきたことに間違いはなかったと確信を持っていい。他の国のことばかりを考えるべきではない。(中略)他人の模倣ばかりを考えるべきではない。他人にばかり気を取られるべきでもない。

イビチャ・オシム氏「素晴らしい試合だった、日本はもっとできる」世代交代の必要性も(報知)

これからの他の国のことばかりを考えるべきではない。自分たちのことをもっと考えて、正しいと思える道を歩んでほしい。

 日本の今までやってきたサッカーは間違いなかったと。
 そして、周りを模倣するのではなく、自分たちのことを考えて歩んでほしいとのことです。


 少し話はそれますが、Numberのこの部分も興味深い話です。

ひとつひとつの動きや素早いスプリント、それもひとりではなく3〜4人が素早くなめらかに連動したプレーが続いた結果こそが、素晴らしい試合ということだ。それは“チームの中により小さないくつかのチームが生まれたとき”に勝利が得られる、という意味でもある。現代のサッカーでは、チームの中にいくつもの小さなチームがある、と言える。そして、同じチームでずっとプレーすることによって生まれるコンビネーションや相互理解こそが、日本代表の強さでもある。特に守備はそうあるべきだ。守備は数年一緒にプレーすることで生まれてくる強さがある


 続いて日本代表の敗退後。
オシム「サッカーの未来が分かる試合」クロアチアvs.イングランドの重要性。(Number)

日本はもう1試合やるべきだった。他がどんなやり方をするかを観察して、必要なだけ相手に喰らいつく。そうなって欲しいと私は願う。君らを心から祝福する。日本に幸運が訪れんことを

名将オシム、スペインの代名詞“ティキ・タカ”に嫌悪感 「忘れ去られることを望む」(Football ZONE WEB)

以前のような形でスターは出てこないだろう。今大会でもそうだ。フランスの(キリアン・)ムバッペは、孤独にプレーすることはできない。それは(リオネル・)メッシにも、(クリスティアーノ・)ロナウドにもできない。多くの人々は、一人でチームの先頭に立って引っ張るような選手を望むのだろうが、彼らにすらそれはできない」

 今後のサッカー界では、スターは出てこないかもしれない。
 これは個人での打開力のある選手であっても、周りにサポートされて初めて成立する流れになるということなのでしょうか。
 あるいは今大会でもあったように、スター選手も研究されて対策を取られれば、相手に消されてしまうという意味のなのかもしれません。
ティキタカの終焉とサッカーの進化。オシムが語る、決勝前に考えるべきこと。

これからちょっとテレビを見たい。というのも(息子の)アマルがボスニアのテレビで解説をするからだ。ワールドカップの期間中、彼はずっとテレビでコメントを続け、そこで自身のサッカー哲学なども語っている。彼の現在の姿が日本に伝えられていないのが残念だ。日本でもナビスコ杯に優勝はしたが、その後の彼はヨーロッパで大きく成長した

 ちなみにアマル監督は大会前のボスニアメディアでもインタビューに答えていて大会の展望を語っているのですが、日本のことを高く評価してくれていて、グループHもどこが突破するかわからないと語っています。


 そして、決勝後。
オシム氏、決勝戦は「どちらもスタイル貫き通した予想外の名勝負」特別評論(報知)

今日(こんにち)のサッカーでは1対1の戦いが基本であり、どれだけ厳格にマークできるかで試合が決まる。そんな中でディシプリン(規律)にあふれた選手がチームにいてコレクティブにプレーができれば、勝利を得られる確率は高い。

オシム氏、W杯を語る(下)〜美のために死を選ぶ時代は去った【完全版】(読売)

目立ったのは組織的守備だ。メッシ(アルゼンチン)やロナルド(ポルトガル)も、守備網におさえられた。「ティキ・タカ」(スペイン独特のパス回し)も、開催国ロシアの超守備的戦術を破れなかった。(中略)4年後にはもっとスペクタクルな試合をたくさん見たいものだ。そうした意味でも、日本にはもっとW杯の旅を続けてもらいたかった。強い相手にひるまない勇敢なプレーを続けて、「これが本来のサッカーの魅力だ」という試合を、世界に日本が見せてほしかった。

オシム氏、世界のサッカーのスピードはさらに進化していく(報知)

プレーに関して言えば、総じて適切な方向へと進んでいるように見える。チキ・タカ(バルセロナ流のショートパスをつなぐスタイル)は終わりを告げ、スピーディーで動きにあふれたスタイルが主流となった。これからのサッカーはさらにスピードアップしていく。選手自体のスピードも、プレーのスピードもだ。

 W杯終盤のオシム監督はティキタカは今大会で終わったこと、そしてそれを望むことを多くの場面で述べています。
 オシム監督は日本代表時代にパスサッカーを目指していた印象があるだけに意外でもあったのですが、Numberの紙面に記載してあった短いインタビュー記事などを読むと、ゆっくりとパスを回すサッカーの時代は終わったという意味なのかなと思います。
 今大会での日本代表に関しては好評価なことなどを考えても、パスサッカーがどうのというよりは、よりスピーディなサッカーになっていくべきだということなのかもしれません。


 最後に。
オシムが予見、W杯後の日本と世界。「あなた方には大きな可能性が」(Number)

あなた方は能力に恵まれている。進歩のためにあなた方よりも優れているものを参考にしながら、ちょっと想像力を働かせてこれからどうなっていくかを予測する。模倣ばかりしていては駄目で、模倣は模倣に過ぎない。自分の目でしっかりと見て判断する。どの道が未来へと続いているのか。正しい道を歩むためにはどの方向を向けばいいのか。どんなやり方で歩みを進めるのか。その際に何を優先したらいいのか。

 日本代表に関しては、一貫して模範ばかりしては駄目で自分たちで考えて、自分たちの道を切り開きなさいという主旨の話をしています。
 もちろん世界のサッカーやトレンドはしっかりと見ていくべきだとオシム監督も良く話しており、あくまでもサッカーの軸をどこに置くのかという話だと思います。



 そもそも西野監督が就任会見で「日本らしいサッカーをしたい」という話をして一部では批判的に取り上げられたそうですが、これは本来オシム監督が日本代表監督就任時に言った言葉で、その考えが今でも協会内に残っていたのではないでしょうか。
 当時を振り返ると、オシム監督就任前にはジーコ監督が日本代表を率いていましたが、ドイツW杯では惨敗。
 この時にブラジルのサッカーを真似たようなスタイルで戦っていたことに対して、オシム監督は日本人の良さを出せる「日本らしいサッカー」の方が良い方向に進むはずだと主張したのではないかと思います。


 オシム監督も厳しい指導が有名でしたが、一方で日本の良さをしっかりと認めて、それを打ち出せるサッカーを目指していたのではないかと思います。
 オシム監督のジェフでのサッカーは日本人の持ち味を生かせるような運動量豊富なサッカーだった上に、外国人監督であるオシム監督が「日本人らしいサッカーをしよう」と話したことに関しては意外な印象も受けました。
 ただ、今回の話を聴いているとそれらは偶然ではなく、そこにいる選手の良さを引き出すサッカーを目指し、それを実現できる監督だったからこそ、そういった話になったのでしょう。
 そして、それこそがオシム監督がどのチームでも成功してきた、名監督である理由の1つなのかもしれません。



 一方でハリルホジッチ監督は同じボスニア出身で厳しい監督ではありましたが、話を聞く限りだと「世界から見て何が足りないのか」に主眼を置く指導だったように思います。
 それ故に一部の戦術マニアや欧州サッカーファンのネット論者には、随分と高く評価されていた印象があります。
 そして、そういった方たちはハリルホジッチ監督で失敗したとしても「選手が世界に追い付いていないからだ」という理由を準備して、自分たちは立場は守られるという二重構造になっていたのではないでしょうか。


 しかし、オシム監督も「模範は模範に過ぎない」と話しているように、世界最先端のサッカーを真似したところで、同じ選手はいないわけですから、完全なコピーにはなり得ません。
 そして、模範することで例えその差が縮まったとしても、相手を追い抜くことは出来ないでしょう。
 だからこそ、日本人選手の良さも引き出せる「日本人らしいサッカー」を打ち出していかなければいけないというのが、オシム監督の考えだと思いますし、これはサッカーに限らずどんな業界でも言える話だと思います。



 強引に現在のジェフの話に移し替えるとすれば、近年は五輪監督やスペインサッカーなど、ネームバリューに憧れ過ぎている印象も受けます。
 しかし、オシム監督も「海外に憧れすぎるな」と話しているように、地に足を付けて自分たちのスタイルを作っていかなければいけないように思います。
 代表のようにアイデンティティを築きあげるのは大変かもしれませんが、だからこそより確固たるクラブの信念が求められているのではないでしょうか。


 代表の今後を考えると「日本人らしいサッカー」を目指すためには日本の良さを知っている監督の方が良いのではないかと思いますし、日本人、外国人に限らずJリーグを率いた監督が代表監督を指揮するというのも1つの策だと思います。
 ただ、日本人監督は良くも悪くも平均的な指導者が多い印象で、特出した監督が少ないように思います。
 本当に優秀で意欲のある日本人監督はJクラブを指揮しているでしょうし、悩ましい状況ではないかと思っていました。



 結局、これを書き上げる前に、森保監督が五輪監督と兼任で日本代表監督に就任することになりました。
 確かに森保監督は広島で素晴らしい結果を残していますが、1つのクラブでしか監督経験がない状況。
 さらに五輪も兼任となると、負担が多いのではとも思ってしまいます。


 世代交代を目指すためあえて五輪兼任にしたということかもしれませんが、トルシエ監督の時は日韓W杯の予選もなくシドニー五輪の黄金世代が存在したため、五輪代表をそのままフル代表に昇格することが出来ました。
 結果的に1チームを集中して見れば良い状況だったと思いますが、今回は1人で五輪とフル代表の2つを見なければいけない状況になると思います。
 オシム監督も五輪兼任監督を断り、五輪を反町監督が引き受けるなら…と承諾した経緯があったはずです。



 今後の方向性から考えると日本人監督でも悪くはないとは思うのですが、最終的に良いチームを作れるかどうかはやはり監督の手腕が大きいと思います。
 そういった意味では不安もなくはないと思いますが、一方でフル代表に関してはある程度アジアでは優位に立てる状況だと思いますし、W杯予選もそこまで厳しいノルマではない。
 それを考えると、ひとまずは慌てず騒がず様子見でもいいのかもしれませんね。


 森保監督に関してはまず地元開催ということで、特別な大会になる東京五輪に向けて良いチームを作れるかが見どころではないでしょうか。
 特に五輪チームは選手の経験不足もあってか、毎回どこか不安定なチームになりがちですから、そこをしっかりと監督として締められるか。
 その上で、さらに2年後を考えるという形になるのかもしれません。



 最後は森保監督の話になってしまいましたが、ともかくロシアW杯が良い大会になって良かったです。
 西野監督に関しては短期間だったからうまくいったという部分もあったでしょうし、スタッフによる相手分析も大成功で、それをモノにできたのも日本人監督だったからでは?など、いろんな切り口の出来るチームになったのではないでしょうか。
 そうやってポジティブに語れるのも、日本代表が活躍を遂げたからこそだと思います。


 オシム監督の前向きな話を聞けたのも、日本代表のおかげということになりますね。
 ここまでオシム監督の話をしっかりと聞ける機会をまた得られるとは思っていませんでしたし、オシム監督に限らず同じものを見て同じものを語れる・聞ける楽しみというものを改めて感じられた大会でもありました。
 オシムさんは体調が良くないという話もされていましたので、お体だけには十分気を付けてまた楽しい話を聞かせてほしいですね。