試合前にも話しましたが、やはり熊本はCBの質に苦労している印象です。
前節には京都に0-4で敗れていますが、今節も軽い守備から3失点を喫し1-3で敗戦。
集中力を欠いた連続失点もあり、降格する雰囲気のあるチームとなってしまっているように思います。
ジェフも3-1で勝利したとはいえ、相手のプレスに苦しみビルドアップが作れない課題は今節も変わらず。
守備でも簡単にサイド裏を取られる場面が目立ち、内容としては何かが改善したわけではないと思います。
試合終盤の守備こそ粘り強く戦えていたものの、基本的には熊本が勝手に崩れた試合だったのではないでしょうか。
■先行を許すも船山が同点ゴール
ジェフはゲリアが怪我からスタメン復帰。
指宿、エベルトもスタメンに戻って、茶島、鳥海、ラリベイがベンチにまわりました。
前節愛媛戦で控えだった為田、溝渕はメンバー外に。
熊本は怪我明けの米原が約2ヶ月ぶりの復帰を果たし、上村とのダブルボランチになり中山が右シャドーに。
青木剛と黒木が不在で、植田と片山がスタメンに入りました。
ベンチには巻や水野が入っています。
開始早々、熊本の攻撃。
熊本のCKからこぼれ球を田中が拾うと、左サイドでスルーパスを受けた中山がセンタリング。
植田が頭で合わせますが、枠を捉えきれず。
熊本が攻め込む展開が続き、7分に先制。
左サイドからのCKを中山が蹴ると、ニアで植田がエベルトの前を取り、ファーでゲリアを振り切った鈴木が合わせてゴール。
ジェフとしてはエベルト、ゲリアと、久々に投入した2人のところでやられてしまいました。
その後は、ジェフがボールを持つ時間帯も増えていきます。
しかし、熊本は1トップの皆川を中心に、中盤も含めて積極的にプレスをかけていきます。
ジェフはそのプレスに苦しみ、シュートまで持ち込めない展開に。
22分にはジェフの攻撃。
左サイドからのCKを船山が短く繋いで、矢田が中央へ供給。
エベルトが頭で合わせますが、大きく枠を逸れます。
24分にもジェフの攻撃。
GK大野からのロングキックに対して鈴木が処理をミスし、指宿が拾って中央の船山へ。
船山が思い切ってミドルシュートを放ちますが、バーの上を超えます。
26分、熊本のチャンス。
後方からのFKをアンが頭で落として、皆川が拾い、片山が左サイドを抜け出して鋭いセンタリング。
GK大野が触り弾きますが、中央にはあわず。
37分にも熊本の攻撃。
GK大野から左サイドのパスを中山と田中で囲って奪い、皆川へと繋ぎます。
そこからアンが受けてミドルシュートを放ちますが、GK大野の正面。
攻撃を作れないジェフは40分頃に船山を左サイドにまわし、小島と矢田のインサイドにした4-1-4-1に変更。
そして、44分に中盤でパスを受けた船山が持ち上がってしかけると、フェイントに釣られた小谷を抜き去ります。
そのままゴールを決めて、1-1で折り返します。
■連続得点後は攻め込まれるも3-1で勝利
熊本は後半開始時から、積極的に点を取る姿勢を見せてきました。
しかし、30分頃から運動量が落ちていて、守備に回るとプレスに行けない状況に。
後半からは足が止まってファーストディフェンスに行けず、ズルズルと下がってしまいました。
54分にはジェフの攻撃。
ジェフが中盤でボールを奪ったところから、指宿が受けて船山が走り込み、ゴール前の下平へ繋ぎます。
しかし、GK畑が対応。
57分には熊本の攻撃。
後方で奪った熊本からか片山が前線にボールを供給すると、皆川が頭で繋ぎます。
アンが受けて裏を取りますが、ゲリアが戻って対応。
62分、ジェフが勝ち越し点。
右サイドからのCKを矢田が蹴ると、ファーでフリーになった近藤がヘディングシュート。
これは決まらなかったものの船山が繋いで、近藤が合わせて2-1に。
その直後にも追加点。
キックオフ直後のボールを小谷がパスミスしてジェフが拾い、熊谷が長いボールを前線に供給。
これは精度を欠きますが、小谷が再びクリアミスすると、ボールを拾った指宿が思い切って放ったミドルシュートを決めて3-1に。
2失点後、熊本はミスの続いた小谷を下げて、約1か月ぶりの出場となる水野を投入。
米原がDFラインに下がって、上村の1ボランチとなり、中山と水野のインサイドによる3-1-4-2になりました。
その後は熊本が攻め込んでいきます。
80分、ジェフは船山を下げて、工藤を投入。
そのまま左SHの位置に入りました。
熊本も皆川と中山を下げて、巻と伊東を投入。
85分には熊本の攻撃。
カウンターからボールを受けた水野が中盤でポッカリと空くと、左サイド前方の田中に展開。
田中がフリーで駆け上がってクロスを上げますが、タイミングが遅く巻のシュートは枠の外。
88分、ジェフは町田に代えて茶島を投入。
その後も熊本が攻め込む時間が続きますが、パスミスも多く勢いの感じられない展開に。
ジェフはしっかりと守って、1-3で逃げ切りました。
■熊本らしい試合展開に
ここ最近の熊本らしい試合となった印象です。
立ち上がりは積極的にプレスをかけ、1トップを中心に追いまわしてく。
さらに中盤から1枚が前に出ていくことで、相手の行き場をなくしていく。
この時に中盤がじりじりと詰め寄って、囲っていくのが熊本の特徴だと思います。
皆川や中山など走れる選手がいる上に、サイズのある米原も復帰して、ある程度プレスは機能していた印象もありました。
実際、ジェフは熊本のプレスが機能していた時間帯は、シュートすら打てない展開となっていました。
しかし、中盤のプレスにDFラインがついてこないため、ポッカリとMFラインとDFラインの間が空きがちになる。
さらにDFラインとMFラインの距離感が開くことによって、DFラインが孤立した状態になる。
そこへ攻め込まれると脆い…というのが、ここ最近の熊本の試合だと思います。
さらにCBの質に問題があるため、個人での勝負になると弱さが出てしまう。
実際、この試合でもジェフの得点は、CBの個の部分に問題が生じてうまれたものばかりだったと思います。
そのため、アタッキングサードで孤立した守備陣へと仕掛けられれば、チャンスは生まれるはずでした。
ただし、ジェフの場合は、その前のプレスを掻い潜れない。
そのため、前半はほとんどチャンスが作れなかった。
前半終盤にこそ船山が中盤から持ち上がって、そのままCBに仕掛けてゴールを決めたものの、それ以外はいいところなしだったと思います。
ただ、後半に入ってからの熊本は足が止まって、前からのプレスに行けなくなってしまった。
すると、ズルズルと下がって、低い位置で2ラインが守るような状況になってしまった。
足が止まるとズルズルと下がって、相手に押し込まれてしまう傾向こそ、熊本の守備における2つ目の課題だと思います。
全体が下がってしまうことで、ジェフが高い位置まで攻め込む回数が増えて、セットプレーから失点。
熊本は前節京都戦でも、セットプレーで簡単に2点を奪われています。
さらに集中力を欠いてミスからボールを奪われて、ミドルシュートを決められ連続失点。
降格するチームらしい軽い守備が続いてしまった印象で、ジェフからすれば何か特別なことをしたわけではなかったと思います。
熊本としては0-4で負けた直後ということで、大事な試合だったのではないかと思うのですが、内容も含めてかなり厳しい試合でした。
このままずるずると、いってしまう可能性もあるのかもしれませんね。
ジェフとしては勝点3を得れたとはいえ、内容は何も変わっていないと思います。
もちろん後半から相手の足が止まったということで、結果的にはそこまで粘ったことが大きかったのかもしれません。
さらに試合終盤はしっかりとクローズしたとも言えますが、相手の状態も考慮しなければいけないと思います。
特に相手のプレスが来ると、攻撃面で何もできなくなってしまうこと。
さらに守備ではサイドの裏を取られてしまう場面が、目立った試合だと思います。
相手のクロスの質やタイミングに助けられましたが、左右のサイドから簡単にクロスを上げられすぎていた試合だったと思います。
最終的にジェフは個人判断なのか町田が開いて、右SBの外を見るような形で対応していた場面もありました。
さらに中盤も1ボランチというよりは、3ボランチのような形で守っていました。
それが悪いことだとは思いませんが、その分中盤がポッカリと空いてしまう問題が生じていましたし、依然としてプレスがハマらない時の守備に不安を感じました。
これでジェフは降格圏内との勝点差を広げたことにはなりますが、内容に関する収穫は多くなかったと思います。
熊本も京都と岐阜が敗れたたため、まだ可能性が残されているとはいえ、厳しい状況となっている印象です。
どちらのチームにとっても辛いシーズンとなっている印象ですが、残り試合で挽回できるのでしょうか。