山形が前節終了時点でPO圏内との勝点9差と後がない状況だったこともあって、非常に攻撃的なサッカーをしてきた印象でした。
しかし、殴り合いとなれば得意なジェフ。
山形が前に出てきてくれたこともあって、久々にノビノビと戦えていたように思います。
さらに気温も涼しかったこともあって、ジェフの選手たちがいつも以上に動けていましたね。
やはりジェフは涼しい気候の方が、戦いやすいサッカーになっているように思います。
この試合ではプレスにいけたこととセカンドボールを拾えたことによって、細かなビルドアップの必要性が薄い試合となったのではないでしょうか。
■ジェフが優位に進めて2点を先行
前節熊本に勝利したジェフは、スタメンを継続。
控えからは清武が外れて、為田が復帰しました。
山形は三鬼が怪我から復帰して右WBに入り、山田が左WBに回りました。
小林成豪がスタメン復帰して、アルヴァロ・ロドリゲスがベンチに。
純日本人スタメンに戻ったことになります。
ジェフは熊本戦の途中から実施した、4-1-4-1でスタート。
キックオフ直後には指宿からのパスを受けた船山が、思い切ってミドルシュート。
しかし、GK櫛引が弾き出します。
7分には山形の攻撃。
右サイドでパスを繋いで、三鬼が中央へ斜めのパス。
小林が1ボランチ脇の左で受けて、縦に抜けようとしますが、阪野が絡んでオフサイド。
11分、早くもジェフが先制。
左サイドからのCKを短く繋いで、矢田がクロス。
これを指宿がファーで折り返すと、中央でフリーになった町田が頭で合わせてゴール。
19分には山形の決定機。
ジェフが小島と矢田でプレスに行くも、相手のダブルボランチに交わされて縦パスを出されます。
阪野をエベルトと近藤で潰しに行きますが、ここも交わされ小林が完全に抜け出してシュート。
しかし、GK大野が何とか触って失点を逃れます。
前節町田戦では積極的に長いボールを蹴ってきた山形ですが、この日はショートパスを繋いできました。
パスを細かく繋いでジェフのプレスを食いつかせて、裏を取ろうという狙い。
ジェフの選手との入れ替わりで、1つ通ればビックチャンスという場面が目立つ序盤戦でした。
ジェフも両ウイングを張らせて、インサイドも高い位置でサイドをフォローする形を取って来ました。
サイドから積極的に前へと仕掛けていく形で攻め込んで行きます。
先に失点した山形が積極的に前に出てきたこともあって、裏の取り合いといった流れになっていました。
ただ、両チームとも縦パスの精度を欠いて、25分頃からはシュートシーンが少なくなっていきます。
それでも37分にはジェフのCKから中盤で拾って、指宿が右サイドで粘って中央へ。
こぼれ球を拾った矢田がミドルシュートを放ちますが、GK櫛引の正面。
その直後にも、セットプレーからジェフの攻撃。
左サイドからのCKを矢田が蹴ると、一度は跳ね返されますが、再び矢田が拾ってクロス。
しかし、船山のシュートはGK櫛引が正面でキャッチ。
ジェフは先制したこともあってか30分頃からダブルボランチにしたものの、ジェフペースで進み45分。
後方からのロングキックを右サイドで町田が2度拾ったところから、小島とパスを繋ぎます。
一度前に出た小島がうまく下がってバイタルエリアで受けると、縦に供給したボールが相手選手にも当たってゴール。
ゴール前に飛び出した矢田が、ボールに絡んでオフサイドだったのではないかと、山形陣営が抗議をしますが判定は覆らず。
そのまま2-0でジェフが折り返します。
■1点を失うもジェフが2-1で逃げ切り
劣勢の山形は、後半開始と同時に松本を下げて汰木を投入。
山田がCBに回って、汰木が左WBに入りました。
後半から山形は積極的に前からプレスをかけ、汰木を使ってワイドから仕掛けてきました。
47分、ジェフの攻撃。
PA直前で得たFKを船山が直接狙います。
しかし、コースが甘く、GK櫛引が弾き出します。
49分、山形の決定機。
左サイドで小林と汰木が繋いで、斜めの楔のパス。
これを阪野がヒールで落として、南がシュートを放ちますがポスト直撃。
54分、山形が1点を返します。
山形が前からプレスをかけ、GK大野にクリアを蹴らせたところから山形が拾い、中盤からのパスを受けた三鬼が縦へ。
安西が裏を取ったところでGK大野が倒してPKを与え、阪野がこれを決めます。
61分には、ジェフの決定機。
右サイドの町田から、熊谷が中央でボールを受けて左サイド前方にスルーパス。
これを船山が受けて右に流し込もうとしますが、ポストの外。
64分には山形の決定機。
右サイドで山形がボールを奪ったところから、逆サイドに展開すると汰木が中へと持ち込んでいきます。
そのまま仕掛けてこぼれたところをフリーになった小林がシュートしますが、ジェフのDFに当たってゴールならず。
66分、ジェフは小島が負傷交代し工藤を投入。
4-1-2-3に戻しました。
67分、山形は阪野を下げて中山を投入。
72分にはジェフのチャンス。
左サイドからのCKをショートコーナで繋いで、矢田が中央へ供給。
ファーで近藤が競り勝ちますが、ポストの上を叩きます。
76分、山形は三鬼を下げてアルヴァロ・ロドリゲスを投入し、小林が右WBに入りました。
81分にはジェフが右サイドからのCKを拾って繋ぎ、熊谷が中央へパス。
これをエベルトが受けてシュートを放ちますが、GK櫛引が対応。
84分、ジェフは町田を下げて茶島を投入。
88分、山形のチャンス。
安西のCKをファーで栗山が合わせますが、ポストの右を逸れます。
89分、ジェフは船山を下げて増嶋を投入し、3バックで守備固め。
最後は時間も使って、2-1で逃げ切りました。
■7月25日以来のホームでの勝利
山形はかなりアグレッシブなサッカーをしてきた印象でした。
前節町田では積極的に裏を狙うロングボールを使ってきたので、同じようなサッカーをしてくるのかと思ったのですが、かなり細かく繋いできましたね。
低い位置でジェフの選手が密集している状況でも繋ごうとして、プレスに引っかかる場面も多かったと思います。
やはり本来の木山監督は相手を研究した守備的なサッカーの方が得意な印象で、この試合では無理をしていたようにも感じました。
それだけジェフ戦は勝ちたかった試合だったのかもしれません。
上位の町田には引き分けでもOKだったのかもしれませんが、ここで落とすと後がないと見たのでしょうか。
ただ、攻撃的過ぎてリスクも多い試合内容だったのではないでしょうか。
また、立ち上がりはジェフの4-1-4-1に戸惑ったのか、守備が中途半端だった印象もありました。
シャドーが前に出ていくのか引いて守るのかはっきりせず、結果的にジェフがサイドで優勢に立てたところがあったように思います。
後半初めには1トップ2シャドーでプレスをかけてジェフを押し込んでいましたし、前半からあの形で戦ってきた方が山形らしく、ジェフとしては嫌だったのではないでしょうか。
さらに山形は攻撃的に出たこともあってか、試合を通じてスライドが遅れがちでボランチの脇が空きがちだったように思います。
これはジェフがウイングとインサイドなどで、積極的にサイドに人数をかけて攻めていったこともあったのでしょう。
ジェフはここをうまくボランチなどがとって、攻撃を作っていった印象でした。
サイドを広く使って相手を押し下げ、中央を空けさせてそこへも侵入する。
ジェフがやりたい攻撃だったのではないかと思いますし、久々に良い攻撃が出来た試合だったのではないかと思います。
プレスからのボール奪取と、セカンドボールへの反応でも優位に立てたことも大きかったのではないでしょうか。
ただ、冒頭でもいったように、これは山形が前に出てきてくれたからこそだと思います。
昨年夏頃からジェフは研究されてしまい、ボールを持たせて後方に穴を作らなければ怖くないし、プレスも回避して長いボールを蹴ればいいという対策が出来てしまった。
その対策を打開する術が出来ずに、ここまで苦戦してしまったという印象です。
それだけに相手が対策を講じず、前に出てくればノビノビと自分たちのサッカーが出来る…ということを、結果的に証明した試合でもあったのかなといった印象を受けます。
さらにプレスやハイラインなど運動量を求められるサッカーなので、涼しい時の方が良いサッカーが出来るということも言えるのでしょう。
しかし、問題はそういった環境に当てはまらない時に、どういった試合をするのかといったところで、ここまで苦戦してきたのだと思います。
実際、ジェフのホームでの勝利は、7月25日の甲府戦以来だったそうです。
アウェイでいくつか勝てているとはいえ、あまりにも遅すぎる快勝だったかなといった印象です。
それでも今だけは、この勝利を喜びたいところですね。