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為田「チームの結果=自分の結果と考えています」

 栃木戦後、為田は「この1年は「チームの結果=自分の結果」と考えています」と話していたようです。
 単純に個人ではなくチームのことを第一に考えていたという意味で、このようなコメントをしたのかもしれません。
 しかし、試合によっては"戦術為田"のような展開になることも多かっただけに、違う意味にも聞こえてしまいますね。


 とはいえ、今季の為田はスタメンで90分間プレーした試合は少なかったですし、"為田のチーム"といった印象でもなかったと思います。
 あくまでも取り外し可能な武器といった印象で、チームの主軸ではなかったのかなと。
 そういった意味では本人も話している通り、「力が足りなかった」部分もあったのかもしれません。



 ただ、今週話したU字に持ち込むビルドアップにせよ、引いてカウンターを狙う攻撃にせよ、最終的にはサイドに持ち込んで個人で仕掛ける展開に行きつくことが多かったことには変わりないと思います。
 そこで為田や船山、あるいは町田などが縦に仕掛けるという展開が、メインの攻撃パターンだったと言えるでしょう。
 そのため、純粋なサイドアタッカーである為田が、攻撃面で目立つサッカーになっていたようにも思います。


 しかし、チームとして問題なのは、そのサイドアタッカーばかりに攻撃を頼る傾向が強かったことではないでしょうか。
 サイドアタッカーを配置して縦に仕掛けさせるチームは珍しくないとは思いますが、ジェフの場合はその他の攻撃のパターンが非常に少ない。
 そのためサイドアタックを警戒されると、とたんに攻撃が手詰まりになってしまうところがあるように思います。



 さらに個人技に頼る傾向が強いチームは、その選手が調子を落とすとチーム全体としても苦戦してしまう傾向にある。
 実際、栃木戦での為田は相手に警戒されたことで苦労したところも大きかったとは思いますが、為田自身のプレーももう1つでクロスの精度などが悪かったように思います。
 シーズン終盤ということで疲れもあったのか精彩を欠いていた印象を受け、ここ最近出場機会が少なくなっていたのもそのためでしょうか。


 為田は「やっぱりセットプレーの質をもっともっと上げること」とも話しています。
 しかし、先日もお話したばかりですが、Football LABによると今季のジェフはPK、直接FK、セットプレーの合計がJ2最多となっています。
 もちろんセットプレーからの得点率などはまた別の問題になってくるのでしょうが、それでも十分に稼いでいると言えるのではないでしょうか。



 それよりも問題なのは流れからの攻撃で、特に遅攻からの攻撃が作れないため、安定して戦えなかったのではないかと思います。
 例えば栃木などは大黒に当てて他の選手が受けたり、ボランチからのパスにシャドーが飛び出したりと、攻撃のバリエーションも豊富で連動した動きが出来ていたように思います。
 それに比べるとジェフは強引な攻撃が多いため、個人のところで勝てれば大量得点も狙えるけれど、そうでないと一気に攻撃の手立てがなくなるため、チームとして不安定なところがあったのではないでしょうか。


 また、矢田は「引いた相手を崩すのは難しい」と話しており、他の選手も同様に栃木が引いたサッカーをしてきたことで苦戦したと考えているようです。
 ただ、栃木は状況によってはCBまでプレスに来ていましたし、極端に引いて守っていたわけでもないように思います。
 むしろ最終ラインも含めてコンパクトに守っていた印象で、ともかくスペースを消すというような戦い方とは違ったのではないでしょうか。



 そもそもここ数年のサッカーは、以前ほど極端に引いて守るチームが少なくなっているようにも思います。
 単純にパスの出所を抑えないとそこから攻撃を作られるため、引いて守るだけの守備では成立しないということなのかもしれません。
 また、栃木の戦い方が引いて守るサッカーなのであれば、現在のジェフも完全に引いて守るサッカーということになるでしょう。


 それでもジェフの戦い方が引いて守るサッカーにあまり感じないのは、組織的な守備が構築できておらず堅守とは言い切れない状況だからなのかもしれません。
 また、栃木はカウンターから素早い攻撃を作れていましたが、ジェフはそれが出来ていなかったので、結果的にポゼッション率が高まり、遅攻で苦戦するという展開になってしまったのではないかと思います。
 一貫して堅守速攻の方向性で戦ってきたチームと、そうではないチームの熟成の差が出てしまった試合だったとも言えるのではないでしょうか。



 最終的に今季のジェフの総得点は72で、大分の76に次いでJ2で2番目に多い結果となりました。
 そのため攻撃面では結果を残せたとも言えるでしょうが、総失点数も72で熊本に次いでJ2で2番目に多い数字となってしまいました。
 それだけ守備を顧みない捨て身の攻撃で、点が取れたとも言えるのではないかと思います。


 最終的には総合的に強いチームになっていくことが何よりも重要なわけですから、総得点が多かったとはいえそれだけで評価をすることは出来ないと思います。
 特にサッカーというスポーツは攻撃と守備とで表裏一体なところがあるわけですから、「得点は多いので後は失点を減らせばいい」というような足し算のような考えだけでは成立しないところがあると思います。
 守備の穴を埋めようとすればその分ゴール数が減る可能性も十分にあり得ることだと思いますし、あくまでも総合的な評価といったものが必要なのではないでしょうか。