2018シーズンを振り返る ゲリア編

 ゲリアは2018年3月2日に、メルボルン・ビクトリーからジェフに加入。
 今シーズン終了後、他の外国籍選手は早々に契約満了が発表されましたが、ゲリアだけは早い段階で契約更新のリリースが出ています
 オーストラリアメディアはゲリア獲得時に移籍金80万ドル(発表時のレートで約6600万円)が発生したと報じていましたし、来年以降の契約が残っていたのではないでしょうか。



 オーストラリア代表経験もあるSBということで期待する声も多かったですが、シーズン途中まではあまり試合に出場できませんでした。
 シーズン前半において唯一スタメンで出場できたのが、第9節町田戦と第10節福岡戦でこの2試合は右SBにゲリア、左SBにエベルトというパワフルな布陣でした。
 しかし、それ以外の試合ではスタメン出場の機会がなく、途中出場が数回程度といった状況でした。


 ゲリアがコンスタントに試合に出られるようになったのはシーズン終盤に入ってからで、第31節山口戦で第10節福岡戦以来となるスタメン出場を果たします。
 続いて第36節熊本戦でもスタメン出場のチャンスを得ると、そこから最終節の栃木戦までレギュラーの座を勝ち得ました。
 エベルトと共にシーズン終盤に入って戦力になった形ですが、トータルで計算すると出場14試合ということで、決して大活躍とはいかなかったと言えるでしょう。



 ゲリアはジェフでは数少ないアスリート体質の選手で、身体能力の高さを感じるタイプだと思います。
 バネがあってスピードもあり、第40節の徳島戦ではGK優也が飛び出して増嶋と交錯し、無人となったゴールをスピードでカバーする動きも見せました。
 また、183cmという身長ではありますが、跳躍力もあって空中戦でも強さを見せられるタイプだと思います。


 さらにキック力もあって、回数は少なかったものの、逆サイドや前線に長いボールをつける展開も見せていました。
 意外と視野も広い選手なのかなと思います。
 ただし、オーバーラップして質の高いクロスを上げるというシーンはあまり見られなかったですし、うまくキック力を活かし切れていなかった印象もあります。



 フィジカルも強く足元の技術もまずまず…ということもあってか、ゲリアが出場し始めてから右SBがハーフスペースでボールを受ける場面も目立っていったと思います。
 それまでのSBもハーフスペースを使う場面はありましたが、あそこまではっきりと狙っていたように見えたのは少なかったと思います。
 あそこまで明確にハーフスペースを狙いに行ったのは、2017年途中にキムが左SBでプレーしていた頃以来だったのではないでしょうか。 


 ゲリアもキムもフィジカルが強いので、ハーフスペースの狭いエリアでボールを受けても、相手に競り勝てるという判断だったのかもしれません。
 ただ、SBがハーフスペースを狙うことによってその裏を突かれるデメリットもあったと思いますし、うまくハーフスペースに入ったSBを使えた回数も少なかったと思います。
 SBがボランチの位置に入るいわゆる"偽SB"は中央に人数が増える分、守備対策も出来ると言われている印象ですが、SBで起用されたキムやゲリアはインサイドの位置まで上がっていくことが多いため、単純に後方の人数が足らなくなり守備に穴が出来がちだったように思います。



 また、ゲリアは細かなプレーは得意ではなく、周りとの連携プレーも苦手なタイプだと思います。
 ビルドアップにおいてもシンプルに近くの選手に繋げないため、ゲリアのところをプレスで狙われてボールをロストする試合もありました。
 細かなパスワークで攻め上がっていくという展開も、あまり得意ではなかったように思います。


 守備においても、周りと連動して守る形がうまく出来ていなかったと思います。
 身体能力の高さから個人でカバーする、相手を潰すという部分は期待できるものの、マークの受け渡しやポジショニングでスペースを潰す動きなどは苦手な印象でした。
 このあたりが、シーズン終盤まで試合に出場できなかった原因の1つではないでしょうか。



 今年のジェフはシーズン終盤に入って、DFラインの選手が相手に食いついて潰しに行く形に再チャレンジしていたように思います。
 2017年もシーズン途中まではDFが前に潰しに行くプレーが基本となっていましたが、それによってラインが凸凹になるため途中から諦めた印象がありました。
 DFが前に潰しに行けなくなったことによって、ジェフの中盤の選手は前へとハイプレスに行くだけでなく、後方へのプレスバックも求められて混乱していったところがあったと思います。


 結果的にDFが前にも行けず中盤のプレスバックも難しく、DFライン前の相手を捉えきれずに苦労していたところがあったと思いますが、2018年終盤には再びDFが前に潰しに行く方法を試したということではないでしょうか。
 そこに再チャレンジしようということになったのも、フィジカル能力の高いゲリアがSBに入ったことによって、DFラインに潰し役が増えたからという理由があったのかもしれません。
 ゲリアとエベルトが潰しに行って、増嶋などがカバーするという役回りだったように思います。



 ただ、実際にはゲリアやエベルトなどが前へ食いつき過ぎたり、相手を潰し切れずに中途半端になって、裏を取られる場面も目立っていたと思います。
 チームとしてDFが前に出た時に誰がカバーするのかといった問題をクリアできなかったことも大きかったですが、ゲリア自身の判断も中途半端だった印象でした。
 結局、チームとしてはDFライン前の相手をどう潰すのかに関しても、はっきりとした答えが得られないまま、シーズンを終了してしまったように思います。


 今年初めには元ジェフ米倉を獲得するという報道も一部で出ていましたが、確かに大枠で考えるとフィジカル系のSBということで近い部分もあるのかもしれません。
 ただ、米倉のジェフ最終年となった2013年はチームとしてうまく右SB前を開けてスプリントコースを作り、米倉の持ち味を活かすという形を作りあげていましたが、ゲリアに関してはそこまでの形を作れていないように思います。
 また、安定したプレーを身に付けるためには細かなパスワークやポジショニングなど、まだまだ習得しなければいけない技術がたくさんあるのではないでしょうか。



 はたしてエスナイデル監督は、ゲリアのスピードやパワーなど活かす形を作りつつ、基礎的な動きを教え込めるのか。
 例えばとして、2018年の水戸では左SBでジエゴがプレーしていましたが、シーズン序盤は自由奔放に動きすぎていたところがあった印象でした。
 しかし、シーズン後半に入った頃には、しっかりと規律の中でプレーできるようになっていた印象です。


 水戸の場合は戦力的な問題もあって、ジエゴに期待するしかないといった面も強かったのかもしれません。
 そのためジェフのゲリアとは立場は違うと思いますが、特徴や課題に関しては似通ったところもあるのではないかと思います。
 ゲリアのようにポテンシャルは高いものの、周囲と連動したプレーは苦手な選手をどう成立させるのか。
 チーム残留も決まっていますし、来年気になるポイントの1つと言えるかもしれません。