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指宿と清武の移籍と岡本、吉田のレンタル延長

 昨日は日本人選手の獲得動向に関して取り上げたので、本日は退団関連の話をしていきます。
 まずは、指宿が湘南へ完全移籍すると、発表になりました
 個人的にはかなり意外な移籍でした。


 今年の指宿は、リーグ戦33試合出場で9ゴール。
 しかし、昨年は28試合で3ゴールでしたし、J1新潟時代も最高は2015年の8ゴールで、Jリーグで二桁得点をあげたことはありません。
 柏ユースからスペインリーグに渡り3部や4部で活躍して将来を期待されていた指宿ですが、その後は苦労している印象です。


 さらにジェフでは今シーズン後半こそレギュラーポジションを獲得しましたが、長らくはラリベイに続く2番手だった印象です。
 今季もラリベイの状態が良ければ、指宿の立場はより厳しいものだっただろうと思います。
 プレー内容も含めて完成度の高いラリベイと比べると、細かな課題も多かったと思います。



 指宿は非常にピーキーな選手で、瞬発的な爆発力を持ったストライカーだと思います。
 前を向いた時の馬力のあるドリブルや、はまった時のゴール前への飛び込みには迫力を感じました。
 その点においては、J1でも通用する部分もあるのかもしれません。


 しかし、一方でそれを常時狙えず、プレーの継続性という点では課題が残ります。
 特に判断力に課題があるため、良い形でボールを受ける状況を作れない印象があります。
 指宿がボールを持っても判断スピードに問題があるため、そこで攻撃のスピードが落ちてしまうことも多かったと思います。



 さらに粘りのあるキープは出来るものの、狭い局面や相手を背負った状況のプレーが苦手なため、ポストプレーでのボールロストも多い。
 そのため、味方選手とコンビネーションで崩すという展開に上手く絡めない印象です。
 総じてダイナミックなプレーは見せるものの、細かいプレーが苦手な印象を受けます。


 そのため、今年後半から1トップに入ったものの、中央でボールを受けず左サイドに流れるプレーが目立っていました。
 しかし、本来ポストプレーヤーはよりゴールに近いエリアでボールを落としたり、潰れるプレーをしてくれた方が効果的なはず。
 結果的に高さはないものの、船山の0トップの方が安定しているのではないかとも思いました。



 爆発力はあるものの安定感がないため、FWの2番手3番手としては良い選手なのかもしれません。
 しかし、主軸として計算するには、難しい部分のある選手だったのではないかと思います。
 ラリベイもベテランで将来性には不安があるだけに、指宿がもう一皮向けるよう期待していた部分がありました。


 今年の湘南は当初イ・ジョンヒョプが前線のレギュラーだったものの、怪我で長期離脱。
 7月に徳島から、山崎凌吾を獲得しました。
 山崎の方が指宿より安定してプレーでき高さもある選手だと思うので、山崎が残れば指宿は2番手以降の立場でプレーしやすいのかもしれません。


 冒頭で「意外」と話しましたが、湘南も予算で言えばジェフよりも小さなクラブですから、こういった意外な補強をしていくしかない部分もあるのでしょう。
 山崎も徳島で昨年からコンスタントに活躍してはいましたが、J2の中で見れば飛び抜けて目立っていたわけでもなかったと思います。
 ただ、湘南のサッカーを考えれば、タイプ的に山崎のほうが指宿よりも合っているのではないかとも思います。



 個人的には気になるのが、指宿の代理店は本田圭佑の兄である弘幸が運営しており、アランダ、サリーナス、ラリベイも所属しているHEROEであるということ。
 岡野も所属していますが、レンタル延長となっていますし、このオフで一気にHEROE所属の選手がジェフから離れたことになります。
 このことから、HEROEとの関係が切れたのかなと思わなくもありません。


 経営情報を取り上げた時にも話しましたが、ジェフは移籍金こそ高額にはなっていないものの、代理店への手数料は結構な額を支払っている可能性があります。
 もしHEROEに法外な手数料を支払っているのであれば、打ち切った方がいいのかもしれません。
 しかし、一方でHEROEのルートでアランダやラリベイなど、優良な外国籍選手が補強できていたのも事実だと思います。



 指宿に関しては、もともと2年契約だった可能性もあるのではないでしょうか。
 ジェフは選手の大幅入れ替えもあって、結果的にジェフに愛着のある選手も少なくなっているのかな…といった印象もあります。
 指宿も2年間ジェフに在籍しましたが、どこか馴染みきれずに終わってしまったように思わなくもありません。


 いずれにせよ、結果的には個人昇格ということで、J1でどこまでできるのか注目してみたいところです。
 指宿ももう27歳ですから、このまま未完の大器で終るのか、それともついに大ブレイクを果たすのか。
 指宿の選手人生を考えても、大事なチャレンジとなるのではないでしょうか。



 続いて、清武の徳島移籍も発表になりました
 一時は活躍してた選手なだけにあの状況では満足いかないでしょうし、清武の退団は予想できたことだと思います。
 ただ、徳島への移籍ということで、来年は嫌な相手となってしまう可能性もありますね。


 昨年は40試合に出場し11ゴール8アシストと大いに活躍した清武ですが、今年の清武は16試合にしか出場しておらず、かなり厳しい1年だったと思います。
 なかなかコンディションが上がらなかった印象で、運動量も足らず動きにもキレがなかった印象でした。
 さらにモチベーションも下がっていたのかなとも思います。



 チームとしても本来はスピードを活かして攻めてハイプレスをかけるスタイルを狙っているだけに、清武には合わなかった部分もあったのかもしれません。
 清武はテクニックやパワーはあるものの、スピードはないタイプですから、エスナイデル監督との相性はよくないのでしょう。
 ただ、2列目に小さくスピードあるタイプが並んでいるだけに、清武は貴重な存在にもなりえるのでは…とも思っていました。


 さらに2017年はジェフで大活躍を見せていただけに、正直今年は勿体ない印象が強かったと思います。
 特に昨年夏前は絶好調で、清武が前を向いてボールを持てば何かが起きるという期待感を感じるほどで、プレースキックでも貢献。
 チームとしても清武のプレーには、大いに助けられていた部分があったと思います。



 しかし、昨年8月途中から、チームが下降していくと清武も低迷。
 昨年終盤に引いて守ってカウンターのスタイルになっていくと、為田が個人技で縦に仕掛けるサッカーになっていき、清武の居場所がなくなっていった印象です。
 今年もその流れのまま開幕スタメンは為田がゲットし、清武は1年を通して大きな活躍を見せられずに終わってしまいました。


 あまりにも今年はコンディションが良くなさそうでしたし、一部で言われていたようにチームとして控え組のコンディショニングに大きな問題があり、その影響を受けた1人なのではないかと思います。
 今年もサブ組は練習試合をシーズン途中まで組まなかったですし、それによって調子があげられなかった部分があったのではないでしょうか。
 キレで勝負する部分もあるタイプだと思いますし、本来はもっとできる選手ではないかと思います。



 また、2列目の選手を大量に抱えたため、清武のように1年目は大活躍を見せても次の年に活躍できずに退団…というケースが生まれてしまったのではないでしょうか。
 エスナイデル監督も多くの選手をうまく管理しきれているようには思えませんし、それによって結果的に主軸が固まらなかった部分もあったようにも思います。
 戦力候補となる人数が、監督の管理できるキャパシティを超えていたのではないでしょうか。


 清武は2016年の熊本で12ゴール、2017年のジェフでも11ゴールと、違うチームで2連連続二桁得点をあげていることになります。
 さらにその2年間はアシスト数も稼いでいるわけで、昨年の活躍はまぐれではないでしょう。
 27歳とまだ衰える時期ではないですし、もう一度復活できる選手だと思います。


 そのためにもまずは心身ともにリフレッシュして、走れる状況になることが重要ではないでしょうか。
 ただ、時折手を使ったラフプレーも見られる選手ですので、精神的にも簡単に切れずにタフな選手になっていかなければいけないと思います。
 徳島のロドリゲス監督はアタッカーを使うのが得意なタイプだとも思いますので、そこでうまくハマると良いですね。



 続いて、岡本の愛媛へのレンタル移籍延長が発表となりました
 これは良い落としどころと、言えるのではないでしょうか。
 ジェフで契約満了の末に愛媛に完全移籍するのかなとも思ったのですが、岡本は長年ジェフで頑張ってくれた選手でもありますので契約を残したということでしょうか。


 今年の岡本に関しては私もJ2ベスト11に選びましたが、土屋雅史氏もベスト11に選んでいるほど活躍を見せていました。
 その記事によるとセーブ率もセーブ数もJ2でトップの成績だったそうで、数字上でも大きく貢献していたことが伺えます。
 降格争いをしていた愛媛にとっては、特に大事な選手となったのではないでしょうか。



 岡本は若い頃からメンタル的に弱い部分もありましたが、強い気持ちで戦えていれば良いプレーが出来るタイプでした。
 今年は愛媛というまだ若いチームに加入したことによって、リーダーシップを持って戦えた部分もあったのかもしれません。
 ただ、2016年終盤に長谷部監督代行が就任してから出場機会を得た岡本はジェフでも活躍していただけに、環境が変わったことが全てではなく本人としても逞しくなった部分もあったのではないでしょうか。


 しかし、2017年には一度もプレーせずに終わっています。
 GKが前に出て行くエスナイデル監督のスタイルには合わなかったというのが、一番大きな要因でしょう。
 今年のJ2の中でもトップレベルに活躍したGKを起用できなかったことは勿体ない思いも強いですが、来年も愛媛という舞台で頑張ってほしいですね。



 続いて、吉田眞紀人が愛媛へレンタル延長となりました
 これでジェフから3年連続でレンタル移籍をしているということでさすがに意外な印象も受けますが、木更津出身のJリーガーということでポスターなどにも起用されていただけに外部からの力も及んでいるのでしょうか。
 私も木更津出身なので期待している選手ではありますが、同じ木更津出身という意味では鳥海というライバルも出現している状況です。


 2018年3月から愛媛へレンタル移籍した吉田ですが、愛媛では7試合先発9試合途中出場でノーゴールと活躍しきれませんでした。
 前年は町田で24試合先発4試合途中出場で3ゴールを上げているわけですから、こうなるとやはり一度ジェフに戻した意味というものを考えてしまいますね…。
 タラレバを言っても良くないのかもしれませんが、あのまま町田に移籍していれば今年はJ2上位で戦力として戦えていたかもしれません。



 それでも来年も愛媛でプレーできることなったのは、シーズン終盤にスタメン出場する機会が増えたことが決め手になったのではないでしょうか。
 吉田が前線で走り込んで潰れて、神谷を中心にシャドーがカウンターで仕掛けるという展開が出来ていたと思います。
 ただ、直接的なライバルとなっており、岡山からレンタル加入していた藤本も愛媛に完全移籍となっていますので、来年もポジションが安泰とはいかないでしょう。


 昨年末に町田から復帰した吉田は、開幕まではジェフの選手として登録されていたことになります。
 前線でも走れる選手といった印象で、ハイプレスには合う選手なのではないかと思います。
 主力としてプレーできるかはともかくとしても、プレス要員としては貢献できるのではないでしょうか。



 しかし、一方でエスナイデル監督は前線や2列目の選手に、個人技での打開力を期待している印象です。
 その点で、吉田では合わなかったということなのかもしれません。
 吉田も技術力はある選手ですが、どちらかと言えば周囲との連係で戦っていくタイプでしょう。


 攻撃面を組織的に作る自信がないからこそ個人技に任せようというのであれば潔くも感じますが、一方でハイプレスの構築を徹底していない印象も受けます。
 このあたりがハイプレスを作りきれない要因でもあるのではないかと思いますし、結果的にスタイルを構築しきれないため、チームも不安定な状況となっているのではないでしょうか。
 チーム作りのどこに、確固たる信念を通すのか…というところですね。



 今年は開幕前に藤田を松本に、小島をジェフに引き抜かれて苦戦した愛媛でしたが、今オフは攻撃のキーマンでもあった神谷のレンタル延長も決まっています。
 今のところはその他の大きな引き抜きもない状況ですので、来年の愛媛は落ち着いて戦えることになるのでしょうか。
 選手としても降格争いに巻き込まれては、辛いシーズンになってしまうでしょうし、チーム状態も重要になってきますね。


 ただ、戦力的には決して豊富ではないと思いますから、岡本も吉田も頑張らなければいけないと思います。
 もっとも今年の愛媛は18位、ジェフは14位で大きく順位は違わない上、勝点で言えば7差と大きな差はありません。
 来年も順位を争うライバルとなるかもしれないわけで、ジェフも気を引き締めていかなければいけないと思います。