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2018シーズンを振り返る 為田大貴&船山貴之編

 2017年当初の為田は福岡でプレーしていましたが、福岡では1試合しか出場できず、6月末にジェフへレンタル移籍。
 初めはジェフでも出番が少なく途中出場が主でしたが、チームが引いて守るカウンターサッカーに変更したことによってスタメンに定着。
 後方からのロングボールをラリベイがうまく落として、為田が拾ってチャンスメイクという展開がジェフの武器になっていました。


 為田はスピードもあって、鋭い仕掛けが特徴のアタッカー。
 何よりも左右両足でクロスボールを上げられるので、マッチアップした相手が守備の的を絞りにくいというのが、大きな魅力ではないでしょうか。
 2017年終盤のカウンターサッカーにおいて、重要な存在となっていました。

 しかし、ジェフに完全移籍した2018年は、苦戦した1年だったと思います。
 昨年終盤からの流れで開幕戦からの3試合はスタメン出場を果たしますが、そこからはスタメンを外され途中出場が中心になります。
 6月中旬から8月末は再びポジションを勝ち取りますが、その後はまたスーパーサブ扱いになっていきました。


 結局、2018年は途中出場も多かったため31試合に出場していますが、スタメン出場は19試合、フル出場にいたっては7試合のみとなりました。
 2017年にも話したと思いますが、為田は仕掛けにおいての強みがあるものの、守備においては大きな課題がある。
 そのため、チームにとってもろ刃の剣になりかねず、2018年は悪い方が目立ってしまったように思います。

 いくら攻撃に魅力のある選手でも守備に穴が出来てしまえば、チーム全体のバランスが崩れて自身の持ち味を発揮しきれなくなる恐れがります。
 あえてチームとして為田を守備にまわさず攻め残す形を取ったのだとしても、ここだけはやられてはいけない…という時には、守備に戻らなければいけないと思います。
 その判断力というのはかなりセンスが問われるところだと思いますし、普通に守備に戻る以上に難しいものを要求されるとも言えるのではないでしょうか。


 さらにシーズン後半には各チームが為田対策を取るようになってきて、攻撃面でも苦戦していった印象です。
 為田はボールを持つと必ず縦へと仕掛けて行くので、簡単には飛び込まずボールを持たせるような形にして、2人で対応し左右の足を警戒する。
 為田は周りの選手を使う選択を取ることが少ないため、相手が飛び込んでこずにじっくりと守られると、そのまま行き詰って潰されてしまうことが多い。

 あるいは3バックのチームなら、WBが外に張って対処する。
 為田は中には入って来ずに大外で受けようとしたがる傾向があるので、相手が5バック気味に横1列で守るとそれだけで窮屈な状況に陥ってしまう。
 この2つの対応によって、為田のところでボールロストが増える状況となってしまった印象です。

 守備における改善と周りを使う動きなど攻撃のバリエーションを増やさなければ、ここからの成長は難しいようにも思います。
 特に守備においては改善が必要で、為田は今年で26歳とまだ中堅年代ですし、サボることを覚える時期ではないでしょう。
 そういった課題もあって福岡では活躍しきれなかったのではないかと思いますし、福岡での反省を活かせるかが今後のサッカー人生において重要なポイントなのではないでしょうか。


 逆に船山は、昨年大きく活躍した選手ですね。
 15-16オフの大幅入れ替えで加入した数少ない生き残りの1人となった船山は、加入1年目から主力選手としてプレーしていました。
 しかし、16年には42試合出場で5ゴール、17年も38試合出場で7ゴールと得点数は伸び悩み、決定力不足に悩まされていた印象です。

 それが18年には39試合に出場してキャリアトップタイに並ぶ19ゴールをあげ、J2得点ランキングでも3位につけました。
 1年目と2年目に点がとれなかったことに関して、船山自身はジェフ公式HPのインタビューで「いろいろなポジションをやったことが影響しているかもしれない」とも話しています
 ただ、前後を読むとこれは高橋GMの時と同じように、記者の誘導尋問的な印象も受けます。


 実際にはインタビュー内にもある通り、3年目も様々なポジションでプレーしていましたが、これだけの成績を上げています。
 1年目2年目も監督は中央で使うことを検討していたと思うのですが、船山が決定機を外す場面が目立っていたので、サイドで使わざるを得ない展開になることが多かった印象です。
 「複数のポジションでプレーしていたからゴール数が伸びなかった」のではなく、「決定力に問題がありチャンスをものにできないから中央ではなくサイドで起用せざるを得なかった」という方が正しいのではないでしょうか。

 では、何が変わったのかと考えると、身も蓋もない話かもしれませんが、単純に2018年はコンディションが良かったのではないでしょうか。
 2018年の船山は決定力が上がったというだけでなく、その他のプレーの質も前年までよりも高かったと思います。
 例えば守備に関しても元々サボるタイプではないですが、2016年終盤などは動けずに歩いていることも多かったのが、昨年は広範囲に守備に走って健闘していた印象でした。


 あるいはセットプレーにおけるプレースキックも、1年目2年目は期待できず他選手が蹴った方が良いのでは…と思うことが多かったと思います。
 しかし、2018年は質の高いボールを蹴れていて、チャンスに結び付く事も多かった。
 ビルドアップに絡んで貢献する動きなども目立ち、全体的なプレーの質が高まっていた印象です。

 その結果として、4-2-3-1のトップ下で起用された時には、ボランチの位置まで下がってパスワークにも参加していた。
 また、シーズン終盤の0トップでも守備にポストプレーにチャンスメイクにシュートに…と、非常に多くのタスクを任され、大車輪の活躍を見せていました。
 船山が好調だからこそ、チーム全体として船山に頼っていたところが大きかった印象です。


 しかし、そういった状況が続けば負担が増えてコンディションを落とし、再び1年目や2年目のような状況に陥ってしまう恐れもある。
 今年のジェフとしては、船山に頼らない状況を作り出すことが重要なのかもしれません。
 2017年末もラリベイと為田に攻撃を頼っていたところがあったように思いますし、誰かに攻撃面を頼りきらないチーム作りが求められるのではないでしょうか。

 船山としては、2018年の状態をキープすることが何よりも重要ですね。
 2018年もシーズン終盤はタスクの多さに苦しんだのか、若干息切れをし始めていて、決定機を外す場面も少しずつ増えていた印象があります。
 1年目2年目のような状態に戻らないように、好調を維持することが今年の船山に期待されることではないでしょうか。