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勇人「クラブの責任でもあると思う」

 19日の夜に江尻監督、高橋GM、勇人キャプテンの会見の模様が、ジェフ公式サイトにアップされました
 話の内容が一番しっくりときたのは、勇人ではないかと個人的には思います。

 勇人は監督解任に至ったことに関して、選手、コーチなどにも責任があり、「クラブの責任でもあると思う」とコメント。
 はっきりとは明言していないので言い切れませんが、ここで言うクラブとはいわゆるフロントのことではないかと思います。
 特にクラブが監督に3年目を託して、このタイミングで変えるということは「大きな問題」と話しています。


 勇人は客観的な視点も含めた話が出来ている印象で、組織の上に立つ人にはそういった見方が必要なのではないかと思います。
 そもそも勇人にここまで言わせてしまったことが、クラブとして問題ではないでしょうか。
 勇人だけが泥をかぶる形で結果的にクラブ内で"悪い人"になりかねないわけですから、それこそ勇人の言う"プレーヤーズファースト"に背くことになるのではないかと思います。

 また、エスナイデル監督に対しては、「もっとディテールを詰める必要があった」と話しています。
 このあたりも江尻監督や高橋GMは指摘していない部分で、勇人は課題を明確に指摘していることになります。
 選手でなければ感じ取れない部分もあるかもしれませんが、「ディテールの欠如」は外から見ていても明白だったわけで、クラブがそれすら指摘できずに次の監督に進むというのは個人的には残念です。


 あまり批判ばかりしたくはないのですが、高橋GMのインタビューは全体的に楽観的な印象を受けます。
 監督を続投して「結果も選手の成長にも繋がると思っていた」と言いつつも、最後まで「繋ながらなかった原因」に関してははぐらかしていた印象です。
 一方で「反省するのは自分の仕事」と言っているわけですが、会見では反省内容に関しては触れていないわけで、話に矛盾を感じてしまいます。

 もちろん親会社やフロント、社長や自分自身など守るべきものはあって、公には言えない部分もあるのでしょう。
 しかし、勇人の言う通りクラブの意思決定に問題があったのは明白なわけで、問題が起こってもそれをうやむやなまま終わりにしてしまうのは組織として大きな害のあることではないでしょうか。
 問題が発生した以上は、どこに問題があってそこを改善して次へと進む…という話が出来なければ、内外の不満は溜まったままとなってしまうと思います。


 そのあたり記者も疑問を感じたのか「1番の改善点」を質問されていますが、高橋GMは「勝点です」と答えています。
 しかし、記者としては勝点を積み上げられなかった原因を聞いているのではないかと思いますし、のらりくらりとかわしているようにも感じてしまいます。
 2年をかけて「中身」は改善できたということのようですが、「結果」を出すための「中身」であるはずで、「結果」が出ないのであればいくら「中身」を改善したとしても意味はないのではないか。
 あるいは「結果」に繋がらなかった以上は「中身」の改善方法が間違っていたのか、またはそもそも本当に「中身」は改善されていたのか…という話になってくると思います。

 勇人も「寂しい」と話していますし、一部選手からは支持を得ていたのは事実で、それが今年も続投に繋がった要因の1つでもあるのかもしれません。
 しかし、先日も話した通り、外国人選手からは不満を抱えていたようですし、控えめな日本人選手はそれを口にしていなかっただけかもしれません。
 また、高橋GMによれば「ロッカールームで誰も愚痴や文句を言っていない」そうですが、あの状況で誰からも文句が出なかったのは逆に不健全な気もします。


 これは近藤のこの話と、現象としては一致するところがあると思います。

「問題が生じたとき、監督と話し合って解決に導くのは自分の望むところです。前のチームでは選手の側から考えを出すことが制限され、練習中に選手同士が話し合うことさえ歓迎されませんでしたから。それがとにかくストレスで、ずっと自分のなかでくすぶっていました」

 高橋GMはこれを良いことと捉えたのかもしれませんが、選手にとってはストレスになっていた可能性があるということ。
 これに限らず同じ現象を見ていたとして、その中で何がうまくいっていて何が問題なのかを見極められなければ、次への改善には繋がらないのではないでしょうか。
 それが高橋GM本人が「自分の仕事」と話している、「分析して反省する」ことなのではないかと思うのですが…。

 また「ジェフのスタイル」を確立したかのように言われていますが、実際には「主導権を握り攻守に仕掛けるサッカー」をしようとしていたのは、1年目の途中までだったと思います。
 2年目は戦い方が安定せず、今年の4試合もハイプレス・ハイラインは影を潜めていた状況ですから、そのサッカーで安定した戦い方が出来なければスタイルを確立したとは言えないでしょう。
 そういった状況で、江尻監督にスタイルの継続を求めるというのはいかがなものなのでしょう。


 江尻監督自身も基本的にはスタイルを継続していく方向で話している印象ですが、前回指揮をとった時もそれが足かせになった部分はあるわけで、今回こそ過去に囚われず一からチームを作り直して欲しいと私は思います。
 エスナイデル監督のサッカーはエスナイデル監督にしか出来ない…どころか、本人でも出来ていなかったわけですから、それを継続するメリットなどないはずです。
 インタビューを読む限りだとコーチの延長ような話もしていますが、監督になった以上は自分の色を出していかなければいけないのではないでしょうか。

 そこが江尻監督の大きな課題かもしれませんし、コーチの方が向いているのでは…と言われてしまう理由ではないかとも思います。
 倉田や鎌田に声をかけたのは江尻監督自身だったという噂も聞いているので江尻監督こそ強化部に向いているのでは…とも思っていたのですが、監督になった以上はその殻を破らなければいけない。
 もしかしたら、江尻監督体制においてはそこが大きなテーマとなるのかもしれません。


 エスナイデル監督には課題も多かったので、私も監督交代で相対的に良くなるのではないかと期待している部分もありました。
 しかし、根っからの"良い人"である江尻監督と"良い人"であろうとしている印象の高橋GMからは、エスナイデル監督時代の課題はあまり述べられず、膿を出し切ろうという印象は感じませんでした。
 そうなればどこに課題があったのかは棚上げ状態となりかねませんし、エスナイデル監督の課題を克服して次に進むという期待も薄らいでしまうように思います。

 インタビューを読んで、逆に不安が増してしまったというのが正直な感想です。
 誰かの責任を追及するつもりはないですが、せめてどこに問題があってなぜ結果が出せなかったのかを、一言でも良いから聞きたかったところです。
 ジェフは同じミスを「繰り返す」と言われて久しいですが、そこから脱却するためには過去に目を背けず分析・反省をして、次に活かすことが何よりも大事なのではないかと私は思います。