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引き分けに終わるも監督交代で感じられた「変化」

 試合前は「監督が変わってもすぐには変わらない」という意見もあったようですが、実際にはすぐに変化はあることが多いと思います。
 関塚監督から長谷部監督代行に変わった時もそれまでは見られなかった細かなポジション修正などが初戦から見られましたし、ドワイト監督から菅澤実質監督の時もすぐに組織的なサッカーになり、クゼ監督から澤入監督になった時も突然綺麗な守備ラインのチームになりました。

 もちろん、チームの熟成という意味では問題が起こるので、「すぐに勝てる」とはいかないかもしれないけれど、「変わる」のは事実でしょう。
 それだけサッカーというスポーツにおいては監督の影響が大きいとも言えるでしょうし、だからこそフロントの監督選定能力は極めて重要なのだと思います。
 その「変化」が「勝つ」ための「変化」となるかどうかが重要ですが、少なくともエスナイデル監督体制では2年目から「変化」も「勝利」も期待できなそうでしたから、まずは江尻監督2度目の初陣となった京都戦で「変わった」と感じられたことが大きな一歩と言えるのではないでしょうか。

■慎重な立ち上がりも京都が先制

 江尻監督が就任したジェフは優也が復帰して、新井、増嶋、エベルトの3バックになりました。
 田坂、下平の左右は変わらず、ボランチは熊谷が負傷で小島と勇人になり、シャドーに船山と為田、1トップにクレーベ。
 ベンチからは工藤と乾が外れて、矢田、堀米、寿人が入りました。

 京都は開幕戦からスタメンだった中野がベンチで、ジュニーニョが今季初スタメン。
 上夷は大卒新人、福岡はユース上がりの高卒新人で、重廣、小屋松も20代前半。
 ベンチの中野、富田も大卒新人、一美、仙頭も20代前半と若い選手が多い印象です。


 ジェフが京都と同じシステムを採用したため、がっぷり四つの状態に。 
 前半のジェフは無理には前からプレスをかけず、対面の選手をそのまま見る形で、じっくりと守っていました。
 また、攻撃面ではGKからパスを繋ぐ展開でした。

 7分にはジェフの攻撃。
 増嶋の楔のパスからクレーベが反転して持ち上がります。
 サポートが少なくそのままシュートまで持ち込むことになりますが、今までのチームにはないCBからの中央での縦パスでした。


 8分にもジェフの攻撃。
 勇人が高い位置でボールを受けてクレーベへ。
 クレーベは為田に繋ぐと、為田はシュートを放ちますが、相手DFがブロック。

 17分、ジェフは小島が負傷交代し、矢田が入りました。
 すると、20分に矢田が低い位置でプレスをかけられたところからパスミスをし、ジュニーニョが右サイドで拾ってクロス。
 これをファーで小屋松が合わせて0-1に。


 31分、ジェフの攻撃。
 左サイドで勇人がボールを奪い、クレーベへ。
 クレーベは少し引いてシュートを放ちますが、ゴールの右に逸れます。

 38分にもジェフの攻撃。
 ゴール左からの直接FK。
 矢田と船山が並び船山が直接狙ったものの、GK清水が弾き出します。

 京都の方が連携面で優れており、特に守備面では機能的なプレスをかけて来ていたように思います。
 しかし、ジェフも慎重に戦い、京都にシュートは打たせず、前半のシュート数ではジェフが6本、京都が2本でした。
 ただ、ジェフもゴール前での連携には課題を感じ、0-1で折り返します。

■アランのプレスで押し込むも1-1の引き分け

 48分、PA目の前で下平が相手を倒し直接FK。
 黒木が左足で直接狙いますが、ゴールの左を逸れます。

 57分、ジェフはクレーベが怪我でアランを投入。
 その直後、アランのチェイシングからスローインを得ると、素早く再開してアランがクロス。
 逆サイドで田坂がフリーになってシュートを放ちますが、相手DFに当たってゴールならず。


 アランが入ってプレスをかけられるようになり、ジェフが攻め込む時間が続く展開になっていきます。
 京都は前からプレスをかけられず、押し込まれる状況に。
 しかし、ジェフもラストプレーが合わず、決定機までは作れません。

 67分にはジェフのミスから京都の決定機。
 京都の後方からのクリアに、増嶋が対応するも処理ミスをし、宮吉に奪われます。
 しかし、優也が飛び出して、何とか対応。

 その直後にも京都の攻撃。
 中盤前方で左サイドから逆サイドへ展開していくと、福岡とジュニーニョが大きく1-2。
 福岡がPA内に侵入してシュートを放ちますが、大きく枠を逸れます。


 74分、宮吉を下げて一美を、ジュニーニョを下げて中野を投入。
 その直後、ジェフが同点ゴール。
 左サイドからのCKを船山が蹴ると、ニアで京都の選手が触ってファーで新井が合わせて1-1に。

 81分、京都の攻撃。
 黒木が中盤を持ち上がり、そのままミドルシュートを放ちますが、ゴールの右。
 その直後、ジェフは為田を下げて堀米を投入。


 82分、ジェフの攻撃。
 アランと堀米のチェックから、相手のパスミスを誘うと船山が受けて田坂へ。
 田坂が走り込んでシュートを放ちますが、バーの上を超えます。
 
 86分、京都は福岡が負傷交代し石櫃を投入。
 90分にはジェフのチャンス。
 船山の縦パスを田坂が拾い堀米に繋いだところを、勇人が追い越してボールを受けクロス。
 アランが頭で合わせますがゴールならず。

 その直後には京都の決定機。
 左サイドからのCKを石櫃が蹴ると、重廣が田坂の前をとってシュートを放ちますが、優也が正面でセーブ。
 個々で船山が痛めますが、そのまま1-1で終了となりました。

■江尻監督になって感じられた「変化」

 課題もあったとはいえ、冒頭にも話したように、「変化」も十分にあった試合だったと思います。
 今季まだ勝ち星がないことを考えれば勝ちたい試合だったとは思いますが、監督交代も挟んだことを考えれば、そこは仕方のないところでしょう。
 前半は京都のリズムだったかなとも思いますが、後半はジェフがペースを上げていきましたし、試合内容から言えば引き分けで妥当なところだったのではないでしょうか。 


 ジェフの「変化」を大きくまとめると、まずは3バックへの変更。
 これがメインになっていくのか、失点が多い中での応急処置だったのか、京都対策なのかはわかりません。
 ただ、少なくともこの日の試合では、京都相手に相性の良いシステムだったと言えると思います。

 試合前にも話した通り、ここまでの京都はハーフスペース狙いが目立っていた印象でした。
 サイドと中央のエリアの間を狙った攻撃で、これによって相手選手がマークを掴みにくくなる。
 相手からすると4バックでハーフスペースを狙われると、SBが行くのかCBが行くのか迷うことになってしまう。

 これをここ数戦の京都は、1トップ2シャドーのシャドーが狙っていた印象です。
 しかし、これに対して3バックで対応すれば、そのまま3人で前線の3人に対応することが出来る。
 これはロシアW杯でも見られた対策方法だったと思います。


 また、攻撃から守備への切り替えの速さも、監督が変わって良くなった「変化」ではないでしょうか。
 相手がポゼッション時には無理なプレスに行きませんでしたが、攻撃から守備に切り替わった直後のプレスはかなり激しかったと思います。
 特に前半はそこでボールを奪って、ハーフカウンターと言う展開がいくつか作れていました。

 その中でも勇人の活躍は際立っていて、江尻監督体制で2度目の活躍となるのでしょうか。
 また、後方のスペースを簡単には与えず、ポッカリと守備で穴が開くことも少なくなりましたね。
 後半はジェフが前に出る展開となりましたが、以前のように守備の集中力が簡単に切れてしまうこともなくなったっと思います。


 最後にパスワーク時において、中央での縦パスを久々に見ることが出来ました。
 7分の増嶋からクレーベへの縦パスなどはCBから前線への縦パスということにもなり、エスナイデル監督体制ではほとんどない展開で、これも大きな「変化」だったと思います。
 12分にも田坂や小島から船山や為田に縦パスを出していましたし、これによってサイドばかりの攻撃から脱却できていたと思います。

 縦パスからの展開を考えると、やはりもう少し小島を見たかったところで、短い時間ではありましたが、小島のパスセンスには可能性も感じました。
 また、前半はクレーベが楔のパスを受けることが多かったですが、後半からはシャドーが間で受ける回数が増えていきました。
 前半はシャドーが裏を狙っていましたので、ハーフタイムで「変化」を与えたのでしょう。


 結果的に攻守にチームの「変化」を感じることが出来ましたが、一方で課題もありました。
 特に目立ったのは、アタッキングサードでの連携ミスの多さで、パス交換で呼吸が合わないことが非常に多かったですね。
 これは監督交代の影響も大きかったのではないかと思いますし、どこまで改善されるのか注目です。

 また、選手それぞれのタスクが変わったこともあって、出来ること、出来ないことがわかれていたようにも思います。
 下平や田坂は1対1の守備には不安を感じましたし、クレーベはポストが出来るけれど守備では課題があり、アランはプレスでは期待できるけれどポストならクレーベかもしれません。
 あえて後半からアランを起用したのかもしれませんが、それぞれの選手に出来ること出来ないことがわかっていく中で、最終的にどんなチョイスをしていくかが大事だと思います。

 いずれにせよ、今までは課題も多かっただけに、前向きに見られた試合だったように思います。
 ここまで失点が多かったせいか若干守備よりになってしまったのかもしれませんが、今後そこからどう変わり、どこまで成長できるかが大事ではあるのでしょう。
 しかし、ひとまずは良い「変化」が複数見られた試合だったと思いますし、今後に期待できる内容だったのではないでしょうか。