3月17日の水戸戦で負傷し戦列を離れていた熊谷が、岡山戦で復帰を果たしました。
いきなりのスタメン出場でしたが、試合序盤は前に飛び出して攻撃に絡むなど良いプレーもあったと思います。
サイズがある分、熊谷が攻撃時に前に出ていくと迫力がありますね。
ただ、全体的なプレー内容に関しては、あまり良くなかったと思います。
試合勘の問題もあってかパスミスが多かったし、プレーの判断が鈍い場面も見られました。
後半途中からは、足も止まっていたように思います。
その影響もあって、試合終盤には何度か岡山の選手にバイタルエリアなど中盤を取られてしまいました。
ただ、これは熊谷だけの問題ではなく、チーム全体として守備に問題があったと思います。
運動量が落ちて、寿人も守備にいけなくなり、最終ラインも下がってしまった結果、相手に中盤より前で自由にボールを持たせてしまった。
結果的に相手ボランチなどを開けることも多く、ジェフのボランチとしては前に出て相手ボランチを止めるべきなのか、あるいはバイタルエリアをケアすべきなのか、悩む状況になっていた印象です。
最終的には5バックがゴール前を固める形で跳ね返していましたが、その分他にスペースを与えてしまったともいえるでしょう。
これを"粘りの守備"と言えば聞こえはいいですが、ゴール前を固める分相手に攻撃機会を与えていたわけで、決してパーフェクトな守備形態とは言えなかったように思います。
熊谷個人に関しては、試合への慣れという問題もあるでしょうし、これから良くなっていくのではないでしょうか。
しかし、岡山戦で、今度は田坂が負傷交代してしまいました。
こちらも怪我の状態が心配されますね。
今年川崎から加入した田坂はポジションが薄いこともあって当初右サイドでのプレーが多く、江尻監督が就任した直後の京都戦でも右WBでスタメン出場していました。
しかし、福岡戦でのウォームアップで勇人が負傷すると、急遽ボランチとして出場。
そこからはボランチとしてプレーを続け、熊谷が復帰した岡山戦でも矢田を押しのけてスタメン継続となりました。
サイドでの田坂は、かなり厳しい内容だったと思います。
クロスこそ精度の高いボールをいくつかあげてはいましたが、守備においてはスピード不足で簡単に突破されることが非常に多かった。
サイドはどうしても1対1の守備を求められますが、田坂はもともと守備的な選手ではないし、33歳という年齢もあってスピード面でかなり後手に回っていた印象です。
しかし、ボランチに入ってからは、冷静なプレーでチームをコントロールしていると思います。
特にボールの置き方とパスの受け方がうまく、ルックアップした状況で前を向く姿勢をうまく作れるため、最近は田坂からの楔のパスが多かったと思います。
縦パスを狙えるからこそ、サイドへの展開も使いやすくなるし、視野も広い選手だと思います。
それに比べると、矢田は技術こそあるもののパスを受ける予備動作がもう1つで、そこからのタッチ数が多い場面も目立つ。
その結果、チームをコントロールする司令塔には、なり切れていないように思います。
やはりボランチやトップ下、SHというよりもインサイドの選手という印象が強いですが、それだけでは選手として中途半端になりかねないように思いますし、そこからの脱却が期待される選手ではないでしょうか。
エスナイデル監督時代は1ボランチのアンカーも含めて、ボランチは左右に振るだけで細かな展開力などはあまり求められませんでした。
しかし、江尻監督になってからボランチがチームをコントロールすることが増えていますので、ボランチに求められるものも大きく変わってくるのではないでしょうか。
守備面では勇人も考えられますが、司令塔という点においては小島の復帰なども期待されるところです。
ジェフは攻撃的な選手が多いため、小島、熊谷、田坂、矢田、真希など、技術的にパスを出せる選手は少なくないと思います。
しかし、だからこそ、単純な技術というだけでなくボールの受け方や持ち方など、細部が求められてくるのかもしれません。
その一瞬は少しの違いであったとしても、それが連続すれば大きな効果を生み出す可能性があると思います。
その点で、田坂は1つの違いを見せることができていたと言えるのではないでしょうか。
しかし、負傷交代してしまいましたし、他の選手としてはアピールの機会が巡ってくるかもしれませんから、そこで奮起してほしいところです。
さらにもしボランチ全員が復帰すれば、他のポジションへコンバートする選手も出てくるかもしれませんから、それによってさらにポジション争いが活性化していけばと思います。