乾が岡山戦で、今季初スタメンを果たしました。
左サイドで積極的な仕掛けを見せるなど、持ち味を見せていたシーンもあったと思います。
試合序盤は前へのプレスにおいても、効果的にプレーしていました。
また、高さの面でも攻守に効いていて、左サイドで後方からのロングボールのターゲットになったり、相手のボールを跳ね返したりといったプレーが目立っていました。
岡山はロングボールを積極的に使ってくるチームということもあって、乾をスタメンで起用したのでしょうか。
乾の起用をポジティブに感じるのは、チーム全体の年齢問題があります。
これは岡山戦でのジェフのスタメンですが、30代中頃の選手が多く、寿人に至っては37歳の大ベテランの域に入ります。
これに江尻監督が就任してからは、37歳の勇人、31歳の船山、30歳の下平などがスタメン出場していたわけで、かなりの高齢化となっています。
ようやく22歳の乾がスタメン出場しましたが、江尻監督が就任してからここまで25歳未満の選手のスタメンはありませんでした。
ただ、これは江尻監督になってからの問題ではなく、そもそも今季のジェフはベテランの比重が大きい選手構成になっていました。
高橋、岡野、杉山、溝渕といった若手選手がレンタル移籍・継続となった一方で、新人の補強は相澤のみ。
それに加えて寿人や田坂といったベテランが加入したわけですから、かなり年齢層が上がってしまった印象です。
そうなったのもエスナイデル監督のチーム状況が厳しく、ベテランの補強に頼らざるを得なかったのではないでしょうか。
高橋GMは会見で「エスナイデル監督で成長した選手も多くいた」と話していますが、実際には自前で育てきれなかった若手が出ていくことが目立っていたように思います。
一方で自チームに関してはベテランで穴を埋めていた印象も強かったわけですが、エスナイデル監督を甘やかしすぎていたフロントの問題も大きいのではないでしょうか。
その結果として、全体の年齢層が高まりレンタル選手も帰ってこない、あるいは若手がうまく育たないということになってしまえば、エスナイデル監督体制は2年間の低迷だけでなく、その後にも大きな影を落としかねないのかもしれません。
単純に遠回りしただけでなく、チームとして後退した可能性すらあり得るということですね。
そう考えると、この責任は非常に大きいものとなるのではないでしょうか。
一方で江尻監督もU-18の監督を務めたり、コーチ時代には江尻塾などと呼ばれて若手を育てていたイメージもあります。
しかし、前回監督時にもベテランを好んで起用していた印象が強く、若手に関しては我慢できずにすぐに諦めるケースも多かったと思います。
今回も30歳以上の選手は真希を除いて全員スタメン起用していますし、監督としてはあまり若手を積極起用するイメージはない印象です。
もちろん今回の場合は怪我人も多くそれまでのチーム状況が悪かったため、まずは問題改善ということでベテランを中心に考えた可能性もあるのでしょう。
しかし、関塚監督後の長谷部監督が岡野や乾を積極起用していたのと比べても、ずいぶんとベテランを起用しているなという印象は強いと思います。
ベテラン起用が一概にだめだとは言えませんが、それにしても結果的に年齢層が高すぎないか…という疑問はあるように思います。
それだけに乾の起用は、一筋の光と言えるのかもしれません。
以前にも話しましたが、3バックのWBのほうが乾には合っているのではないかとも思います。
逆に下平はWBのほうがアップダウンを求められるため、金沢戦のようにカウンターから素早く左サイドを突かれると、間に合わないという問題も出ていた印象です。
乾も守備やビルドアップには課題がありますが、SBほどビルドアップなどは求められないでしょうし、WBのほうが積極的に前に出れるのではないでしょうか。
これまではゲリアが前に飛び出す分、下平がバランスを取る役回りだったのかなとも思いますが、フィジカルが武器のゲリアもテクニックのある下平も、ドリブル突破はあまり得意ではない。
その分サイドでの仕掛けに物足りなさを感じる部分もありましたし、乾にとってはそこがチャンスでもあるのではないでしょうか。
ただし、岡山戦での乾は前半から飛ばしていたのか、56分で下平と途中交代。
出場時間でいえば、そこまで長くはなかったことにもなります。
乾に関しても、ここから大事ということになりますね。