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途中就任はいつまで免罪符となりうるのか

 試合ごとに首位が入れ替わっている現在のJ2ですが、現在は水戸が首位に再浮上しています。
 前節岡山戦でスコアレスドローとなったジェフは、2勝4分3敗で勝点10の16位。
 今週末は3勝1分け5敗で、勝点同数の15位横浜FCと対戦します。


 今季の横浜FCは開幕戦から2連敗でスタートするなど、苦労している印象です。
 伊野波などを獲得したとはいえ補強の出入りが少なく、チームが活性化できなかったところがあるのでしょうか。
 イバやレアンドロ・ドミンゲスなど、ベテラン外国人選手の動きが重い印象もあります。

 武田や齋藤功佑などが負傷していたこともあって、松井がリベロや左SBでプレーしたり、田代がボランチでプレーしたり、ヨン・ア・ピンが左サイドでプレーしたり、52歳のカズや17歳の斉藤光毅がスタメン出場したりと、いろいろなことを試しています。
 しかし、大きく成績は伸びず、ここ3試合も1勝1分1敗。
 前節も大宮に1ー2で敗れています。


 チームの印象は大きく変わらず、ブラジル人のタヴァレス監督らしく、ショートパスでゆっくりと繋いで中長距離のパスで縦に展開し攻撃のスイッチとする。
 あるいはカウンターで前線の外国人選手たちが起点となりつつ、2列目以降の選手たちが縦に走りこんでいく。
 緩急を使った攻撃をしてくるイメージで、J2の中では珍しいリズムを持ったチームといった印象もあります。

 ただ、昨年は最終的に堅守をベースにしたカウンターでPO進出を果たした印象ですが、今年は簡単な失点が増えているようにも感じます。
 勢いに乗り切れていない印象もありますが、基本的にはハイテンションで結果を残すというよりは、のらりくらりと戦うチームではないかと思うので、これで大きくは間違っていないのかもしれません。
 全体としてのコンディションも、少しずつ上がっているのかなと思います。


 ジェフのポイントの1つは、京都戦以来となる3バックチームとの対戦が予想されること。
 京都戦でもミラーゲームとなったため、守備がはめ込みやすいところがあったと思います。
 前節岡山戦でも前半に相手が後方3枚でボールを回していた時はプレスをかけやすかった印象がありましたし、サイドチェンジでギャップを突かれる課題も減るかもしれません。

 ジェフはまだサンプルが少ないのではっきりとは言えませんが、マンマークの意識が高い守備となっている印象ですし、相手が3バックのほうが戦いやすいのかなと思います。
 ただ、それは相手にとっても同じことでミスマッチが生まれない分、相手も守備でマークをとらえやすくなる。
 攻守において、1対1での勝負が重要となってくるのかもしれません。

 特にジェフは相手のプレスを受けると、ビルドアップでバタバタするところがありますから、そこをどう改善するのか。
 なお、ここからジェフは、横浜FC、大宮、甲府、山形と3バック主体チームとの対戦が続きます。
 その初戦ということで4バック相手と、どのような変化が生まれるのかも気になるところです。


 チーム作りにおいては、攻守の軸を明確にすることがなのではないでしょうか。
 確かに江尻監督はエスナイデル監督にシーズン途中でバトンを渡されたため、改善しなければいけない部分も多かったという見方もできるかもしれません。
 さらに就任して間もないから、ここから向上していくという発想もあるでしょう。

 ただ、細部の動きや連携に関しては時間がかかるとは思うのですが、大枠での攻守の方向性ややりたいサッカーに関しては、早い段階で見えてくることも多いと思います。
 実際、守備に関しては就任当初から明らかな変化が見えていましたし、攻撃面においても当初は中央での縦パスという新たなパターンがみられていた。
 しかし、攻撃においてはそれが失われつつあるようにも思うわけですから、やはり不安な部分も見えつつあるように思います。


 シーズン途中の監督交代だとしても、いつまで…あるいはどこまで、それが免罪符となりうるのか。
 個人的には細部の修正・構築に関しては当然時間がかかるものとも思うのですが、「これだ」という目指すべき攻守の軸に関しては、早期に見えてこなければその後も期待しづらいのではないかとも思います。
 それが具体的なパターンの構築などではないとしても、特に攻撃において監督のポリシーのようなものが見えてこないのは少し気になるところではないでしょうか。

 現チームの責任の所在が曖昧になってしまうからこそ、エスナイデル監督のサッカーを引き継いだ上での改善などではなく、一からチームを作るという姿勢でやってほしかったという思いがありました。
 さらに言えば、こういった状況になってしまうからこそ、シーズン中の監督交代は本来やるべきではないことでもあると思います。
 前体制を引きずってしまっては、良くも悪くも評価がはっきりとしない状況が続いてしまう可能性もあります。

 もちろん無駄に焦るのも良くはないでしょうが、歴代のジェフの監督を思い返しても、あるいは日本代表などを考えても、意外と監督交代の効果は早く出るもので、その監督の色もすぐに表れるものだと思います。
 だからこそ、チーム作りは初期が重要という印象もありますし、ダラダラと免罪符を与え続けるのもどうなのかなと思います。
 時間がかかるから仕方ないとすべき部分と、そうではない部分はしっかりと分けて考えるべきなのかもしれません。


 また、江尻監督としてはこれが監督就任二回目。
 今回失敗すれば次はないという可能性も十分にあり得るわけで、今年中に何らかの可能性を見せなければいけないという状況にもなるのではないでしょうか。
 江尻監督に関わらず二連続で失敗すれば次はないということが多いようで、例えば鈴木監督も大宮、ジェフ、関塚監督も磐田、ジェフで途中解任を経験し、そこから監督業を離れています。

 それだけに今年のジェフの目標をどこに定めるのかは置いておくとしても、江尻監督とすれば意外と切羽詰まった状況でもあるともいえるのかもしれません。
 個人的にはともかく基礎的な約束事を明確にして、攻守に狙いがはっきりと見えるチームを作って欲しいと思います。
 例えば金沢や水戸などは奇抜なサッカーはしていないかもしれませんが、堅実で良いチームを作りそれが結果にもつながっている印象ですから、そういったチームも参考になるのではないでしょうか。
 ちなみにこの2チームに関しては、開幕前の順位予想の段階でもコレクティブな良いチームという話をしていました

 ともかく、攻撃においては新たな展開を目指すにしても、1つ前に戻すにしても、明確な形を1つ作ること。
 守備においてはサイドチェンジや押し込まれた後の対策を考えつつ、バランスをよりよくしていくことが大事なのかなと思います。
 それがいつどこで見えるようになり、効果が表れるのかに注目ですね。