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エベルトの今季初ゴールと鳥海の初スタメン

 先日の甲府戦で、エベルトが今季初ゴールを決めました。
 エベルトは昨年3ゴールをあげており、これでジェフ通算4ゴール目。
 出場試合数から考えると、得点力のあるCBと言えるのかもしれません。


 今回のゴールもセットプレーからで、まず左サイドで得たFKを船山をニアに供給。
 このボールが鋭かった上、新井の折り返しも良かったと思います。
 その後増嶋が競り合って、こぼれたところをエベルトが決めています。

 エベルトは完全にフリーな状況でしたし、相手のマークミスともいえると思います。
 ただ、火曜日も話しましたが、長身選手がゴール前に揃えば、その分マークも分散することになる。
 そういった意味で191cmのエベルトは、セットプレー時に存在感を残せている選手の1人と言えるのではないでしょうか。


 ただ、流れの中での守備の動きに関しては、課題も少なくないと思います。
 高さや強さはあるものの、やはりスピード・アジリティ面では不安がある。
 特に3バックの左CBだとどうしてもサイドで対応することも増えるため、サイド裏へと走る相手への反応という点で1歩遅れるところがある印象です。

 しかし、昨日も話しましたが、江尻監督は左右CBからビルドアップする展開を考えているのではないかと思います。
 そうすると、左CBには左利きの選手を置いた方が、ボールを持った時の視野も広くなるし、縦や中央などにボールを供給しやすくなる。
 だから、江尻監督はエベルトの起用にこだわっているのではないでしょうか。


 フラット3で有名だったトルシエ監督も、左利きの中田浩二を重視していましたが、これも同じ理由だったのではないかと思います。
 しかし、エベルトは確かに左足で中長距離の強いボールを蹴ることができる選手ではありますが、そこまで高精度なキックが蹴れるわけではない。
 細かくつなぐプレーは得意ではなく判断も遅いため、アバウトなボールを蹴ってしまう場面も目立っている印象です。

 右CBの新井もエベルトよりは細かなテクニックはある選手なのかもしれませんが、1人でビルドアップの起点になりきれるほどのDFではないと思います。
 攻撃参加しても上手く絡めないことが多く、相手チームにあえてボールを持たされているのではないかと思う試合もあります。
 左右CBからビルドアップを目指すのであれば、パスを出せるDFを置きたいところだと思いますが、実際にはそういったタイプはおらず、どちらかと言えば高さで跳ね返すCBばかりといった印象です。

 これも、エスナイデル監督体制でスタートしてしまったことによる弊害の1つと言えるでしょう。
 ただ、一方で今いる選手だけでしっかりとしたチームを作れるのかといった能力も、監督には求められるところがあると思います。
 このメンバーで、左右CBからビルドアップするサッカーを目指すという判断が正しいのかどうか…という話にもなってくるのかもしれません。


 一方で甲府戦では鳥海がCBの中央で、今季初スタメンを果たしました。
 昨年も見られましたが、相手が足元でボールを受ける瞬間、あるいはロングボールを競り合う瞬間に、後方から潰しにいく対応を見せていました。
 これは鳥海が尊敬する阿部も得意としたプレーで、オシム監督時代に他選手もやっていましたが、単純な身体能力では勝てない相手に瞬間的にアタックすることでボールを奪う有効な策ではないかと思います。

 ウタカ相手にポストプレーなどは潰しきれなかった部分もあったものの、空中戦で競り勝つ場面も見せていましたし、全体的には悪くないプレーを見せていたと思います。
 中継では増嶋の体調不良という情報もありましたが、ウタカはスピードがある選手ということもあって、増嶋ではなく鳥海が選ばれた部分もあったのでしょうか。
 いずれにせよ、増嶋と遜色ないプレーを見せていたのではないかと思います。


 しかし、後半途中に増嶋と交代になってしまいました。
 この理由に関して、江尻監督は以下のように答えています。

後半にCBを入れ替えた意図は?
「鳥海(晃司)を久しぶりに使って、1週間調子が良かったが、最後は経験がある選手で締めたかった。」(Jリーグ

 初めからリードした状況での交代は決まっていた可能性もあるのかもしれませんが、鳥海に経験を積ませるという点で考えると残念だったようにも思います。
 そこまで鳥海は、信頼を勝ち得ていないということでしょうか。
 前回監督時もそうでしたが、どちらかと言えば江尻監督の起用法は保守的な印象も受けます。

 増嶋も良いプレーをみせていた部分はあるとは思いますが、失点につながるクロスをニアで止められなかったり、相手に肩で止めにいって危険な位置でFKを与えたりと、この日はあまり良い出来ではなかったと思います。
 増嶋は前への強さやラインコントロールではうまさを見せているものの、昔から大事なところでポカをしてしまうところがあるイメージです。
 集中力が続かないのか雑なプレーが90分のどこかで出てしまうところがあり、そこがCBとしては大きな課題となっていると思います。


 さらにベテランということで夏場に体力的な不安があることも考えても、ここは鳥海に自信をつけて今後につなげてほしいところだったのではないかと思うのですが…。
 さらにDFでいうと、今季加入して開幕前に負傷したベラスケスの状況も気になるところです。
 ベラスケスは少なくとも4月15日に行われた練習試合で、90分間試合に出場しています。

 長期の怪我明けで試合勘やコンディションに問題があった可能性もありますが、さすがに復帰から1か月近くたっているわけで、本当に実力のある選手ならそろそろメンバー入りしてもおかしくはないのではないでしょうか。
 そう考えると、少なくとも飛びぬけた選手ではないということなのかもしれません。
 3バックはここまであまりいじってきませんでしたし、このまま戦力外として終わってしまうのでしょうか。
 
 ただ、個人的にはDF3枚もそれぞれに課題があって、決して盤石といった印象は受けています。
 経験や連携面も含めて、現状だけを考えれば今までの3人がベストなのかもしれません。
 しかし、鳥海も可能性を見せてくれたと思いますし、さらなるチームの発展を考えるとより柔軟な選択といったものが必要となってくる可能性もあるのではないでしょうか。