当ブログはプロモーションを含みます

岐阜戦でのプレスと4バックへの変更

 岐阜戦でのジェフは、前半から積極的にプレスをかけ、最終ラインも高く戦っていきました。
 これがはまって岐阜の得意なパスワークを封じ、セカンドボールも拾えて大量リードにつながったのだと思います。

 相手は4バックなのでミスマッチが生まれるかと思われたこの試合ですが、岐阜はビルドアップ時にボランチを下げて3枚でボールを回していました。
 これによって攻撃時は実質的に3バックとなり、ジェフは1トップ2シャドーの同数で追いかけられることになったため、プレスがはまりやすい状況になったのだと思います。
 岐阜は福村のようにSBで起点になれる選手がいなくなったため、SBは押し上げて3枚でのビルドアップを実施しているのでしょうか。


 ただ、そのままだと岐阜のサイドはウイングとSBの2枚で、ジェフのサイドはWBの1枚だけということになる。
 しかし、ジェフは最終ラインを高くすることによって、SBをジェフのDFラインに吸収するような形にして無効化する。
 あるいは岐阜のSBにボールが入ったらWBが前に出て、岐阜のウイングには左右CBが対応する形で守っていたと思います。
f:id:aratasuzuki:20190520192124p:plain
 WBが前に出てSBを見て、左右CBがウイングに対応する動きは、岐阜戦前にも話した相手のサイドチェンジ対策とも似たところがありますね。
 実際、この試合でも岐阜にサイドチェンジをされたら、同じように対応していました。


 シャドーも前にプレスをかけるだけでなく、状況次第でサイドへの守備に参加していました。
 特に相手がじっくりとサイドでパスを回すような展開においては、シャドーもサイドの守備に加わるのが基本だったと思います。
 ただ、これまではシャドーがボランチを見つつ、SBにプレスをかけるのが第一で、そこから状況に応じてCBも追わなければいけなかった。

 過去の図を紹介すると、このような感じに。
f:id:aratasuzuki:20190330225652p:plain
 しかし、岐阜戦ではCBへのプレスをメインに考えることができていたため、その分プレスもかけやすい状況になっていたのではないでしょうか。
 岐阜はボランチが1枚下がって3バックになるわけで、ボランチの枚数が少なかった。
 それもあって、よりシャドーが前へのプレスに集中できる状況になっていたと思います。


 ただ、それでも消耗という点においては変わらず、前節に続いて後半からは全体的な運動量が相手より先に落ちてしまった。
 また、岐阜もジェフのプレスを警戒してきて、後半からプレスを回避する長いボールも使うようになっていった。
 ジェフは1トップ2シャドーがプレスをかけられなくなったにもかかわらず、最終ラインは高いままだったため、後半からは裏を取られるケースが増えてしまいました。

 こうなってくるとエスナイデル監督時代と同じような課題のあるチームとなってしまいますし、前半で大きなリードを築けたから良かったものの後半の戦いには反省点も残ったのではないでしょうか。
 特に左CB甲斐と中央CB阿部から、ラストパスを供給される場面が目立ってしまったと思います。
 右シャドーの堀米の足が止まったこともあって、甲斐がサイドで前に出て起点となり、さらに堀米を後方に押し込むことによってジェフのプレスを弱める展開となっていきました。


 そして、試合終盤には失点も浴び、完封できずに終わっています。
 これに関して、増嶋はこのように話しています。

増嶋竜也「前半はうまくいっていたけど、後半、(最終ラインを)4枚にしたときにズレが生じた。できれば4枚にしたときもうまく全体で守れれば良かった。4枚にしたときの守り方は修正しないといけない。」

 実際には後半開始直後から何度かピンチを作られていたわけで、4枚にしたから問題が生じたというだけではないと思います。
 ただ、フォーメーションを変えたことによって、さらに課題が出てしまったのも事実なのではないでしょうか。
 4-4-2にしてからのジェフはどのように守るのかはっきりせず、そのまま試合が終わってしまったように思います。


 昨日も話したように、岐阜は試合途中から3バックにしたことによって、ミスマッチがなくなっていた。
 さらに岐阜は4バックでも攻撃時は後方3枚でパスを回していたため、1トップ2シャドーで追い回すことができた。
 結果的にジェフは対面の選手を見ればよい、守りやすい状況だったと言えると思います。

 そういった状況でジェフが4バックにしたことによって大きなミスマッチが生まれ、結果的にフリーな相手選手が増えてしまった。
 相手が3バックなのに対してジェフは2トップにしたことにより、後方のパスの出所を抑えられなくなった。
 4バックでスタートした岐阜がプレスの掛け方を迷っていたのと同じように、ジェフも4バックにしてプレスに戸惑いが生まれてしまった。


 また、横を5枚から4枚で守るようになったことで、SBに降りた為田の守備エリアも広がってしまった。
 加えて左SH船山は完全に足が止まって、サイドの守備に参加できなくなっていた。
 結果的に左サイドを明確に狙われるようになり、守備が苦手な為田が悪戦苦闘する展開となってしまいました。

 増嶋が指摘しているのは、失点時の最終ラインのマークの捉え方でしょう。
 相手は1トップ2シャドーでしたが、前田、山岸、ライアン・デ・フリースとCFでもプレーできる選手が並んでいたのに対し、3バックならそのまま3人を見ればよかった。
 しかし、4バックになったことによって、前田と増嶋が対峙していた背後からライアン・デ・フリースが飛び出し、完全にフリーでやられてしまいました。


 ただ、それにしても増嶋は明らかにライアン・デ・フリースを見失っていた印象で、簡単にやられすぎだったようにも思います。
 後半からは裏を取られる機会も増えましたし、チームとしてパスの出所が抑えられていないとはいえ、DFラインの対応にも不安を感じました。
 後方への反応やスピードが一歩ずつ遅く、足も止まっていたように思います。

 気になるのが、なぜ江尻監督が4バックに変更したのかで、守備的な采配なら為田を外して乾を残すか、エベルト辺りを入れても良かったのではないかとも思います。
 「為田と茶島にも守備の役割を学んでほしい」と江尻監督は話していますが、さすがにあの状況では言い訳のようにも感じてしまいます。
 大量リードもあって、寿人を使いたかっただけだったのでしょうか。


 4バックに変更した意図もわからないので、今後どのように4バックを活用していくのかも読めないところです。
 増嶋は「4バックにした時の守り方は修正しないといけない」と話しているので、今後も実施する可能性があるのでしょうか。
 ただ、どのような状況で4バックを実施するのかがわからないだけに、その運用方法に関しても何とも言えないのが現状ですね。

 結果的にはシステムのミスマッチが少ない時には良い守備が出来て、そうではない時には課題も生まれてしまったとも言えるのかもしれません。
 それだけに今後も相手のシステムとの関係性は、引き続き気になるところとなるかもしれません。
 様々な状況に対応できるような能力を、身につけていかなければいけないのではないでしょうか。