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底を脱した感のあるジェフと3連勝中の長崎

 先週の東京V戦は、1-1の引き分けに終わったジェフ。
 前半は幾度となくチャンスも作りましたしプレスに関しては手応えもあったのではないかと思いますが、一方で勝ちきれなかった試合とも言えると思います。

 先週お話ししたように、過去2年のデータで言うとJ2で優勝するためには平均勝点1.8や2.0といった成績が必要で、POに進出するためにも平均勝点1.6か1.7が最低限の数字となります。
 今年のジェフも現在の平均勝点は1.2ということで、引き分けで得られる勝点1では平均が下がってしまうことに。
 これがサッカーの勝点計算における、難しいところなのでしょう。

 「アウェイで引き分け」というと悪くない結果のようにも見えますが、平均勝点1では優勝はもちろんPO進出も厳しく、下位争いに加わるペースになってしまう。
 相手が非常に強く勝点1を拾えれば良いというようなチームならば良いのかもしれませんし、ホームで必ず勝てるチーム状況なら悪くもないのでしょう。
 しかし、どちらも当てはまらない状況だったと思いますし、勝点1という数字から考えても東京V戦はどちらにとっても「痛み分け」という表現が合っているのではないでしょうか。


 今週末、ジェフがホームで対戦するのは、1年でJ2降格となった長崎です。
 現在長崎は7位と、PO圏内を争うポジションにいることになります。
 J1降格組であるため上位予想をする意見も多かった印象ですが、個人的には開幕前にも話したように元々そこまでの戦力はない印象ですから、苦戦する可能性もあると思っていました。

 現在のJ2首位は水戸ということで、長谷部監督が奮闘している印象もあります。
 しかし、一方で戦力的に言えば水戸はやはり厳しい状況だと思いますし、今後他チームが浮上してくる可能性も十分にあるでしょう。
 逆に言えば、ジェフも含めて予算と戦力が豊富なチームがだらしない状況になっているとも言えるのでしょうし、ここからどのチームが巻き返すのかが夏以降の見どころとなるのかもしれません。


 長崎は今年から手倉森監督が指揮を執っており、フラットな4-4-2で戦っています。
 町田のように前後左右にコンパクトというよりは、ピッチ全体のバランスを大事にして、細かなポジション修正でスペースを管理するスタイル。
 ボックス守備からボールを奪って、ワンタッチを多用しつつサイドを仕掛ける攻撃が特徴で、攻守に手倉森監督らしいサッカーとなっている印象です。

 ここ最近は3連勝と好調な長崎ですが、3試合連続でゴールを決めている呉屋の活躍が特に目立っています。
 呉屋は昨年G大阪からレンタルで徳島に移籍し第4節ジェフ戦でもゴールを決めていましたが、その後は活躍できず今年はG大阪から長崎に再レンタルとなっています。
 長崎に移った呉屋は昨年よりもプレーから自信を感じますし、現在6ゴールと結果も残しています。

 チームとしての長崎は3連勝中とはいえすべて1点差での勝利となっていますし、前節徳島戦、前々節金沢戦は1-0での勝利で、ピンチも幾度となく作られていました。
 ゴール前での粘りやGKのプレーが目立つ場面も多く、まだ完全に波に乗ったと感じるようなチーム状態ではないと思います。
 ジェフとしても、付け入る隙はあるのではないでしょうか。


 ジェフはここ2試合、4バックのチームと戦っていますが、ミスマッチをうまく味方につけているように思います。
 岐阜戦では相手のプレスがはまらず中央で縦パスを出すことができ、東京V戦でもシャドーとボランチのところで数的優位を作れて、相手を攻め込めていました。
 不安もあった守備に関しても、しっかりとプレスの準備ができていたと思います。

 ただ、岐阜は4-2-3-1、東京Vは4-1-4-1でしたが、長崎は4-4-2ですので、また状況は変わるかもしれません。
 さらに過去の2チームはパスサッカーでしたが、長崎は素早く縦に攻めるサッカーをしてくる印象がありますので、積極的に縦へ展開することによってジェフのプレスを回避してくる可能性もあるでしょう。
 サイド攻撃が多いことも含めて、岐阜、東京Vとはまた系統の異なるチームと言えるでしょうから、それに対する対応能力が求められるかもしれません。


 過去2試合のジェフは前半のプレスで圧倒して、優位に立つ展開となりました。
 しかし、日本人監督はプレスだけならできるけれど、そこからのプラスアルファが作れないことが多い印象も受けます。
 エスナイデル監督はそのプレスも整備できなかったわけですから、そういった意味では確実に改善されている部分もあるとは思います。

 けれども、J2でも上位を目指すためには、もう一歩何かが必要になってくるのではないかと思います。
 特に現状のように選手が一生懸命に走ってプレスを成立させるサッカーでは、夏場や疲労が蓄積されたときに苦戦してしまう可能性も考えられる。
 やはり攻撃面において、1つ確実な形を作るのがテーマとなっていくのかなという気がしています。


 過去2試合はある程度やりたいこともやれたのでしょうし、順位も14位と徐々に上がってきていることになります。
 江尻監督も就任直後は良かったものの、その後はフラフラした時期があって低迷してしまった印象がありましたが、やりたいことがはっきりしたことでチームの底は脱したのかもしれません。
 しかし、ここからさらに上に行くためには、より自分たちの強みを明確に作っていく必要があるのではないでしょうか。
 
 迷走から脱するためにまずは懸命に走ってプレスをかけるという手段は良かったのかもしれませんが、90分間持たないという現状もあります。
 チームのさらなる発展を考えれば、より効率的なプレスをかけられるようになることも必要になってくるのではないでしょうか。
 底を脱して中位の順位まで上がれたとして、そこからさらに上を目指せるのかどうかという段階に入っていくのかもしれませんね。