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鹿児島戦で浮き彫りになった攻撃の変化と千葉ダービー

 今週末はいよいよ千葉ダービーとなる、ジェフ対柏戦が行われます。
 公式戦としては2014年の天皇杯以来となる千葉ダービーですが、リーグ戦ではお互いJ2に降格した2010年以来となります。
 奇しくもあの時にも、江尻監督とネルシーニョ監督が両チームの指揮を執っていたことになります。

 J1からJ2に降格した今年の柏は、開幕から4連勝と好スタートを切りました。
 しかし、第5節岡山戦で敗れると、そこからは低迷して連勝もなし。
 ここ5試合も1勝1敗3分で最下位岐阜にこそ1‐0で勝利していますが、前々節愛媛には1-3で敗北、前節福岡戦も辛くも1-1で引き分けと下位チーム相手に苦しんでいます。


 今年の柏はネルシーニョ監督らしく、ゆっくりとしたパス回しを展開しています。
 しかし、そのパスワークの中でレアンドロ・ドミンゲスのような攻撃の変化を付けて、決定的なパスが出せる選手がいないため、チャンスメイクに苦労している印象があります。
 クリスティアーノなどもとても良い選手ではありますが、”柔”よりも"剛"といった印象で司令塔タイプではないため、現在のパスワークの中で軸となる選手がおらず攻撃に迷いも出始めているのかなと思います。

 また、センターフォワードタイプが少なく、前線が固まってまっていないことも苦戦の要因ではないでしょうか。
 しかも、現在FWオルンガはケニア代表に選出されて離脱中。
 本日から開催されるアフリカネイションズカップに出場するということで、長期間チームを離れることになるそうです。


 それでも現在7勝7分4敗で7位につけているのは、失点の少なさが勝ち点を生んでいるということでしょうか。
 現在の総失点数は12で水戸、山形に次いで少ない数字となっています。
 一方でジェフは総失点26で、岐阜、山口に次いで失点が多い状況となっています。

 ジェフは前節鹿児島戦で約1カ月ぶりの勝利を上げましたが、それでも現在15位。
 鹿児島戦もすっきりとした試合内容ではなく、課題も残る展開だったと思います。
 守備の甘さが目立ち、鹿児島の決定力不足に救われた印象もありました。

 
 以前、現在のチームはエスナイデル監督時代に戻りつつあるのではないかという話をしました
 江尻監督就任当初は楔のパスと相手の強みを潰す丁寧な守備で、変化の兆しを感じたジェフ。
 しかし、琉球戦での寿人の起用で一度は迷走してしまった印象で、その後山形戦でハイプレス・ハイラインに戻したことをきっかけに低迷を脱しようとしていたのかなと感じていました。

 その一方で攻撃面においては、ドリブルに頼るサッカーになっていったのかもしれません。
 第10節横浜FC戦から左WBとして為田を起用したのは左WB候補が他にいないという問題もあったのではないかと思いますが、第14節岐阜戦で工藤に代えて堀米をスタメン起用したことが決定的な変化だったのかもしれません。
 ハイプレス・ハイラインを始めた山形戦が第13節でしたので、その陰に隠れて攻撃面にも変化が生まれていたということになるのではないかと思います。


 それが浮き彫りになったのが、前節鹿児島戦だったように思います。
 鹿児島は攻撃面ではうまさを見せていたものの、守備面では甘さが目立っていました。
 それによって、ジェフが自由に攻撃を作れるようになったことによって、結果的に現在の攻撃の作り方がはっきりと見えた。

 それがドリブル頼りの攻撃だったように思います。
 私も第16節長崎戦後に「為田に預けて終わり」という状況になっていたと書きましたが、鹿児島戦では解説の永井が「サポートがなくドリブルに任せている」と同じような話をしていました。
 実際、鹿児島戦では為田だけでなく堀米や茶島にボールが入っても、周りが連動して動くことが非常に少なかったと思います。


 結果的にハイプレス・ハイラインだけでなく、個人技頼りの攻撃という点においてもエスナイデル監督時代に戻ってしまっているように思います。
 確かに個人技で勝てるのであればその方が手っ取り早いとも言え、実際に岐阜や鹿児島など守備に難のあるチームには勝てているわけですが、長崎や栃木のように守備がしっかりとしているチームにはチャンスもなかなか作れなかった。
 ジェフにはメッシや久保建英のような選手はいないわけですし、これより上を目指すためには連携した攻撃を作っていくしかないと思うのですが。

 改めて気になるのは、江尻監督のやりたいサッカーというのは本当にこういったスタイルだったのかということ。
 前回監督時にはオシム監督の名前を何度も出してこだわっていた印象でしたが、オシム監督はエゴイスティックなドリブルなど大嫌いな指導者でした。
 現状の攻撃や選手起用はオシム監督のサッカーとは逆方向に進んでいる印象があるだけに、江尻監督の本当の理想とは何なのかが気になるところです。

 あるいはフロントに気を使って、継続を選んでいるということでしょうか。
 いずれにせよこのサッカーのまま成長していったとしても、ある程度のところまでしか狙えないのではないかと思います。
 それでも現状では良いということなのか、成績だけでなく内容も含めてクラブとしてのビジョンはもちろん、監督の方向性も問われるのではないでしょうか。


 お互いに理想通りとはいっていない印象のある両チーム。
 J2全体を盛り上げるという意味においても、地力がある柏にはもっと頑張ってほしいところではないかと思います。
 ただ、それは15位に低迷するジェフには言われたくないところでしょうし、ジェフも本来は岐阜や鹿児島に勝って「ある程度のところ」で喜んでいる場合ではないように思います。

 千葉ダービーは激しい展開になることも多いですし、それによってクラブとして目が覚める効果も期待したいところではないでしょうか。
 もっと上を目指さなければいけない両チームだと思いますし、今季に関してもここからの挽回を成し遂げたいところだと思います。
 そのきっかけとなる千葉ダービーになることを願いたいですね。