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増嶋「跳ね返して流れが来るのを待とうと」

 リーグ戦2連敗後に行われた、昨日の天皇杯岡山戦。
 ホームフクアリでの試合でしたが、残念ながら0-3で敗戦となってしまいました。
 私は試合を見に行けず、中継もなかったので、何とも言えないところがあります。
 
 しかし、メンバー表だけ見るとジェフも岡山もサブ組での試合となったわけですが、岡山は19歳の福元、ユ・ヨンヒョン、21歳の下口、23歳の中野、チェ・ジョンウォンなど若手が目立つ一方で、ジェフは22歳のベラスケス以外は中堅からベテラン選手が中心となりました。
 現状だとジェフはそもそも若手選手が少ないわけで仕方ない部分もあったのでしょうが、こうして改めてサブ組の選手を相手と比べて見るとクラブの将来に不安を感じてしまいますね。
 とはいえ、古川や本田、相澤、関東学院大から強化指定となった見木などもいたはずで、せめてベンチには誰かしら若手が入るだろうと思っていたのですが、リーグ戦も連敗中ということでコンサバな選択となってしまったのでしょうか。


 さて、本来は天皇杯の話をしたいところですが、試合を見れていない状況で迂闊なことは言いたくないので、町田戦後の増嶋のコメントを取り上げます。
 ジェフの公式サイトにはいまだに「引用禁止」と書かれているので要約すると、「相手のプレスが来ることも、クリアしても跳ね返されることもわかっていた。楔を入れても跳ね返されるので、跳ね返して流れが来るのを待とうという前半だった」とのことです。
 やはりこのことからも守備的な試合運びを狙っていたのでしょうし、失点はともかくとしてそれ以外の展開はある程度狙い通りだったのではないでしょうか。

 ただ、試合後にも話しましたが、それはジェフが目指すとする主導権を握るサッカーとは異なるでしょうし、「流れが来るのを待つ」という発言からもかなり消極的な発想のようにも思えます。
 そういったサッカーに今後移行するというのであればそれも構わないとは思うのですが、そうであるならより守備を強化したチーム作りをしていかなければ成立しないのではないかと思わなくもありません。
 1つの大敗から選択を変えてチームが中途半端になり、結果的にがたっと崩れる…なんてこともありえなくはないですから、戦い方の整理がもう一度求められるのかもしれません。


 また、町田戦で気になったのは、プレスもかけられずセカンドボールでも後手に回ってしまったこと。
 増嶋のコメントから察するとそこも諦めていたのかなと思わなくもないですが、セカンドボールを拾えれば主導権を握れていた可能性はあります。
 しかし、ジェフは柏戦でもセカンドボールを拾われ、攻め手がなく終わった印象です。

 プレスがかけられず、セカンドボールを拾えていない要因の1つに、システムの問題があるのではないでしょうか。
 柏や町田は4-4-2だったのに対し、ジェフは守備時に5-3-2のシステムになる。
 状況によっては相手の2トップを5バックで見るような時間帯も生まれますが、そうなるとジェフから見て中盤から前の人数は5対8で数的不利となってしまいます。


 エスナイデル監督時代も、4バックの方が前方に人数をかけられる分、プレスはかけやすかった部分があったと思います。
 また、町田はサイドからの攻撃が主流であるため、ジェフのシャドーがサイドを守らざるを得なくなった。
 それによって、前へのプレスにいけなかった部分もあるのでしょう。

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 使い回しの図ですが、ジェフのシャドーは相手SBをケアしつつ、1トップを追い越して相手CBへもプレスに行かなければならないのが基本。
 これがジェフのハイプレスにおけるファーストディフェンスとなるだけに、シャドーがサイドの守備に回るとハイプレスをかけづらくなるという問題が発生する傾向にあると思います。

 左右シャドーが相手のSBもCBも対応しなければいけなくなっているのも、5バックで中盤から前の人数が少ないため、1人2役をこなさざるを得ない状況になっているのではないでしょうか。
 さらにクレーベもプレスへの貢献度が低いため、余計にシャドーの負担が大きくなり、結果的にサイドを攻め込まれるとプレスをかけられないといった問題が起こっているように思います。
 クレーベも要所要所では相手選手を追いかけていますが、あくまでも守備が限定されている状況であって、自らプレスのキッカケとなるファーストディフェンスにはなり切れないでしょう。


 そういった問題を考えると、4バックに変更するという考え方もできるのではないかと思います。
 例えば4-2-3-1なら左右SHだけでなくトップ下がファーストディフェンスに入れるかもしれないし、中と外を見なければいけないシャドーと違ってSHは外でのプレスに専念できるかもしれない。
 さらに中盤から前の人数も増えることによって、セカンドボールを拾いやすくなる可能性もあるかもしれません。

 ただ、エスナイデル監督時代の4バックがそうであったように、4バックだと後方に人数が減る分プレスをかわされれば縦パス一本でピンチになる恐れがある。
 さらに5バックだと横一列を5人で守るため、ハイライン裏へのスルーパスのコースを消しやすいというメリットもあるのではないでしょうか。
 また、ハイライン時の4バックは被カウンターでSB裏を取られることも多かったですが、3バックならWB裏をCBがカバーしやすいという意図もあるのではないかと思います。


 その他に3バックの効果を考えるとかなり古い話にはなりますが、ベルデニック監督がジェフ時代になぜ3バックなのかを聞かれて、相手の2トップを1対1で抑えられる2CBがいないからという話をしていた記憶があります。
 特に2000年頃のJリーグは強力な外国人FWが多かったので、相手の2トップに対してストッパー2人とリベロ1人で対応した方が良いという判断だったのではないでしょうか。
 現在とはリーグの状況もカテゴリも異なるとはいえ、ジェフもCBには不安があると思いますし、リベロがカバーできるメリットは似たような部分が考えられるのかもしれません。

 一方でオシム監督は、4バックのSBには走力、技術、守備力、フィジカルなど、様々な能力が必要であると話していました。
 要するにSBには総合的に戦える選手が求められるということで、日本代表では駒野や加地がいたため4バックを実施しましたが、ジェフではそういったSBが少なかったため実行しなかったのかもしれません。
 現在のジェフは基本的に攻守両面で貢献できる選手が極めて少ないですから、4バックは実行しにくいという面もあると思います。


 さらに江尻監督は単純に失点が多い状況でエスナイデル監督からバトンを渡されたため、守備に人数をかけた5バックを選んだという可能性もあるでしょう。
 ただ、あれからある程度時間もたちましたし、ハイラインも諦めるのであればまた状況が変わってくることになります。
 安田もここからコンディションが上がるのであれば、貴重なSB候補となるかもしれません。

 ただ、まずはどのようなサッカーをするのかが、何よりも大事だと思います。
 一度はハイプレス・ハイラインに挑戦したものの、柏戦で敗れたことで町田戦では無理をしなかった印象もあった。
 その後どう戦うのかが重要であり、それによってシステムや選手起用なども変わってくるでしょう。