この試合のDAZNの解説は巻でした。
本人のFacebookによると本来は7月20日の鹿児島対岐阜戦でDAZNデビューの予定だったはずが、悪天候で中止となったため実現せず、この日がDAZNデビュー戦となったようです。
このまま鹿児島担当の解説として、まずは勉強していくということなのかもしれませんね。
まだ"新人"なので前半はふわふわしていた印象もありましたが、後半には慣れてきたのではないでしょうか。
ただ、サッカー指導者もそうですが、サッカー解説者も多少は毒があった方がいいようにも思います。
ジェフの歴代のレジェンドは良い人が多いだけに、少し心配な気もしますね。
それはともかく、ジェフは1-2で逆転負けを喫してしまいました。
やはり同じパスサッカーのチームということもあって、試合内容は琉球戦にも近いものがあったのではないかと思います。
ただ、アウェイ連戦ということもあって、コンディションはこの日のほうが厳しかったのかもしれませんが。
琉球戦でも相手のパスワークを中盤から前で止められず、ゴール前で堪えたと話しましたが、この日も鹿児島のパスワークを止められなかった印象です。
それでも琉球戦は相手の最後の精度に助けられて90分を無失点で終えることが出来ましたが、さすがに180分は耐えきれなかったともいえるのかもしれません。
ゴール前で堪えるだけの守備では相手のミスを待つようなことになりますから、守り切るのは厳しいということでしょう。
これで鹿児島は6試合ぶりの勝利ということになるそうです。
特に鹿児島は失点も多く勝ち星から遠ざかっていたわけで、ジェフは攻撃面でも課題が感じられた試合だったと言えるのではないでしょうか。
連戦中のジェフは一歩進んで二歩下がったともいえるのかもしれませんし、この反省を今後に活かしていかなければいけないと思います。
■激しい展開もCKからジェフが先制
ジェフは熊谷が出場停止明けでスタメンに復帰し、小島はメンバー外。茶島がスタメンで左SHに入り、為田が控えに回しました。
金曜日に選手登録が完了した米倉は、メンバーに選ばれず。
鹿児島は前節負傷交代した赤尾が欠場で、堤がスタメンに。
ボランチの八反田もスタメンに復帰しました。
ジェフアカデミー出身の砂森は、この日も左SBでスタメン出場となっています。
立ち上がりからジェフが積極的なプレスをかけますが、3分に鹿児島の決定機。
GKアン・ジュンスからのロングキックに、酒本が反応してシュート。
GK鈴木が触るもののゴール方向に流れますが、鳥海がライン際で何とかクリア。
その直後、ジェフの攻撃。
中盤左サイドの下平から、シンプルなアーリークロス。
クレーベが頭で合わせますが、距離もありバーの上。
10分、鹿児島のチャンス。
中盤でボールを奪ったところから、裏を取った酒本が右サイドで仕掛けてグラウンダーでマイナスのクロス。
五領がスルーして、八反田がフリーでシュートを放ちますが大きくふかします。
その直後、ジェフの攻撃。
左サイドの熊谷から、アーリークロス。
クレーベが頭で合わせますが、ポストの左を逸れます。
14分にはジェフのチャンス。
右サイド高い位置でボールを奪い、堀米からクレーベへ。
クレーベがシュートを放ちますが、GKアン・ジュンスがセーブ。
19分には鹿児島がチャンス。
左サイドからのCKを五領が蹴ると、こぼれ球を中盤で藤澤が拾ってミドルシュート。
これにニウドが合わせてゴールネットを揺らしますが、ぎりぎりオフサイド。
21分にも鹿児島のチャンス。
左サイドでのCKから、ニアの堤がつないで酒本へ。
酒本がフリーでシュートを放ちますが、枠を外してしまいます。
前半途中からは鹿児島がジェフの間を突くパスワークで、チャンスを作っていきます。
しかし、28分、ジェフ左サイドのCK。
これを堀米が蹴って、クレーベがニアから飛び込み先制ゴール。
29分、鹿児島の攻撃。
右サイドでのテンポの良いパスワークから、フリーになったニウドがミドルシュート。
しかし、GK鈴木がセーブ。
31分にはジェフの攻撃。
右サイドからのCKを堀米が蹴ると、ニアですらして船山が中央で合わせます。
しかし、シュートは枠の外。
その後も激しい展開が続き、鹿児島がパスワークから攻撃を作り、ジェフは守ってカウンターという展開に。
しかし、スコアは動かず1-0で折り返します。
■後半は鹿児島ペースで逆転負け
51分、鹿児島の攻撃。左サイドからのCKを五領が蹴ると、ニウドがニアで合わせます。
しかし、枠に飛ばしきれず。
その後も鹿児島の猛攻が続きます。
53分、鹿児島のCKの流れから、枝本、藤澤と右サイドで繋いで、酒本がフリーで裏を取ります。
しかし、ゴール前に供給したボールは、ゲリアがクリア。
後半から運動量も落ちて、劣勢が続くジェフ。
55分には、堀米を下げて勇人を投入。
矢田を右SHに回します。
しかし、58分、堤からのスルーパスを受けた砂森が、ゲリアをかわしてカットインしてお膳立て。
牛ノ濱がシュートを決めて1-1。
63分、ジェフは茶島に代えて為田を投入。
その後は若干試合が停滞しましたが、73分。
左サイドで、五領が勇人を抜き去ってクロス。
これを酒本がダイレクトで合わせて1-2に。
ジェフはその直後、矢田を下げて寿人を投入し、船山を右サイドに。
ビハインドになって、前目の選手を入れ替え、プレスを強化していきます。
84分、鹿児島は酒本を下げて萱沼を投入。
同点ゴールを狙いたいジェフでしたが、89分には鹿児島のチャンス。
萱沼が左サイドのスローインから、ボールを受け直して抜け出しシュート。
しかし、GK鈴木の正面。
後半AT、鹿児島は五領を下げて田上を投入。
その後、ジェフはパワープレーも実施しますが、ゴールは遠く。
1-2で敗戦となりました。
■鹿児島のオートマティックな攻撃
試合前にも話した通り、鹿児島はバイタルエリアで前を向く形を作るのがうまかったですね。琉球が動きながらボールを動かすチームなのであれば、鹿児島はバイタルエリアでポイントをしっかりと作って、そこから攻撃を作るのが得意なチームともいえるのかもしれません。
そこからワンタッチを多用し、ジェフの守備の目先を変えて、チャンスを狙っていく。
ジェフは基本的にラインが高いだけにバイタルエリアで前さえ向ければ、一気に攻撃の選択肢が増えチャンスになる可能性が高まっていきます。
バイタルエリアを狙う動きも、ワンタッチでの展開も、チームとして共通理解が出来ているだけに、周りの選手がそれに合わせて動き出すことが出来ている印象です。
バイタルエリアを狙っておけば相手ボランチが下がるし、相手ボランチが下がれば味方ボランチのところでボールを持てて、そこから展開することが出来る。
さらに中盤中央でボールを持てれば、相手が中央を警戒しサイドも空いてくる。
この日のジェフはサイドから失点していますが、それも中央からの攻撃に苦戦していたからというところもあったと思います。
また、ジェフのボランチはこの試合に限らず、バイタルエリアの選手も止められないだけでなく、そこを気にして下がって相手ボランチを開けてしまうことが多い。
かといって2トップが下りてくることも少ないため、ボランチからのパスワークに対して後手に回ることが多い印象です。
全体のラインを高く保というのが基本だから、FWが下がって守備をしないということなのかもしれませんが、常時ラインを上げることは厳しいですし、チーム全体でどうボランチをケアするのか約束事を築き上げなければいけないはずです。
また、1-3で逆転負けをした横浜後にも話しましたが、ジェフは1点を取れても追加点が奪いきれないことが多い。
この日は前半から飛ばして失速してしまったことも大きいのでしょうが、1点を取って勢いが落ちた印象もありました。
この課題は以前からみられる印象で、それによって勝ち点が伸びていないようにも思います。
では、なぜ追加点を奪えないかと考えるとさまざまな要素があるのでしょうが、鹿児島を見ているとオートマティックな攻撃が出来ていないように感じました。
鹿児島は後方からビルドアップをして、バイタルエリアを突いて、そこからワンタッチで展開するという基本的なルールを築き上げることが出来ていたと思います。
だから、基本的にどんな状況でも、その攻撃を狙うことが出来る。
しかし、ジェフは左サイドに多くの選手が流れるというルールこそできたものの、そこからの攻撃は基本的に即興だと思います。
だから、この日もアバウトなアーリークロスが多かったし、後半は運動量が落ちてサイドに密集することすらできず、攻撃の狙いが見えてこなかった。
オートマティックな攻撃が出来ていないから、1点を取って勢いが落ちたらそこからどう攻撃していいのかわからなくなってしまう。
もちろん鹿児島のようにがっつりとオートマティックな攻撃が必ず必要かと言えばそうでもないのでしょうが、チームとしてどう攻撃を作るのかまだまだアバウトな印象です。
だから、クレーベの能力やセットプレーに頼ることが多く、90分間安定して戦うことが出来ていないように思います。
チームとして安定した戦いをするためにも、攻守により具体的なルールを作っていかなければいけないのではないでしょうか。