前節鹿児島に敗れたジェフは、工藤と米倉をスタメン起用。
米倉もクロスの質や飛び出しはさすがでしたが、特に工藤の方が持ち味を見せていたと思います。
ただ、久々の出場ということもあって、90分持たなかったですね。
しかし、右サイドからリズムは作れたものの、それ以上にその右サイドから相手の攻撃を受けてしまい、逆転負けを喫してしまいました。
結果的にはマイナスの方が多かったようにも見え、守備の大きな課題が浮き彫りになった印象です。
ゲリアをメンバー外としたジェフですが、やはりサイドの守備は選手だけの問題ではなかったことが、明確になってしまったように思います。
■流れは愛媛もジェフが2点先制
ジェフはゲリア、堀米がメンバー外で、米倉と工藤がスタメン。矢田、茶島がベンチに回り、為田、小島がスタメンに復帰しました。
ベンチからはベラスケス、勇人が外れ、エベルトが入っています。
愛媛は吉田が契約のため出場できず、神谷がスタメンに復帰。
36歳のベテランGK岡本はここまで全試合フル出場を果たしていますが、22歳の神谷、長沼、茂木、23歳の下川、山崎など、多くの若手が主力として活躍しています。
20歳でジェフU-18出身の竹嶋も、一時はCBとしてスタメンに名を連ねていましたが、現在はベンチに入っていません。
5分、愛媛のチャンス。
プレスをかいくぐられたところから、下川が米倉の前で受けてフリーでクロス。
近藤が合わせますが、枠をとらえきれず。
10分にも愛媛の攻撃。
左サイドでのパスワークから下川がクロス。
ゴール前に鋭いボールが上がりますが、ゴール前であわず。
ジェフはプレスをかけていくもはまりきらず。
愛媛も後方でのパスミスが目立ち高い位置で奪うシーンがありましたが、ジェフはそこからシュートまで持ち込めません。
愛媛はボールを散らしてサイドからの展開で、チャンスを狙っていきました。
10分以降は均衡状態でしたが、23分にも愛媛のチャンス。
神谷がジェフの間でボールを受けて縦パス。
藤本が受けてシュートを放ちますが、GK鈴木がセーブ。
流れは愛媛かと思われましたが、32分にジェフが先制。
左サイドからのクロスに対して、バウンドしたボールと競り合ったところで相手DFがクレーベを倒してPK。
これを船山が蹴ると、ポストに当たってゴール。
35分にもジェフの追加点。
右サイドの小島からアーリークロス。
これにクレーベが飛び込んで合わせて2-0。
その後も愛媛がチャンスをうかがいますが、スコアは動かず。
ジェフが2点リードで折り返します。
■試合終盤に3点目を浴び逆転負け
後半開始と同時に、愛媛は野澤に変えて山瀬を投入。神谷がボランチにまわり、山瀬がシャドーに入りました。
後半開始直後、愛媛の決定機。
カウンターで近藤がクロスを上げると、ファーの下川があわせてゴール前に供給。
これを藤本が合わせますが、GK鈴木がファインセーブ。
48分にはジェフのチャンス。
相手のクリアミスからクレーベがキープして、小島がパスを出し、米倉が飛び込みます。
工藤、船山、クレーベがシュートを放ちますが、相手DFがブロック。
50分には愛媛の攻撃。
長沼からのパスをうまく引き出した山瀬が、裏に飛び出します。
そのままシュートを放ちますが、GK鈴木がセーブ。
53分、ジェフの攻撃。
工藤からのパスを受けた米倉が、シンプルなクロス。
クレーベが頭で合わせますが、GK岡本の正面。
その直後、愛媛が1点を返します。
前野からのロングパスに近藤が反応して裏を完全にとると、新井が倒してPK。
これを近藤自ら決めて1-2に。
58分にも愛媛の同点ゴール。
後方からのロングボールを藤本がキープすると、神谷への落としは少しずれますが、そこから左サイドの下川へ。
フリーになった下川がミドルシュートを決めて2-2。
同点ゴールを挙げて勢いを増した愛媛が、64分にもチャンスメイク。
左サイドからのパスワークで、山瀬からのボールを受けた下川が大外でフリーに。
最後は藤本が飛び込みますが、合わせきれず。
その直後にも愛媛のチャンス。
CKのこぼれ球を拾い、最後は山瀬がクロス。
下川が完全にフリーな状況でシュートを放ちますが、大きくふかしてしまいます。
69分、愛媛は藤本をさげて丹羽を投入。
同時にジェフも為田に代えて茶島を起用。
76分、工藤が倒れて交代し矢田が投入されると、小島が右SH、矢田がボランチに入りました。
この時間帯は愛媛の運動量が落ち、ジェフが攻め込む時間帯に。
81分には愛媛は神谷をさげて有田を投入。
有田が左シャドーに入り、山瀬がボランチに下がりました。
83分、愛媛のチャンス。
左サイドの下川からグラウンダーのクロスを上げると、丹羽がシュート。
しかし、GK鈴木の正面。
その直後にはジェフの決定機。
矢田からのスルーパスを受けた、クレーベがシュート。
しかし、GK岡本がファインセーブ。
その直後にもジェフの攻撃。
左サイドの茶島から、パスを受けた船山がシュート。
しかし、コースはなく枠を外れます。
89分、ジェフは船山を提げて寿人を投入。
しかし、後半AT、愛媛が中盤で得たFKから、下川を走らせてクロス。
これをファーで折り返され、最後は丹羽が決めて2-3。
時間がない中、ジェフはゴール前にボールを放り込みます。
しかし、クレーベのラストシュートはGK岡本が正面でキャッチし、逆転負けとなりました。
■工藤・米倉コンビの特徴と課題
久々の投入となった工藤は、前半から良い展開を作れていたと思います。素早く動き回って、シンプルに縦パスを展開することで、攻撃のリズムを作っていました。
なぜここまで試合から遠ざかっていたのか、疑問に感じる出来だったと思います。
また、米倉も前の飛び出しやクロスの精度で、要所要所では効いていたと思います。
しかし、あくまでもボールを受ける側の選手ですし、米倉主導で攻撃が作れたという場面は少なかったと思います。
それでもゴール前にはクレーベがいるし、ゲリアのクロスが期待できなかっただけに、可能性は感じられたかなと思います。
米倉をいかすために、前方にはゲームメイクのできる工藤を置いたのでしょうか。
ただ、結果的に工藤を起用したことによって、チーム全体が工藤中心の攻撃になってしまいました。
それによって、左サイドで密集して攻撃を狙うパターンは、ほぼ見られなかったと思います。
そのため、左から右の米倉へ、大きな展開というパターンも見られなかったですね。
米倉も単独ドリブルが得意な選手ではないだけに、前を止められて苦しんでいた印象もありました。
工藤が交代してからも、右SHには左利きの矢田ではなく右利きの小島が入りましたし、もう左サイドでためる展開はあきらめたのでしょうか。
また、守備においては、工藤と米倉の課題も多かったと思います。
前半は工藤のプレスの意識が高かったためか、それに米倉が反応して前に出なかったせいか、2人の距離が開いてしまい、神谷に間を取られることが多くみられました。
さらに外の下川を90分間通して止めきれず、フリーにさせてしまっていました。
前節なども感じましたが、外に選手が張っているときに、SHが見るのか、SBが見るのかはっきりしない印象です。
そこはチームの約束事の問題でもあると思いますし、その結果として前節はゲリアが苦しんだところもあったと思います。
米倉も守備に関してはやはり雑なところがある印象で、守備面だけを見ればゲリアの方がまだ対応できていたともいえるのではないでしょうか。
とはいえ、この日が移籍後初のスタメンですし、ここからの改善を期待したいところです。
もっとも工藤と米倉はプレー経験があるはずですが、前後関係は初めてでしょうか。
ただ、右SHは固定化されていない状況でもあるだけに、次も工藤とコンビを組むかどうかはわかりませんが。
全体的に見れば愛媛ペースだったと思いますし、愛媛の方がうまくパスを回せて守備の意図もはっきりと感じた試合だったのではないでしょうか。
そう考えると、劇的な逆転負けとなってはしまいましたが、妥当な結果だったように思います。
ただ、新戦力が入ったとしても一気に向上するということはないですし、米倉は勝手知ったる選手なだけに、とびぬけた期待はできないだろうとも思っていました。
ここから、一部変わったこのメンバーでどう戦うのか明確にしていくことが大事ですね。