前節ホームで甲府にも敗れてしまったジェフは、8月の4試合を全敗で終えたことになります。
ジェフの4連敗は2016年10月以来となるので、実に4年ぶりです。
ただし、昨年も8月の4試合は1分3敗と1勝もできず、一昨年も8月16日から9月10日までの5試合で勝ち星を上げられず2分3敗。
この季節が、ジェフにとっての鬼門となっていることになります。
もっとも、ここ数年はそれ以外の季節も苦戦していたことが多かったと思いますし、チームがうまくいっていないところに夏の暑さが加わってさらに成績を落とす傾向にあると言えるのではないでしょうか。
今週末はアウェイで町田と対戦しますが、町田も苦戦しているチームということになります。
町田は6月29日にジェフと対戦し、2-1で勝利していますが、そこからは4連敗。
さらに、その後の4試合も2分2敗と、8試合勝ち星なしの状況となっていました。
なお、町田は6月末のジェフ戦前の4試合でも、勝ち星なしの状況でした。
ジェフ戦を除けば12試合も勝利から遠ざかっていたわけで、ジェフは貴重な勝ち点3を町田にプレゼントしていたことになります。
今年のジェフは、そういったケースが多い気もしますね。
町田の戦い方は変わっておらず、守備では前後左右にコンパクトな隊形を形成し、全体が小さなボックスとなってボールサイドに寄せていく。
そこからボールを奪って、素早く縦に展開すると、多くの選手が絡んでシュートまで持ち込んでいく。
今では珍しいサッカーとなっている印象です。
それだけにハマれば強いのかもしれませんが、弱点などもはっきりしていて、対策を取られると弱いところがあるのではないでしょうか。
特に長いボールでボックスの外を取られたり、縦に素早く放り込まれることによって、ボックス内を省略されると脆さがあるように思います。
また、攻守に運動量を求められるサッカーなだけに、夏場に入って大きく失速してしまったのかもしれません。
加えて、攻撃面では得点力不足にも悩まされているようです。
昨年はセットプレーからのゴールがJ2で最も多かった町田ですが、今年は大幅に減っていることも苦戦の要因ではないでしょうか。
なお、現在の町田は総得点28でJ2では3番目に少なく、ジェフは総得点34で8番目に少ない数字となっているそうです。
しかし、昨年プレースキッカーとして得点源となっていた平戸は、レンタル元の鹿島に戻るも出番がなく、この夏に町田に復帰。
また、東京VからはFW林をレンタルで補強し、神戸からはCB小林友希をレンタルで獲得しています。
そして、前節は岡山に3-0と快勝しています。
成績が出てない間も戦い方は変わっていないだけに、この勝利で流れが変わってくる可能性もあるのかもしれません。
また、徐々に気温が落ち着いてきたこともあって、スタミナ面の不安もなくなるかもしれない。
さらに、平戸や小林といった若い選手たちが、うまく噛み合えば…といったところでしょうか。
対するジェフは、6月末に町田に敗れて以降、7月は2勝2分1敗とまずまずの成績で終えていました。
しかし、冒頭でも話した通り、8月は4戦全敗。
一度は感じられた可能性を、再び折られてしまった格好となります。
ただし、個人的には7月の好成績も一時のコンディション向上と、福岡や琉球など相手チームにも問題があって結果が残せたものではないかと思っていました。
確かに左サイドに選手が密集する展開は、新たなパターンではありました。
しかし、そこから確実に崩した展開はあまり多くはなく、大きな変化とまでは感じられなかったといった印象です。
ようするに、左サイドに密集するという"型"は作ったものの、まだその中身は熟成されていなかった。
それだけに、この戦い方によって大きくチームが飛躍するかどうかは、わからない状況だったと思います。
そして、実際に8月に入って1つ負けると、右SH堀米は外して工藤と米倉を右サイドで起用し、また"型"が変わってしまったことになります。
そのため、その後の連敗も驚くほどのことではなかったように思います。
現在の成績は7勝9敗13分で17位ですが、町田も同じ7勝9敗13分で得失点差で18位となっています。
目下のライバル同士の戦いということになります。
片や長年スタイルが明確なチームで、片や未だに戦い方がはっきりしていないチーム。
この両チームがほぼ同じ成績というのは意外とも捉えることが出来るかもしれませんが、昨年の経営規模を見るとジェフが約28億円で町田は約8億円と大きな差があります。
町田はJ2の中でも非常に小さなクラブですし、サイバーエージェントが買収したのも単純に少ない費用で、首都圏のJ2クラブを購入できるということが大きかったのではないでしょうか。
予算規模で言えばJ2下位で苦しんでいる場合ではないジェフですが、こうなってしまった以上、まずは残留を目指さなければいけないと思います。
個人的には江尻監督が就任した時点で、降格さえしなければ成績は良いので、まずはチームをしっかりと作ってほしいと思っていました。
ただ、こうやって降格の可能性が目の前にある状況になると、じっくりとしたチーム作りも難しくなってきますね。
そもそも、江尻監督が就任して半年近くたっているわけで、ここまででも自分のやりたいサッカーを明確に提示するチャンスはあったと思います。
しかし、今に至ってもそれが出来ないわけですから、ここからそれを期待するのは難しいのではないでしょうか。
しかも、江尻監督の場合、前回監督時にも自分のサッカーを打ち出せなかっただけに、環境だけの問題ではないということになると思います。
そう考えると、降格を目の前にして割り切ったサッカーをした方が、逆に良い方向に進む可能性もあるのではないでしょうか。
エスナイデル監督の初年度も、ハイプレス・ハイラインを実施しようとしたものの、細部を詰められず相手にも対策を取られて苦戦していった。
そこで割り切って引いて守ってカウンターを実施することによって、終盤の巻き返しが偶発的に生まれたのだと思います。
現状はまだ残り13試合あるわけですから、割り切って戦うには少し早いのかもしれません。
しかし、現状だとチームとしてのやりたいサッカーも定まらないから、戦い方における目標も中途半端。
さらに、昇格も厳しく残留争いも言うてそこまでハードではないので、成績面での目標も中途半端となっている印象です。
この中途半端な状況を脱しなければ、ダラダラと残り試合を消化しかねないと思います。
よく聞く話ではありますが、まずは現状に対して危機感を持つことが必要なのかもしれません。
その上でどういった戦い方をしていくかが、問われてくることになりますね。