前半はジェフの選手たちが全く動けず、同点ゴールが決まるまではほぼワンサイドゲームと言っていいような内容だったと思います。
あのまま進めば今季ワーストの試合になりかねないといった印象で、チームの士気にも大きくかかわるのではないかとすら考えていました。
しかし、町田も一方的な試合だった前半のうちに追加点を奪えず。
決定力不足の問題を感じ、それがこの順位に表れているのだろうなと感じました。
やはり下位に沈んでいるチームにはそれなりの理由があるのでしょうし、町田の場合はそれが決定力なのではないでしょうか。
後半に入ってからは町田の運動量も落ち、ジェフも前半よりは動けるようになったと思います。
しかし、それでも町田の方が確実にチャンスを作っていった印象で、逆に後半の方が地力の差を感じたようにも思います。
ジェフとしては勝点1を取れて助かったといった試合展開だったと思いますし、内容に関して言えば課題山積みで変わらず…といった印象でした。
■ジェフは防戦一方も同点で折り返し
ジェフは前節途中出場した増嶋がスタメンとなり、エベルトが欠場。勇人、為田もスタメンに復帰し、堀米、熊谷が控えに。
控えからは工藤が外れて、新井が復帰しました。
前節岡山戦で久しぶりの勝利をあげた町田は、スタメンを継続。
夏に神戸からレンタルで加入した19歳のCB小林や、鹿島から完全移籍で復帰した22歳のMF平戸も出場。
富樫敬真は、2試合連続でメンバー外となっています
キックオフ直後から、町田が攻め込んでいきます。
3分、町田のチャンス。
左サイドからロメロ・フランク、森村、平戸とつなぎ、こぼれたところを李漢宰が拾って豪快なミドルシュートを放ちますが、枠の右。
12分にも町田のチャンス。
右サイドのスローインから森村が下平を振り切って中央に繋ぎ、奥山が受けてさらに中央へ。
最後は平戸がシュートを放ちますが、枠を捉えきれず。
21分にも町田のチャンス。
小林からの高精度のロングフィードに土居が飛び出すと、GK鈴木が反応します。
しかし、はじいたところを中島が競って、ロメロ・フランクがシュートを放ちますが、GK鈴木の正面。
28分にも、町田の決定機。
平戸の縦パスのこぼれ球を、李漢宰が拾ってワンタッチで裏へ。
裏で受けた土居が中島に繋ぐと、中島がフリーでシュートを放ちますが、枠を捉えきれず。
町田のシュート練習のような展開に。
ジェフはボールへの寄せも遅く、全体が押し込まれセカンドボールを拾えない展開に。
クレーベへの放り込みだけが攻め手となっていましたが、サポートも遅く攻撃機会も作れません。
33分、町田がついに先制。
右サイドの奥山が左足に持ち替えてアーリークロス。
こぼれたところを拾ったロメロ・フランクが、シュートを決めて先制。
その後も町田が攻め込みますが、39分にジェフがワンチャンスで同点にします。
後方からのロングボールをクレーベが落とすと、船山が左サイドに展開。
下平がクロスを上げると、クレーベが頭で合わせて1-1。
その直後にもジェフが決定機。
下平からのロングフィードに為田が競り勝って、そのままクロス。
船山が足もとで受けてシュートを放ちますが、枠の外。
町田は先制して油断したのか、寄せも戻りも遅くなってしまった印象でした。
チャンスの数は圧倒的な差でしたが、1-1で折り返します。
■お互いに運動量も落ち1-1の引き分け
51分、町田の攻撃。町田が左サイドから攻め込んでいき、こぼれたところを李漢宰がミドルシュートを放ちますが、GK鈴木がセーブ。
その直後、町田は李漢宰に変えて井上を投入。
58分にも町田のチャンス。
中盤左で得たFKを平戸が、中央へ供給。
土居が頭で合わせてバー直撃のシュートを放ちますが、その前にオフサイド。
後半に入ってからは、前半程の町田の運動量はなくなっていった印象でした。
逆にジェフは1点を取ったこともあってか、前半よりも動けていたと思います。
しかし、確実に攻撃の形を作っていったのは、町田の方だったと思います。
60分、町田は森村を下げて林を投入し、土居が左SHに回って林が前線に。
65分にも町田の攻撃。
左サイドからのCKを平戸が蹴ると、混戦となり林がシュートを放ちますが、ゴール前で勇人がクリア。
その直後には、ジェフの攻撃。
奥山のパスミスから、為田が持ち上がってクレーベへ。
クレーベがシュートを放ちますが、GK増田の正面。
68分、ジェフは茶島を下げて見木を投入、そのまま右SHに入りました。
75分にはジェフの攻撃。
右サイドからのCKを船山が蹴ると、最後は鳥海が合わせますが、GK増田がキャッチ。
77分、ジェフは船山を下げてアランを投入。
その直後、ジェフの決定機。
見木の落としを勇人がワンタッチで繋ぎ、米倉が抜け出すとグラウンダーのクロスをアランが合わせますが、枠を捉えきれず。
両チームとも運動量が落ち、間延びする展開に。
79分、町田は土居を下げて戸高を起用。
85分、ジェフは為田を下げて安田を投入し、安田がそのまま左SHに入りました。
90分、町田の決定機。
戸高からの縦パス。
中島が少し引いてフリーになってフリーでシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。
その後も町田が攻め立てる展開が続きますが、2点目は決まらず。
そのまま1-1で試合終了となりました。
■サイド攻撃にクオリティの差
前半のジェフは、本当にひどかったですね。クレーベが守備で貢献できないこともあってCB小林の前を止められず縦パスを蹴られるし、中盤でも前に出ていけずに簡単にフリーな選手を作ってしまう。
中盤から前で後手に回ったこともあって、DFラインも上げられずに押し込まれ、さらにセカンドボールを拾われてしまう。
一方で攻撃においても、ロングボール1本でクレーベがポイントになる展開は作れた。
しかし、そこへのサポートが遅いので、孤立したまま終わってしまう。
攻撃が作れないから押し返すこともできずに、攻守に劣勢に立たされていた印象でした。
町田は前回対戦時にも感じましたが、攻撃の作り方がやはりうまいですね。
遅攻時にも速攻時にも、サイドの大外に1人の選手がボールを受けに行く。
そこでポイントを作ることによって、相手の守備を横に広げる。
同サイドのSHだけでなく、時にはFWが、時にはボランチが大外に陣取って、起点になっていた印象です。
ジェフもサイド攻撃を狙う方向性に関しては変わりません。
しかし、そこから縦に仕掛けて、クロスを上げるという展開ばかりになっている。
攻撃パターンがそれだけなので、相手は対策を取りやすいし、ゴール前もクロスの予測ができてしまう。
だから、攻撃が単調に見えるし、深みを作れない。
サイドを取れても、クロスを跳ね返されて終わりというシーンが少なくないと思います。
一方で町田はサイドの大外を起点にしつつ、そこにボールが入ったら必ず誰かがサイド内寄りのエリアに、タイミングよく走り込んでくる。
それによって、サイド攻撃なのだけど、大外ではなくゴールに近いエリアで仕掛けることが出来る。
または、クロスだけでなく、サイドから切り込むパターンを作り、相手の守備の的を外すことが出来る。
後半に何度か、町田の選手がペナルティ脇でボールを持って、大外でフリーな選手がいる場面がありました。
大外に繋げば簡単にクロスを上げる展開でしたが、あえてそこは繋がずにそこで仕掛ける選択肢をしてきました。
そのことからも、町田のサイド攻撃はただ大外を取ってクロスを上げるのではなく、サイドから相手を確実に崩してシュートまで持ち込みたいという狙いを持っていることを感じました。
一方のジェフはサイドでボールを持っても、そこから崩そうという狙いはほとんど見られない。
何とかサイドの裏を取ってクロスを上げようという意思は感じるものの、狙いがそれだけなので攻撃に可能性を感じにくい。
このあたりが、町田のサイド攻撃とジェフのサイド攻撃の大きな差ではないでしょうか。
もちろん町田にも課題はあって、相手を崩せてもゴールを決めきれない。
守備においても後半は戻りが遅くなったため、結果的にジェフのカウンターに対して苦戦する場面もあった。
さらに守備の高さの部分においても苦戦する傾向にあるため、クレーベ1人に手を焼くことが多かったと思います。
ただ、トータルで見ればチャンスを作れたのはやはり町田の方だったと思うし、勝点3に近かったのも町田の方だったのではないでしょうか。
そこは単純にチームの積み重ねの差であり、明確な狙い作りにおける差が大きかったのではないでしょうか。
ジェフとしては久々にとった勝ち点ではありますが、これに満足することなくしっかりと反省して次の戦いに進んでほしいところだと思います。