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ゲリアを投入し4.5バックで守ったジェフ

 2-1のジェフリードで迎えた水戸戦の85分。
 ジェフは右SHの茶島を下げて、ゲリアを投入しました。
 どこでプレーするのか当初はわかりませんでしたが、そのまま右サイドの外でプレーしたことになります。

 60分に勝ち越してからのジェフは、長い時間水戸に攻め込まれる状況が続きました。
 そのため、ゲリアを投入してからは5バックで戦ったという見方もできるでしょうが、厳密に言うと相手がボールを持った時には5バックになり、為田と工藤または船山がシャドーの位置で守る5-2-3のようなシステム。
 しかし、ゴールキック時などにはゲリアが前に上がり、左SBの下平は前に出ない4-4-2でした。


 そのため、変則的な5バックであり、4.5バックにも近いような戦い方をしていたと言えると思います。
 4.5バックは関塚監督が解任直前にも実施していますが、あの時は他に手の打ちようがないようなチーム状況だったことも大きかったと思います。
 当時のエントリーはこちらで、その時の図は以下の通り。

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 この時の戦い方と、基本的には近いものがあるでしょう。
 ただ、運用方法は違って、あくまでも水戸戦では逃げ切り策だったはずで、長時間これをやることはないのかもしれません。
 しかし、根本的なところで言えば4-4-2で確固たる守備が確立されていないからこそ、この変則的な布陣になったのではないでしょうか。


 水戸戦では相手SB志知が良いボールを蹴るということもあって、ゲリアを投入して対応させたというところもあるのかもしれません。
 しかし、以前にも話しましたが、G大阪から帰ってきた米倉は守備時にCBの横に張り付く傾向を感じます。
 そこから高い位置までチェックに飛び出すことはありますが、サイドでバランスを取るポジショニングをするという動きが出来ていない印象です。

 その分、サイドの外にはスペースが出来てしまうため、ゲリアを米倉の外に置くことでサイドを埋めようとしたのかもしれません。
 また、言い方を変えれば、米倉はCBの横に張り付くということで、CBに近いポジション取りをしていたともいえるでしょう。
 そう考えると米倉が5バックで右CBに近い守り方をしても大きくは変わらないため、変則的な5バックが実施できたとも捉えられるのかもしれません。

 実際には変則的な5バックになってゲリアが同じ高さで近くにいたこともあって、米倉はいつも以上に積極的に外や前へアプローチに行っていた印象もあります。
 飛び出してもゲリアがその裏をカバーしてくれるので、米倉もアプローチに行きやすかったのかもしれません。
 こういった動きを見ると厳密にはCBではなく変則的なSBと言えるのではないかと思いますし、フィジカルがあってCBもこなせそうなゲリアがカバーしていたからこそ成り立っていたのではないでしょうか。


 5-2-3にも近い守り方ということで、4-4-2に比べると後方に人数を集める分、中盤が空いてしまうことになります。
 しかし、ジェフは4-4-2でもバランスの良い守備組織が作れず、水戸戦では前半から中央でグラウンダーのパスをどんどん縦に通されていました。
 それだけに、中盤から前が薄くなるデメリットは少なかったのでしょう。

 実際、90分には中盤でフリーになったボランチの前が、ミドルシュートを放っています。
 失点シーンでもフリーの前にミドルシュートを決められていただけに、警戒しなければいけない状況だったはずです。
 失点時は中盤の戻りが遅くやられており、90分は相手の攻撃に全体が押し込まれたため前がフリーになった展開で厳密には状況が異なるとはいえ、どちらの守備も決して万全な状況とは言い難かったと思います。


 変則的な5バックにでもしなければ、サイドも埋められず対応しきれなかったと判断したのでしょうか。
 確かに南アフリカW杯を戦った岡田監督も、日本人選手は4人で横幅を埋めきれない。
 だから、阿部を中盤のセンターに置いたということで、あのシステムは一般的に4-1-4-1と言われていましたが、岡田監督自身は中盤を横並びにした4-5-1だったと話しています。

 ジェフ戦での水戸も見方次第では、サイドをうまく埋めきれなかったと言えるのかもしれません。
 本来の水戸の守備は4-4-2のボックスで相手の攻撃を限定して、サイドに追い込んで潰す形だと思います。
 しかし、ジェフは個人技で素早くサイドを突破するため、ジェフを遅らせる前にサイドで1対1で勝負を仕掛けられ苦戦したということになるのかもしれません。


 サイドを埋めきれないのであれば、5バックを検討するということも考えられるでしょう。
 しかし、5バックだと今度は前へのプレスがかけにくくなるし、4バックとのミスマッチも生まれやすい。
 だから、ジェフも4バックに変更したのでしょうし、どのシステムも一長一短があるはずですから、うまくデメリットを隠してメリットを打ち出す戦い方を見つけ出さなければいけないはずです。

 ジェフも堀米や工藤など右SHには守備に不安がある選手が多いし、米倉も中央に絞り気味になる傾向がある上、局面での守備が拙い印象があります。
 そのため右サイドの守備に不安がある上、前からのプレスやバイタルエリアの埋め方にも課題が残る。
 だからこそ、水戸戦では最終的に5バックにしてゴール前に人数を増やしたのでしょうが、それでも危ないシーンは何度かあったと思います。

 攻撃は勢いでいけるところもあるかもしれませんが、守備に関してはそうはいかないところもあるのではないでしょうか。
 残り試合で、少しでも守備が改善するかどうか。
 攻撃の改善ももちろんですが、守備に関しても引くだけでなくバランスよく守れるように成長していってほしいところですね。