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残り10試合で17位のジェフ 終盤に求められるものは

 天候が安定せず、気温差が激しい時期となってきましたね。
 これを経て秋に進んでいくのでしょうが、連休中はまた雨の予報もありますし、台風の影響で被災された方々が心配です。
 ジェフも今週末の試合は15時キックオフということで、季節の変化を感じます。

 先週末のジェフは、水戸を相手に7試合ぶりの勝利を上げました。
 それでも8勝10分14敗と大きく負け越しており、順位も1つしか上がらず現在17位となっています。
 昨年の最終順位が過去最低の14位だったことを考えれば、残念な成績であることに変わりないでしょう。


 今年のJ3降格枠は2枠で、現在のところ最下位の岐阜は勝点24、21位の栃木は勝点25となっています。
 ジェフは勝点34ですので、数字上はまだ順位がひっくり返る可能性も残っていることになります。
 ただ、個人的にはこれまでにも何度か話しているように、残留に関しては楽観視しているところもあります。

 順位は最終的にクラブの総合力で決まるものだと思いますし、J1でも残留争いをした経験から、下位の勝点差はたった1でも非常に大きな数字であるという印象があります。
 上位争いの勝点1はあってないようなものですが、下位チームは勝点1を拾うのも簡単ではありません。
 それだけに、降格争いは勝点差で感じる感覚以上に、順位を逆転することは難しいものだと思います。


 実際にJ2が現在のチーム数になった2012年から、残り10試合での順位の変動をまとめてみました。

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 表示の問題もあるので、下位2チームに直接関わったチームしか記載していませんが、毎年J2の下位争いは数字上接戦となっています。
 しかし、実際に残り10試合で大きく入れ替わったケースは、22チーム制の初年度となった2012年くらいで、その後はほとんど順位に変動はありません。
 そのため、現在17位のジェフは、ほぼ安泰と言っていいでしょう。

 もちろん今年が異例となる可能性もあり、残り全試合で全敗するようなことがあれば降格となる恐れもあるでしょう。
 しかし、チームとしては降格をちらつかせて選手に発破をかける、あるいはマスコミが騒ぎ立ててネタにすることなどはあるかもしれませんが、冷静に考えるとそこまで焦る必要はないと思います。
 むしろ選手たちは勝ち星から遠ざかってプレッシャーを感じているという話も出ていましたし、残留に関しては安心して試合の臨んだ方がいいのかもしれません。


 試合内容も水戸戦を振り返ると、攻撃面は調子が上がっているのかもしれません。
 左サイドでSHとSBだけでなくボランチやトップ下も絡んで、最後は縦に抜けてクロスという主な狙いは以前から変わっていないと思います。
 ただ、気温が下がってきたことによって、個々のコンディションが上がり1対1での質が高まったこともあって、状態が良くなっているのかなといった印象です。

 最終的には為田の仕掛けで終わることが多いだけに、特に為田の調子が上がってきたことは大きいのだろうと思います。
 逆に言えば為田に依存している攻撃からは変われていないため、為田の好不調で攻撃の出来が変わってしまうとも言えるのでしょう。
 それだけチームとして組織的な攻撃が出来ていない状況からは、抜け出せていないということになるのではないでしょうか。


 パスサッカーはボールを動かす分夏場に強いという見方もされますが、今のジェフはそれとは逆のサッカーをしているともいえるだけに、気温が下がってくると調子が上がる可能性もあるのかもしれません。
 これは2017年終盤の7連勝にも、近いところが言えるのではないでしょうか。
 あの時も為田が好調だった印象でしたし、調子に波のある印象もある為田はこの時期に強いところがあるのでしょうか。

 一方で守備においては相変わらず課題も多く、組織としての守り方が明確にされていない印象です。
 水戸戦終盤に変則的な5バックにして後方を固めたのも、通常のやり方だとスペースを埋めきれないからでしょう。
 2017年終盤もハイプレス・ハイラインを諦め引いて守ってカウンターにシフトして好転していった印象でしたが、あの時と同じように今回も守備に関しては何とか後方を固めて穴を埋めるしかない状況ということなのかもしれません。


 しかし、2017年も7連勝に浮かれて翌年は開幕時から失敗したように、しっかりと内容を吟味していかなければいけないはずです。
 攻撃においては力押しな左サイドの攻撃だけでなく、他のエリアでも攻撃を作れるのか。
 あるいは縦への勢いだけでなく、しっかりと崩せるパターンなどを構築できるのか。

 守備においても、プレスの改善やバイタルエリアの埋め方やサイドの守り方は。
 水戸戦で勝利したとはいえ、多くの課題が残っていることに変わりないと思います。
 あの年と同じ轍を踏まないように結果や勢いだけでなく、チームとして正しい方向に進んでいるのかを見ていかなければいけないのではないでしょうか。


 今週末、ジェフがホーム・フクアリで対戦する相手は徳島。
 徳島は現在14勝8分10敗の勝点50で9位ですが、6位大宮が勝点54ですので、まだPO進出の可能性は残されています。
 また、前節長崎戦は1-1の引き分けでしたが、そこまでは4連勝と好成績を収めています。

 スタイルは変わらず、後方から細かくつないで前を向く形を作って、そこから展開する攻撃が特徴的です。
 ワイドに選手を張らせて相手を左右に開かせておいて、中盤の間を狙ったり、裏へ飛び出したり、ワイドに展開して仕掛けたりといったパスワークを展開してきます。
 多彩な攻撃ができるチームですね。

 一方で守備においては、一部メンバーも入れ替わって、以前よりもアグレッシブにプレスをかけてくる印象もあります。
 それがうまく機能して、ここ5試合負けなしとなっているのでしょうか。
 長崎に引き分け連勝が止まったところで、その勢いが収まるのか、それともまだ持続できるのかに関しても、シーズン終盤に向けて重要なポイントとなるのでしょう。


 徳島は後方からパスを繋いでくるチームなだけに、ジェフとしてはプレスの設定など含めて、どのように守るのかを考えて臨まなければいけないように思います。
 前回対戦時は1-1の引き分けに終わっていますが、その時は開始早々に見木が得たPKで先制したため、その後は無理にプレスをかけず守備的に戦うことが出来ました。
 しかし、早い時間にリードしなければ割り切った守備は出来なかったと思いますし、相手が簡単にビルドアップを作れる状況を作らせて良いのかという問題も出てくるかもしれません。

 また、現在の徳島は3バックですので、ミスマッチをどう埋めるのかに関しても見どころとなるのではないでしょうか。
 前節長崎戦でも2シャドーの関係でうまくバイタルエリアを取って、野村からのパスを受けた渡井がゴールをあげ、前々節岡山戦でもパスワークから野村がゴールを決めていますので、シャドーをどう捉えるのか。
 また、ワイドに開いた両WBにも仕掛けが得意な選手を置いているだけに、そこも警戒しなければいけないと思います。


 一方で徳島も守備的なチームではないだけに、引いて守る展開やカウンター対策に関しては弱さがあるのかもしれません。
 ジェフとしてはうまく3バックの横を突いて、攻撃を展開したいという展開になるでしょうか。
 殴り合いの展開になる可能性もあるのかなとも思います。

 また、リカルド・ロドリゲス監督が就任してからの徳島は魅力的な攻撃を作るものの、詰めの甘さや勝負弱さを感じるところもあります。
 PO進出を目指す上で落とせない試合が続く状況だと思いますが、その中でしっかりと結果を残し続けることが出来るのか。
 そこが現在の徳島において、越えなければいけない壁と言えるのかもしれませんね。


 ジェフとしては昇格も難しい状況ですし、残留争いに関しても安心していい展開だと思います。
 だからこそ、目先の結果などではなく、中身を大事にしてほしい状況となっていくのではないでしょうか。
 来季に向けて何を残せるのか、選手や監督が将来に向けて何を示せるのか。

 現状のままでいけば、来季はまた体制も含めて大きく変えていかなければいけないのではないかとも思います。
 その中でも残すべきものは誰なのか、あるいは何を次に繋いでいくべきなのか。
 ここまで低迷した原因を考えると、その判断力に問題があるクラブだとも思いますし、しっかりと分析していかなければけないのではないでしょうか。


 さて、ここからは蛇足になります。


 先日つぶやいた内容にいくつかのリアクションを頂いたので、本来は書く予定もなかったのですが補足しておきます。
 話の内容からして最初に持ってこようかとも迷ったのですが、ダラダラと長くなってしまいますので最後に持ってきました。


 確かに7試合ぶりの勝利は嬉しいものでしたが、ナビスコ優勝時に阿部が「余韻に浸るのは12時まで」と話していたようにいつまでも勝利に浸ってはいられないですし、そもそも7試合も勝てなかったことが根本的な問題だと思います。
 これが頑張って頑張り抜いてJ1昇格を果たした、優勝を決めた勝利だったのであれば私も感動したのでしょうが、現状の成績では選手の涙を見ても「プレッシャーは大きいものだったんだな」と感じるくらいで一歩引いて見ていました。
 これは2008年の残留時にも似た思いを感じ、あの時も嬉しい思いもあった一方で、なぜ残留争いに巻き込まれたかが問題ではないかと感じていたのですが、クラブはそれを有耶無耶にしたまま翌年に進み、降格という事態に陥ってしまいました。

 ジェフサポは2008年の残留劇だけでなく2016年終盤の7連勝時などにも感じたのですが、その瞬間瞬間の感情に引っ張られすぎる印象もあり、そこで油断してその後に大きな痛手を被るという展開を繰り返しているように思います。
 何度かサポコミなどに足を運んでいましたが、2008年末のサポコミは特に油断しきった緩い雰囲気だったことが忘れられませんし、近年では優也など選手も「ジェフは一喜一憂しすぎる」という話をしていたはずです。
 もちろん今回はまだ1勝でそこまでの油断はないとは思いますが、過去に同じような失敗を繰り返してここまで低迷したことや、現在の成績・試合内容などを考えれば、気を引き締めるべき状況ではないかと思い上記のつぶやきをしました。


 また、台風の件に関しては、オシム監督のエピソードを思い出します。
 オシムさんは「戦争で学んだものはあるか?」と聞かれ、「ない」と答えています。
 「あると言ったら、それは戦争を肯定することになるからだ」と話していたのが、とても印象に残っています。

 今回の台風に関しても、千葉県が台風で甚大な被害を被ったから、ジェフがいつも以上に頑張れて結果も残せたという話にはしたくない。
 そうしてしまえば、結果的に台風の被害を肯定しかねないし、本当に苦しんでいる被災者に対しても失礼に当たりかねない。
 だから、試合直後にも「あまりピッチ外の話と試合を絡ませたくはない」と書きましたが、サッカーを語るのであればまずはピッチで起こったことに目を向けるべきではないかと私は思います。


 ツイートのタイミングからして、光栄なことにエルゴラの記者から反論を頂けたのかなと思うわけですが、確かに新聞を売ることなどを考えれば多数派のサポに訴える感動的な内容を書いた方がよいのでしょうし、それが一概に悪いこととも言えないと思います。
 私が問題視したのはそこではないし、上記ツイートもエルゴラに関して突っ込んだのではなく、気になったのはサポがあの試合をどのように捉えて、結果的にどうそれがチームやクラブに影響を与えるのかです。
 あるいは記者というものはその場で何が起こったのか、時には感情や情景なども含めて何があったのかを伝えるのがお仕事なのだろうとお察ししますが、私にとってそこは二の次であり何よりもチームが強くなってほしい、皆が誇れるクラブになってほしいと思うことが一番であり、そのためにもまずはサッカーの内容を語るべきだろうと思っています。

 もちろん私などがサッカーを語ることによってチームが強くなるのかという問題も大きいわけですが、オシム監督は「観客が理解を深めればサッカーそのものも良くなっていく」と話していたこともあり、常日頃から「もっと試合内容を注視しなさい」という趣旨の話をしていたわけで、そこが私のサッカーの見方に関するベースとなっているわけですが、近年ジェフの番記者になられた方などにはそれがわからないのかもしれません。
 あるいは2008年残留後の緩い雰囲気から翌年の降格も近年ジェフに携わった方たちは知らないでしょうが、古株になりつつある私などが老害だと言われようともそれを語り継ぐ必要があるのではないかとも思います。
 また、下手なりに私も毎日のようにブログを書いているわけで、そういった感情論的な話題などを取り込んだ方が書くネタが増えて助かることもわかりますし、大衆にウケる美しい内容を意識した方がTwitterなどで評価されやすいのも理解していますが、周囲に嫌われてでも正しいと思った意見を口に出す必要性といったものも時にはあるはずです。


 一言で申し上げれば、立ち位置の違いということになるのかもしれません。
 そのため意見の相違が出ることは大した問題ではないとも思うわけですが、今回問題なのはそういった立ち位置の違いを理解しようともせず、さらに「本物だ」、「サポーターだ」と大きな主語を持ってきた上で自分の正義を振りかざそうというのであれば、それは物を書く者として随分なことなのではないかなという点。
 私も長年ブログを書いてきましたから多くの方々とやりあってきましたが、「サポーターはこうあるべき」、「本物とはこうである」と抽象的な正義でもってマウントを取ろうというやり口は相当なものではないかなと感じます。

 ただ、現在のSNSにおいては「抽象的な正義」などがすごくウケることも理解できますので、そのステージでマウントを取ることには成功されたとも言えるのでしょう。
 しかし、私はそういったステージに立つつもりもなければ、そもそもサッカーの見方・語り方に関する根本も違うようですから、やはり相容れないということになるのではないでしょうか。
 そうであるのなら、ある程度の距離感を持ってやっていくのが賢いやり方ではないかと思いますし、ジェフに限らずサポと一定の距離を取って活動する記者も多いと思うのですが、今回のように簡単にサポを語られてしまえば黙ってもいられなくなります。


 ジェフのエルゴラ番記者は頻繁に変わる印象もあるので今回も腰掛で終わるのかもしれませんし、その時その試合の記事がウケればいいのかもしれません。
 しかし、ファンやサポーターというのは基本的に移籍は出来ないものですから、本来は現在だけでなく過去も背負って未来も考えて長い目も持ってクラブを考えていくものではないかと思います。
 客観的に見て現在のジェフは順風満々とは程遠くそれを解決する術も作れていない状況と言えるでしょうから、そこから脱せない限りは一喜一憂せず冷静に見ていく必要があるのではないかと私の立場では思います。

 何度も取り上げますが、オシム監督が「見る側のレベルを上げること」を重視して、早10年以上たっています。
 その中で果たして見る側のレベルは上がったのか、メディアは、サポーターは、日本全体でどうか、そして今のジェフはどうなのか。
 「見る側のレベルを上げる」ためには、もっとピッチ上での事象に対して集中しなければいけないのではないかと思いますし、それが出来ていないから一喜一憂してしまうところもあるのではないかと思います。
 メディアもサポーターも含めてもっとそこを追及すべきなのではないかと主張するというのが、私の立場で言うべきことなのだろうと私は思います。