為田「僕を含めて決定機が何本もあった」

為田大貴「僕を含めて決定機が何本もあったので、課題として明白に残った。ゼロで終われていればチームとして良かったが、失点は試合の中で絶対あるので、チームとして2点目を取らないといけない試合だった。」(Jリーグ

 徳島戦に関して、為田は自分にも決定機があったので、決めなければいけない試合だったと感想を述べています。


 為田が言う自身の決定機というのは、13分の場面でしょうか。
 カウンター気味に下平が縦に蹴ると為田が反応し、岸本に競り勝って前を取り、そのまま切り込んでシュートまで持ち込んでいます。
 ただ、対面の石井は冷静にシュートコースを消していましたし、「あとはシュートを決めるだけ」とまでは言えなかったようにも思います。

 また、86分にも為田のチャンスがありました。
 中盤でジェフがボールを奪ったところから熊谷が持ち上がり、米倉がクロスを上げるとニアで相手DFが先に触りますが、ファーにボールがこぼれて為田がシュートを放つも、相手DFがブロックしています。
 このシーンもゴール前には複数人相手選手がいてコースは狭かっただけに、惜しかったとは思うものの、シュートを決めるのは簡単ではなかったように思います。


 そもそも為田は縦へのドリブル突破は魅力的ですが、シュートなどがそこまでうまい印象はあまりありません。
 過去の成績を見ると最多ゴールは大分時代の2016年の6ゴールですし、昨年は2ゴールしかあげていません。
 前線の選手ではないとはいえ、攻撃的な選手であることを考えれば物足りなくも感じますし、得点力が高い選手とは言えないでしょう。

 ただ、2列目の選手ですし得点を奪えなくても、その分チャンスを作れればいいと思います。
 それだけに為田に関して問題なのは、決定機を決められなかったことよりも、クロスでチャンスを作り切れないことではないでしょうか。
 特に徳島戦は試合序盤から為田が縦に抜けてもクロスが合わない場面が目立ちましたし、そちらの方が為田の役割を考えれば深刻な課題と言えるのではないでしょうか。


 もともとそこまで抜群にクロスの精度が高いという選手ではないのかもしれませんが、徳島も含めて為田に対しては蹴らせてもOKといった形でゴール前で跳ね返す対応を考えているチームが少なくない気もします。
 クロスの精度で言えば、下平などの方が鋭くピンポイントでボールを供給できる上に、ゴール前をよく見て狙えている印象です。
 それと比べてしまうと為田のクロスは、雑に感じることが多いようにも感じます。

 もちろんチームとして他の攻撃パターンが少ないこともあって、為田の仕掛けによって攻撃を作れているのは事実。
 しかし、クロスやシュートの精度、縦だけでなくゴール前に侵入するプレーなどが物足りないこともあって、ここまで在籍したチームでもエースにはなりきれなかったのかなと思わなくもありません。
 為田のために周りお膳立てをし守備をしていることも考えれば、もう少し最後の質を高めていかないとここからの発展は厳しいようにも思います。


 個人的には日本代表にも選出された、中島も似た部分を感じる選手だと思います。
 為田は縦に仕掛けてクロス、中島はカットインからのシュートが好きな選手ですが、どちらも一芸に強みがあるのは一緒。
 しかし、守備に関してはさぼることも多く、周りを活かすプレーはあまり得意ではないなど、基礎的なプレーに関しては雑な印象も残ります。

 中島に関してオシム監督が、以前このよう話をしていたことを思い出します。

10番の選手を手放しで褒めちぎるのは、その後の手のひら返しに繋がる危険性がある。彼が見せたプレーは悪くはないが、プレイメイカーとしてはコレクティブとはいえなかった。
すでに述べたように彼はよくボールを失い、チームは危険な状況に陥った。全体が前がかりになったときに失えば、組織を作り直すのは簡単ではない。(中略)
もちろん彼に独特の感覚があり、ひとりで何かをやることができる選手であるのはわかる。それだけのキープ力が彼にはある。欠けているのはラストパスを出す能力だ。しばしば彼はラストパスを出すべき相手にパスを送らなかった。(Number

 為田は左サイドに密集する展開が増えたことで、結果的に以前よりは周りを使うプレーも増えたかもしれません。
 それでも最終的には自分が仕掛けてチャンスを作ることが多いわけですが、ラストパスやクロスが合わずにボールを失うことが多いように思います。

 また、中島は先日の試合で守備をさぼったことで、ポルトガル代表の選手としても有名だったセルジオ・コンセイソン監督に激怒されたことが話題となりました。
 為田も同様に局面局面では守備に入るものの、今でもアリバイ守備をすることがある印象です。
 オシム監督も中島に関して「スターを持ち上げる傾向がある」と話していますが、ここまで守備面をしっかりと怒られてこなかったからポルトにきてこんなことが起こったのではないかと思わなくもありません。


 J1時代からジェフの選手を間近に見てきましたが、J1とJ2において大きく違うのは、細かなプレーに関する許容範囲ではないかと思います。
 J2に落ちてからボールを失っても歩いて戻る選手が増えたし、細かな守備をさぼることも普通になってしまっている印象があります。
 そして、何よりもそれに関して怒る選手や周囲の関係者が少なく、許されているように感じることが、特に降格直後に違和感を覚えました。

 オシム監督時代のジェフは組織的に献身的なサッカーをすることが特徴で、そこからJ2まで一気に崩れ落ちたクラブだっただけに、特に目立って見えたところもあったのかもしれません。
 また、細かなミスなどがあったとしてもJ2では直接それが失点にはつながらないことから、許容されてしまっているところもあるのではないかと思います。
 しかし、そういったプレーを許すということは低い次元でのサッカーに慣れてしまうということになりますし、チームはもちろんのこと選手のためにもならないはずです。

 もちろん1プレー1プレーの問題は、為田だけでなく他選手にも言えることでしょう。
 ジェフは大きく見るとJ2降格後も右肩下がりで成績を落としている印象ですが、その中でチームがうまく噛み合わない、戦術的な問題があるというだけでなく、選手のクオリティも徐々に落ちつつあるところがあるようにも思います。
 それに対して簡単に許容するのではなく、しっかりとあがいてプレー内容を追求することが大事なのではないでしょうか。