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ボランチ鳥海のカバーリングと今後の可能性

 岡山戦の66分、勇人に代わって鳥海が出場。
 そのままボランチに入りました。
 先週、本村をボランチで起用するのであれば、鳥海を検討すべきではという話をした直後だったので、少し驚きました。

 本村に関しては、大学に戻ったのではないかと言われています。
 しかし、個人的には徳島戦の終盤に本村が出場したのは、今後に向けての慣らし運転も兼ねたものなのではないかとも思っていたので、若干残念な思いもあります。
 このタイミングで大学へ復帰することはわかっていたでしょうから、今年ラストチャンスとなる試合で出場させたのは、戦力としてよりも流経大の顔色を窺ってのことだったのでしょうか。


 鳥海がジェフU-18時代にボランチとしてプレーしていたことは、サポーターの中では有名な話だと思います。
 それだけに鳥海ではなくボランチ経験が浅い本村が起用されたのは意外でしたが、大学との関係でともかく本村を使うことが重要だったのでしょうか。
 途中出場で若い本村を起用するのであれば、CBよりもボランチのほうが無難だったということなのかもしれません。

 岡山戦での鳥海のプレーは、まずまずの内容だったと思います。
 初めは久々のボランチ起用で戸惑っていた印象もあったし、周りに遠慮していたところもあったように思います。
 また、全体的に間延びしていた状況で、守備バランスを整えるのは難しく、目立ったプレーも少なかったと思います。


 しかし、周りをよく見て、ポジショニングを細かく修正しバランスを取る。
 または、後方の相手選手の位置を確認しながら、パスコースを消す動きをする。
 ボランチに限らず現在のジェフの選手たちは、そういった細かなプレーへの意識が薄い印象もあるだけに大事な動作だったと思います。

 また、本来はCBとしてプレーし、ジェフU-18時代にはアンカーとしてプレーしていた時期もあったためか、DFラインをカバーする動きもスムーズだったと思います。
 特にジェフのDFラインは全体がスライドする意思が薄い一方で、ボールサイドに選手が食いついてしまうところがあるため、ぽっかりとスペースが空いてしまうことが多い。
 それだけに鳥海がそのスペースを埋めるために、DFラインまで下がってカバーする動きは地味に重要だったと思います。


 42分にイ・ヨンジェが左サイドを突破し、中野がニアで合わせたシーンでも、ボールサイドに米倉や矢田、勇人などが集中して、ファーに増嶋と新井がいる状況で、その中間には選手がいませんでした。
 米倉が縦に突破されたことと増嶋が中野に前を取られたことが大きな問題だったとはいえ、中間に選手がいなかったためイ・ヨンジェから中野のパスコースが生まれて決定機を作られてしまっています。
 熊谷が1列前にいたわけで、そこを埋めるために下がってほしい状況だったと思うのですが、熊谷はボールウォッチャーになっていて、穴を埋めきれなかった印象です。

 そのシーンを図で表すと、このような状況に。

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 図の黒円で示した通り、ニアの選手たちとファーの選手たちの間に選手がおらず、ぽっかりと空いてしまったことで決定的なパスを通されています。
 相手のカウンターから守備に戻ってきた展開だったということもあるでしょうが、それを差し引いてもバランスの悪い守備状態だったと言えるのではないでしょうか。
 このシーンに限らずジェフの守備はバランスの悪さから、簡単にピンチに陥ってしまうことが多い印象があります。


 後半途中から投入された鳥海は、そういったDFラインに生まれたスペースを埋めるために、ボランチの位置からスッと1列下がってカバーすることが多かったと思います。
 そこはベンチからの指示もあったのかもしれませんが、そのスペースを埋める危機察知能力も大事なところでしょう。
 また、普段はCBとしてプレーしていただけに、DFに下がっても違和感なくラインに加わることができるし、サイズなどにも大きな問題は起こらないということになります。

 後半はチーム全体が苦戦していたこともあって、攻撃面においてはあまり目立ったプレーできなかった印象ですが、守備を重視して試合に入ったのかもしれません。
 また、ジェフは後半スタート時から相手のロングボールの落としを警戒してか、ボランチが低い位置でプレーすることが多かった印象もあります。
 その分、押し込まれてしまったところもあったのかもしれませんが、鳥海としてはまず守備の改善を考えるべき状況だったと思いますし、仕方のないところだったのではないでしょうか。


 ボランチとしてはサイズや高さの面は問題ないと思いますし、何より賢くプレーできる選手ではないかと思います。
 今のジェフにはそういった部分が足りていない印象もありますし、特にボランチとしてインテリジェンスの面は重要な要素なのではないでしょうか。
 ただ、岡山戦では地上戦での1対1の対応において苦労していた印象もありましたし、もう少し粘り強く対応できるようになりたいところなのかもしれません。

 現状だと熊谷も勇人も、負傷中の小島もプレーがパッとしない印象があるだけに、ボランチとしての鳥海の可能性にも期待を残したいところではないかと思います。
 ボランチとしてプレーしていくためにはプレースタイル的に自分からどんどん攻撃を作るタイプではないはずですし、相方のボランチと連携を深めて攻守のバランスを築いていくことが大事ではないかと思います。
 エスナイデル監督時代には右SBとしてスタメン出場するなど器用な選手でもあると思いますし、はまればうまくいく可能性もあるのかもしれません。


 ただ、一方で鳥海は以前から若干周りの先輩たちを気にし過ぎているのか、プレーが委縮しているところがあるような気もします。
 もしそうなのであれば、本人のメンタル的な問題というのもあるのかもしれませんが、そういった状況になっている周りの選手や監督などにも問題があると言えるのではないでしょうか。
 若い選手が思い切ってプレーするためには、周りのサポートも絶対に必要だと思いますし、そういった状況が作れているのか。

 乾の時などもそうでしたが、今のジェフは若い選手をサポートしよう。
 のびのびとプレーさせようという意識がどこか薄い気もしますから、そういったところも問題点としてあげられるのかもしれません。
 江尻監督のことですから、ボランチ鳥海の起用もまたすぐになくなってしまうかもしれませんが、残り試合で注視していきたいポイントの1つなのではないでしょうか。