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ミスを待つ山形とミスの多いジェフ 1-4でジェフの惨敗

 山形を相手にホームで1-4の敗戦となったジェフ。 
 失点はジェフのミス絡みが多く、見栄えにも悪いものとなってしまいました。
 それも含めて言えば、惨敗と言っていいでしょう。

 ただ、ジェフのミス絡みとはいえ偶発的な試合展開ではなく、今の山形は相手のミスを誘うサッカーをしている。
 全員で守備をして全員が走って、自分たちが極力ミスの少ないサッカーをしながら、相手のミスをじっくりと待つ。
 そこからカウンターで攻撃して、ゴールを奪うサッカーをしていると言えると思います。


 一方のジェフは、非常にミスが多い印象を受けます。
 チームとしての約束事もアバウトだし、選手1人1人のプレーも雑なところが多い。
 この日に関しては高い位置でボールを刈りに来る山形に対して、ビルドアップの問題が大きく出た試合だと思いますが、守備面などでもミスの多さは変わらないと思います。

 ミスを待つサッカーをしてきた山形と、ミスが多いジェフとの試合で1-4の惨敗となったわけですから、これは必然ということになるでしょう。
 ここ数戦の相手はジェフのミスを見逃してくれていたところが大きいと思いますが、もともと山形は相手のミスを狙いとしてやっているのでしょうから、そこに甘さはなかったということ。
 まずはその現実を、しっかりと受け止めなければいけないと思います。

■徐々に山形がペースを握り先制

 為田が出場停止となったジェフは、4月ぶりのスタメンとなるアランを起用。
 左に矢田が回り、右にアランが入りました。
 出場停止明けのゲリアがベンチ入りし、本田がメンバー外に。

 前節甲府に敗れた山形は1トップ大槻をベンチに回し7試合ぶりにジェフェルソン・バイアーノをスタメン起用。
 また、CB加賀も外れて松本が入りました。
 元ジェフの栗山はレギュラーで出場を続けていますが、井出は7月からスタメンを外されており、ジェフからレンタル中の高橋はいまだに山形で出場機会を得れていません。


 試合序盤は比較的静かな展開。
 ジェフはサイドを中心に攻め込みますが、山形の素早い寄せに苦しみます。
 山形もバイアーノに長いボールを蹴り込みますが、チャンスまでは作れない状況に。

 11分にはジェフの攻撃。
 下平が大外から相手を抜き切らず、高質なクロスを上げると、クレーベが頭で触ります。
 こぼれたボールが米倉の足元に流れ、米倉がミドルシュートを放ちますが、GK櫛引の正面。


 立ち上がりはジェフの方が攻める時間が長い状況でしたが、20分頃から徐々に山形が攻め込む時間が増えていきます。
 26分には山形のチャンス。
 中村からの縦パスを山岸が受けると、バイアーノと1-2の形で抜け出してシュートを放ちますが、GK優也がセーブ。

 そして、35分、山形が先制。
 山形のクリアボールを新井がワンタッチで熊谷に繋ごうとしますが、本田にボールを奪われてバイアーノが落とし、山岸が持ち上がります。
 パスを受け直した本田が、ミドルシュートを決めて0-1。

 39分、ジェフはクレーベが足を痛めると、船山を投入しそのまま前線に入りました。
 前半ATにも山形のチャンス。
 中盤で得たFKを中村が蹴ると、こぼれたところを栗山がダイレクトに繋ぎ、柳がフリーでボレーシュートを放ちますが、枠を捉えきれず0-1で前半を終えます。

■後半だけで3失点を浴び1-4の敗戦

 後半開始直後、ジェフが同点ゴール。
 米倉がアーリークロスを上げると、ファーまでボールを流れて最後は矢田がシュート。
 GK櫛引がはじいたものの、そのままゴール。

 54分、山形の決定機。
 中盤で得たFKをクイックスタートすると、フリーで山田がシュートを放ちますが、GK優也がセーブ。
 その後も山形がボールを拾ってゴールを狙い、再び山田がシュートを放ちますが、ここもGK優也が抑えます。


 その直後、山形が勝ち越し点。
 増嶋がバイアーノに高い位置でボールを奪われたところから、バイアーノが持ち上がり逆サイドに展開。
 柳が受けてシュートを放ち、GK優也がセーブするも、こぼれたところを山田が頭で押し込み1-2。

 61分、ジェフは勇人を下げて寿人を投入し、工藤をボランチに下げました。
 その直後にも山形の攻撃。
 中盤でボールを奪ったところから、中村、坂元とつないでミドルシュートを放ちますが、GK優也の正面。


 68分、山形はバイアーノを下げて大槻を投入。
 76分、ジェフは増嶋が負傷交代し鳥海を投入。
 その後もジェフはサイドからクロスを狙い、山形はボール奪取からハーフカウンターを狙います。

 79分、ジェフの残念なミスから失点。
 左サイド後方でジェフが得たFKを下平が、優也に横パス。
 すると優也の判断が遅れて、大槻がボールを奪ってゴール。


 83分、山形は坂本を下げて井出を投入。
 90分には山田を下げて17歳の半田を投入。
 山形は終盤までプレスの足を止めず、逆にジェフは攻め込むことすらできなくなってきました。

 すると92分、山形が4点目。
 山形が前からプレスをかけクリアミスを誘ったところから、山岸がつないで井出が中盤で持ち、パスを受けた柳がクロスを上げると井出が合わせて今季初ゴール。
 井出が中盤でボールを持った時点で、ジェフは誰も守備に行かず、完全に足の止まった状態でした。

 後半ATにも山形の攻撃。
 中盤でボールを持った本田が、GK優也が前を出ているのを見てロングシュート。
 しかし、これはさすがに決まらず、1-4で試合終了となりました。

■ミスの多いメンタリティの問題

 山形は戦術や狙いだけでなく、ゲームプランでも一枚上手だったと思います。
 20分までは、シンプルにバイアーノに蹴り込む。
 頭だけでなく、裏を積極的に狙っていたのも印象的でした。

 ジェフは何度か話している通り、工藤の我武者羅なチェイシングがプレスの源であり、それを失うと途端にプレスが効かなくなってしまう。
 だから、山形はまずは無理をせず、前線にロングボールを蹴り込んで工藤のチェイスを回避する。
 すると、前半途中から早くも工藤は疲れが見え始め、そこから全体のプレスも甘くなっていきました。


 さらに、ロングボールを蹴ってバイアーノに競らせる、あるいは裏へと走らせることでジェフのDFラインを下げる。
 この時に大槻だと空中戦で勝てないかもしれませんが、バイアーノなら単独でもジェフのCBに競り勝てる見込みがあると見て、久々のスタメン起用だったのかもしれません。
 ジェフの最終ラインはスピードや体力がないため、簡単にラインが下がってしまう印象もありますので、まずはそこを狙うという判断だったのでしょうか。

 実際、前半途中には江尻監督がDFラインを上げるよう指示していたそうで、バイアーノの存在もあって少しずつ押し下げられていたのでしょう。
 最終ラインが下がり工藤のプレスも弱まれば、セットした守備には不安があるジェフですから、山形からすればチャンスが生まれる。
 試合でも26分には中盤の中村をフリーにしたところから、縦パスを出されて決定機が生まれています。


 毎試合同じように、プレスが効かなくなる後半はさらに苦しんだ印象です。
 山形はロングボールを蹴り込んでこぼれ球を狙う。
 あるいは、ジェフの後方でのパスが少しでも緩いものが出たら、一気にそこへとボールを刈りに走り込んでくる展開を狙い続けていました。

 にもかかわらず、ジェフはこぼれ球への反応が鈍い、あるいはパスが緩いことが多い。
 3失点目も優也のミスが大きいことには間違いありませんが、そこへ出した下平のパスの緩さも要因の1つではあったと思います。
 私はtwitterで失点前に「下平のパスが緩いのが目立つ」とつぶやいていましたが、そこから失点にまで結びついてしまったわけで、増嶋、優也も含めたベテランがこういったことをしているとチームも締まりませんね。


 一方で攻撃に関しても、米倉のクロスばかりが目立った印象でした。
 ゴール前に飛び込む人数が多かったことは良かったと思いますし、為田がいなかったことで為田のドリブル頼りにはならず、逆にスムーズになったところがあったようにも思います。
 とはいえ、今回も中央からの展開はほとんど作れませんでした。

 ジェフは61分に勇人を下げて寿人を投入し、工藤をボランチに下げました。
 しかし、工藤を下げたことでバイタルエリアでボールを受ける選手がいなくなり、パスワークのポイントが下がってしまった印象です。
 また、船山、寿人の2トップにしてアランもSHで起用していたため、前線に人数が増えて中盤が薄くなったようにも見えました。


 確かに後半から工藤の動きを警戒したのか、山形のボランチは無理に高い位置を取らなくなった印象もありました。
 そのため、工藤がボールを触れなくなったので、ボランチに下げてゲームメイクを期待したということなのかもしれません。
 山形はいわゆるゲーゲンプレスと言うべきか、相手に持たせておいてボールを奪いカウンターを狙うサッカーでしたから、あまりジェフがプレスをかける必要性もなかったとも言えるでしょうし、工藤が守備でおもりをしていたクレーベがいなくなっていたこともあって、トップ下である必要が薄れたのかもしれません。

 しかし、パスの起点の位置が下がれば、攻撃の確実性も下がる可能性もある。
 実際、工藤がボランチから下がってからは相手の間でボールを触る選手がいなくなって、裏へ走る寿人や船山の長いボールが増えていった。
 そういった狙いも状況によっては必要かもしれませんが、長いボールばかりではどうしてもチャンスは遠のくし、相手も予測しやすくなってしまいます。


 だから、トップ下の工藤を見せつつサイドを仕掛けたり、その逆を狙ってみたり…という状況を作るのが理想ではないかと思うのですが、それがなかなかできていない。
 それぞれには狙いがあるかもしれませんが、どうも局所的な動きで単発な攻撃に見えてしまう。
 結局それは米倉を使ったサイド攻撃がしたい、工藤を入れてパスワークから攻撃を作りたいというエリアごとの意図はあったとしても、チーム全体におけるオーガナイズが出来ていないということなのかもしれません。

 ビルドアップに関しても同じで、3バック気味にSBを押し出したいとかボランチを使って起点としたいといった意図はあるのかもしれませんが、どうしても根っこにあるポリシーのようなものが見えてこないので、弱弱しく感じてしまうところがあるように思います。
 だから、この試合でも最後まで繋ごうとはしたものの、相手のプレスをかわすほどのビルドアップは出来ず。
 にもかかわらず蹴らずに繋いでしまうから、相手の思惑通りミスをしてピンチを迎える…というパターンが多かった印象です。


 怪我人が複数出てしまったり、為田が不在だったりという問題も多少はあったかもしれませんが、これだけの惨敗ですから言い訳はできないと思います。
 ミスが多いのであれば、なぜそういったミスが生まれてしまうのか。
 あるいは、ミスを誘ってくる相手チームに対して、なぜ相手の思惑通りに乗ってしまうのか。

 それが解決しなければ、怪我人どうのといった問題にまでいきつかないと思います。
 特にジェフは今年に限らずミスが多いわけで、メンタリティの問題もどこかにあるのかもしれません。
 ミスが多い選手構成が悪いのか、ミスを許してしまう周囲の環境に問題があるのか…。

 つい先日も雑なプレーが多いのではないかという話をしたばかりですが、チーム全体としてそこをしっかり突き詰めらない限りは、次のステップには行けないようにも思います。
 1-4で今季ノーゴールだった井出にも決められた悔しい試合だったと思いますから、しっかりとこれをバネに残り試合に挑んでほしいと思います。
 まさか3試合負けなしで気持ちが緩んだわけではないとは思いますが、しっかりと内容を詰めて大事に戦ってほしいですね。