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千葉日報「定期的に醜態をさらさないと気が済まないらしい」

 山形戦まで「3試合負けなし」だったジェフですが、山形戦の敗戦で「3試合勝ちなし」となりました。
 その間、2試合の引き分けを挟んでいるためにそうなったわけですが、前にも話した通り勝点1という成果は決して良いものではありません。

 35試合を経過して現在17位のジェフは勝点36となっており、18位福岡がちょうど勝点35で平均勝点1となるわけですから、引き分けではむしろ成績を落としてしまうことになります。
 そもそも17位前後の順位という成績自体が誇れるものではなく、このまま終われば昨年のクラブ史上最低成績を更新してしまうことになります。
 もちろんすべての試合を勝てるわけではないですが、2連続の引き分けも決して良い結果ではなかったということになります。


 1-4で惨敗した山形戦後、千葉日報は以下のように厳しい論調で報じています。

千葉は定期的に醜態をさらさないと気が済まないらしい。3戦連続で勝ち点を積んでいた好循環を、4失点の大敗でぶち壊した。残り7戦で昇格プレーオフ圏6位との勝ち点差は21。勝ち点57で並ぶ7、8位が直接対決を残すことから、今季でJ1昇格の可能性が完全に消え去った。江尻監督は「自分たちで犯したミスが全て」と、試合終盤はスーツのポケットに手を入れぼう然とした。

 昔からジェフは、地元メディアとの希薄な関係にあったと思います。
 スタジアムDJを担当されているbayfmはともかく、千葉テレビも中継をやめて久しいですし、千葉日報も大々的に取り上げてくれることは少ない状況です。


 それだけにこういった感情的とも感じる記事が掲載されたことは、むしろ喜ばしいことではないかと思います。
 普段は淡々と事務的な記事が多い印象ですが、それだけジェフへの関心が薄いのではないかと感じていました。
 今回の記事は新聞社としてではなく、担当者の想いが強かったのかもしれませんが、現状には納得できていない、より良くなってほしいという気持ちも感じられたように思います。

 もちろん、ジェフに対して明るい内容や希望に満ちた文章を書くことも時には必要でしょう
 しかし、簡単な気持ちでそういった記事を書いて翌週にはそれが覆されるような状況が続けば、その記事の価値もそれを書いた記者もチープに見えてしまう。
 では、どこがボーダーなのかと考えれると、一戦一戦の結果や内容などに大きく左右されるのではなく、根本的な課題を解決できるキッカケが感じとれたのか、クラブの未来に向けて確実な希望を見出すことが出来たのかといった部分ではないでしょうか。


 山形戦に関しては相手がミスを待つようなサッカーをしてきたのに対し、ミスの多いジェフが屈して大敗した試合だったと思います。
 では、なぜそのミスが多いのかを考えていくべきでしょう。
 基本的な戦術などが整備されていないからかもしれないし、選手個々の課題もあるだろうと思うし、雰囲気や環境などにも問題があるのかもしれません。

 ちょうど今週、金沢に関してこのような記事が出ていました。

柳下正明監督が特に強調したのは「甘さ」だった。この試合だけではないが、攻撃に移ったところでのイージーなミスでチャンスをつぶしたり、もっと言えば、それがきっかけでピンチを招いたりする場面は、今節もあった。
(中略)
「チームとしてやってはいけないことをやってニヤニヤしていたら、周りがガツンとやらなければいけない。やらなきゃいけないことをサボっていたら、それが誰であっても言わなければいけない。たった1回だからいいではない。1回でもやったらだめ。そういうところをみんなが言えるようにしなければいけない」とも話している。

 例えば昨日取り上げた中村からの縦パスが通ったシーンでも、クレーベや熊谷にガツンと指摘できた選手がいたのか。
 チームとしての守り方がはっきりしないことに関して、意見できる人物はいるのか。
 ゴール前で粘って失点しなかったからそれでいいで、済ませていないのか。


 これは選手やスタッフだけでなく、観客なども含めたクラブのメンタリティにも問題があるのかもしれません。
 ジェフはJ2に降格してからというもの、スター性や一時の勢いなどが持て囃されてきた反面、地味な選手・監督、細かな戦術などに関しては評価されていなかった印象があります。
 そういったものが積み重なった結果、「甘さ」の残る雑なチームになってしまったところがあるのではないでしょうか。

 今後は、そこからの脱却を成し遂げることが出来るのか。
 戦力はそこそこあるはずで、夏の暑さからも脱したことで、それなりのサッカーは出来るかもしれない。
 しかし、それなりのサッカーをしてそれなりの結果を残してJ2残留を決めたところで、果たして本当の意味で未来への希望が見出せるのかという段階にいるのではないでしょうか。


 さて、今週末のジェフは、アウェイで長崎と対戦します。
 長崎は現在15勝10分10敗の勝点55の10位で、勝点4差でPO圏内にいる6位甲府を追う状況となっています。
 勝点差で言えば可能性が残されているようにも思いますが、複数のチームを追い越さなければいけないことを考えると厳しい状況ではないでしょうか。

 1年でJ2に戻ってきてしまった長崎は、今年手倉森監督が就任。
 最近では前々節大宮戦で敗れていますが、前節は3-2で町田に勝利しています。 
 また、天皇杯でも勝ち残っています。


 長崎はフラットな4-4-2ですが、横のラインを重視して等間隔にポジショニングし、SHとSBなど上下の選手で挟み込む守備が特徴と言えると思います。
 例えば町田は、全体でボールサイドに密集するコンパクトな守備。
 岡山は中盤で1人が寄せたら他の選手がカバーして中盤を埋める意識が強く、水戸はポジションを修正しつつもより人に付く意識が強い印象を受けます。

 手倉森監督は仙台や五輪代表でも同様のサッカーをしており、長谷部監督もベースはジェフ時代に近いと思います。
 同じ4-4-2であっても監督のカラーが色濃く出ているわけで、やはりサッカーというものは監督の影響が出やすいスポーツなのだと思いますし、それだけ監督の選択が重要と言えるでしょう。
 江尻監督の現在の4バックもあまり良くない意味で前回監督時のイメージに近く、アバウトなところが多い守備となってしまっているのではないでしょうか。


 長崎は上記のような守備をしながら、素早く縦に仕掛けるサッカーを展開。
 シーズンが進むにつれて4-4-2でトライアングルを作って、素早くパスを繋いで前へと侵入する攻撃が出来つつあるのかなと思います。
 メンバーも固まりつつあり、夏に補強したカイオ・セザールと秋野のダブルボランチも効いている印象です。

 一方で4-4-2でMFラインとDFラインがコンパクトに守るサッカーということもあり、縦の深みがなくそこを縦に狙われると弱いところがあるようにも思います。
 そのため、前節町田戦でも勝利はしたものの2失点を喫し、前々節大宮戦でも3失点をしており、2試合で合計5失点となっています。
 堅守速攻を目指すのであれば、守備の安定化が求められるのではないでしょうか。


 一方のジェフも前節4失点しているわけですから、守備には不安がある状況です。
 山形戦ではミスからの失点が多かったとはいえ、カウンターへの守備時の対応にも問題があるように思います。
 ボールを失った時に相手選手の方が数多く反応し、素早く走り込んでいたと思いますし、マークの受け渡しなどにも問題を感じました。

 また、遅攻でもチャンスを作られているわけで、リトリート時にも守備に不安を感じます。
 「3試合負けなし」という結果によって多くの課題が見過ごされていた印象もありますが、実際にはそれまでと大きく変わっていなかったのではないでしょうか。
 昇格もなくなり降格からも離れた状況にあるからこそ、しっかりと内容を詰めていく必要があるのではないかと思います。